砂漠の賢者 第二幕~オリエントの覇権闘争~

みかみ

本編は次章からです。本章は登場人物・用語解説です

 登場人物、時代背景、前作の簡単なあらすじなど

古代エジプトという舞台で物語を作成しておりますので、作中に登場する道具や習慣には現代で馴染みがないものが多くあります。ここではそれらの詳細を記すとともに、本作の時代背景、登場人物なども紹介します。


また、本作は『砂漠の賢者カエムワセト』シリーズ第二幕として作成しており、本作の内容もそれと密接に関わりあっています。

外伝および前作と併せて読んでいただけるのが一番有難いのですが、そんな無茶苦茶なお願いはできないので、ここではこれまでのストーリーの流れを簡単に説明させて頂きます。

もし興味が湧かれたら、前作と合わせて読んで頂ければ嬉しい限りです。



物語が進むにつれ追記していきますので、本作を楽しんで頂くための足掛かりとしてお使いいただけたら幸いです。

ではGO!


<時代背景>

古代エジプト

新王国時代第19王朝

ファラオ:ラムセス二世(在位:紀元前1279年頃 - 紀元前1213年頃)

『砂漠の賢者カエムワセト』シリーズのお話は、大体治世12年目くらいからスタートしています。


<登場人物>

●カエムワセト(18歳~)

本作の主役。

ラムセス二世の第四王子。(イシス・ネフェルト正妃の次男)

歴史上では”最古の考古学者””賢者”など様々な呼び名があり、”魔術師”とも言われていたとのこと。プトレマイオス朝時代以降この人を主役にした物語(「セトナ・ハキームの物語」など色々タイトルは変わる)も存在し、そこでも魔術を使う王子として描かれています。

本作ではザルというオリジナル設定があります。


●ラムセス二世(37歳~)

多分、エジプト史ではツタンカーメンやクレオパトラの次くらいに知名度が高いファラオなんじゃないでしょうか。

オジマンディアス、というギリシャ名の方が、最近は有名なのかもしれません。

自分の息子達より長生きした超御長寿ファラオ(彼の跡をついだのは結局13番目の王子)で、側室・子供ともに数は桁はずれです。その子供の数はなんとびっくり180人!この人ほんとに人類!?と存在自体を疑いたくなります。でも一説によると、半分は養子だったとか。それなら納得できるかも。

この人の在位中には、『カデシュの戦い』という大きな戦争がエジプト・ヒッタイト間で起きており、その後の和平条約の締結は、歴史上最古の和平条約と言われています。

身長も当時のエジプト人にしてはかなり高めで、調べれば調べるほど、いろいろ規格外な王様でした。


余談ですが、ラムセス二世は赤毛で鉤鼻だったそうです。

私の勝手な印象ですが、鉤鼻は美形が多い。

だから本作でもラメセス二世と、この人に似ている王子はイケメン設定にしてあります。


●ライラ(18歳~)

オリジナルキャラクターです。

エジプト軍セト師団弓兵小隊長の任にありましたが、外伝~ライラの憂鬱~ でカエムワセトの親衛隊隊長に転身。

カエムワセトの幼馴染でカエムワセトに心酔している、血の気の多い女の子です。

カエムワセトほどではありませんが、かなりの酒豪です。

ラムセス一世(ラムセス二世の祖父)の妹から延びた家系図の中にいる設定。だからラムセス二世とは親戚です。

古代エジプトに女性兵士がいたという記述は見つかりませんでしたが、どこの国でも女性兵士はいたということなので、エジプトも例外ではないと思います。


●アーデス(31歳~)

オリジナルキャラクターです。

アジア系のエジプト人で、傭兵としてラムセス二世に雇われ、カデシュの戦い以降はカエムワセトの武術指南役としてその腕を振るっています。


●アメンヘルケプシェフ(23歳~)

第一皇子。(ネフェルタリ正妃の長男)

皇太子としてラムセス二世に付いて政治を勉強中。


●ラメセス(22歳~)

第二王子。(イシス・ネフェルト正妃の長男。カエムワセトの兄)

なんで父親と同じ名前つけるかな。と、書いていても読んでいても紛らわしいことこの上ないのですが、実際名前がこれなのだからどうしようもありません。仕方がないので本作ではラセスと、ラセスで”メ”と”ム”で変化をつけました。

けれどこれでも分りづらい。申し訳ありません。

エジプトの将軍職にあったという記述から、筋肉もりもりの屈強な男性をイメージして書いています。

あと、この人は男色家の設定にしました。


●ジェト(16歳~)

オリジナルキャラクターです。

盗賊でしたが、新しい親方とそりが合わずに盗賊団を抜け、『砂漠の賢者カエムワセト〜知恵の書と魔術使いの王子〜』でカエムワセトに処刑から助けてもらった彼は、カエムワセトの親衛隊員になります。

動物的直感に優れている、という特徴があります。


●カカル(13歳~)

オリジナルキャラクターです。

彼も盗賊出の、ジェトの弟分。ジェトと同じく親衛隊員です。

一度見た人の顔は忘れない、という特技があります。


●ネベンカル(14歳~)

第六王子。(ラムセス二世の実妹ヘヌトミラー正妃の長男)


●ヘヌトミラー

ラムセス二世の実妹で正妃。

息子のネベンカルを皇太子の座に就かせたいという野望を持っています。


●テティーシェリ

オリジナルキャラクターです。

ヌビア(アフリカ)系の血を引いた、呪術が使える踊り子。

第6感に訴える踊りが持ち味。

幼い頃にカエムワセトからもらった助言から、芸事の道に進む事を決意。いつかカエムワセトの力になって恩返しをしようと才能を磨いてきました。

ラメセスの密偵を兼ねた旅芸人の一座の一員です。


●パシェドゥ

オリジナルキャラクターです。

旅芸人一座タ・ウィの座長兼ラメセス将軍の忍の頭領。

男にも女にももてる色男ですが、オフの時はオネエ言葉を使います。

ライラの張り手にもびくともしない頑丈な体の持ち主です。


●ビントアナト(23歳~)

カエムワセトとラメセスの実姉。第一王女。

ラムセス二世の側室となり、後に正妃として他の正妃たちと権力を分かち合ったとされています。ラムセス二世との間には娘が一人できたそう。

パパ大好きの超ファザコンとして、ここでは書かせて頂いております。


●アンナ

オリジナルキャラクターです。

母親から魔術の才能と魔術道具(水盤)を受け継ぎダプールの助けになろうと尽力している執政の一人娘。人見知りな性格と顔の左半分にある大きな痣のせいで市民からは魔女と呼ばれ敬遠されています。

魔術に関する書物を収集し読み漁っているため、魔術に関してはカエムワセトやリラ以上に知識が豊富。


●ミリアム(10歳〜)

アンナのただ一人の侍女です。

遊牧民だった彼女の一家は、賊に襲われ散り散りに。奴隷用に誘拐されたミリアムでしたが、襲われた時に負った傷が原因で死にかけ、道に捨てられていたところをアンナに助けられました。アンナの良き理解者で、世話人でもあります。

小姓に化けたカエムワセトの人の善さに気づき、アンナの婿にしようと画策します。


●オルビア

オリジナルキャラクターです。

ラムセス二世の治世二年で『海の民』と呼ばれる一派との戦争がありました。この時エジプトを襲ったのはシャルダナ族、という部族だったらしいですが、結局エジプトとの海戦で敗れてエジプト軍に編入されたと言います。けれどその後、シャルダナ族は戦争で手柄を立ててエジプトから土地をもらいました。

オルビアはその時、手柄を立てたシャルダナ族の一人として書きました。


●ヘレナ

オリジナルキャラクターです。

タ・ウィでは最年長の女性。

リュート(ギターの先祖みたいな楽器)が得意。元はベドウィンでしたが、賊に襲われ夫を亡くし、娘を攫われたという過去を持っています。娘を探している過程でラメセスに拾われ、密偵の仕事をこなしながら娘を探し続けています。


●ダリア

オリジナルキャラクターです。

フルートが得意なアジア系女性。タ・ウィの一員です。

ベリーショートが似合うやんちゃ系のアネゴ。完全レズではありませんが、曲線美に惹かれる為、恋愛対象は女性に傾いています。


●イネブ

オリジナルキャラクターです。

タ・ウィの太鼓奏者で、火を吐く曲芸が得意です。

筋骨隆々の大男。禿頭はあえて剃っているという設定です。

見た目は怖いですが、気は優しくて力持ち。女子供動物に特別親切という、大男にはよくある設定です。


●ギル

オリジナルキャラクターです。

眉と髭で顔のほとんどが隠れている不思議な爺さんです。タ・ウィの一員。ラッパを吹きます。

小柄で身軽。猿のような動きで曲芸をします。吹き矢をいつも上着のポケットに忍ばせています。

あまり喋りませんが、声は若干高めです。


●ティムール

オリジナルキャラクターです。

タ・ウィの一員で、猿使いの青年。

乗り物に弱く、特に船は大嫌い。

乗り物酔いさえしていなければ、マイペースでのんびりとした好青年です。

ちなみに彼の相棒である猿のキイも凄まじく乗り物酔いします。


<道具・習慣>

●近親婚について

兄妹、姉弟、父娘。当時はこういった夫婦も珍しくなかったみたいですね。

親戚同士なんかは余裕だったでしょう。


●シャンティ

壁画を見たら必ず出て来る、エジプト人男性が身につけているスカートみたいな腰巻です。実は私、最近までシャンティはフンドシだと思っていました。でもパンツはパンツでちゃんとあったみたいです。よかった…。

ちなみに、古代エジプトのパンツはどんなだったか?三角形のフンドシなんです。


●ヘアスタイル

清潔を保つため、当時は男性も女性も基本的に丸坊主か短髪で、カツラを被るスタイルが多かったとか。

ただ、時代が進むにつれ長髪の人も出てきたらしいです。

本作の時代には、ハゲを治したいと医師を頼る人がいたとか、美しいロングヘアを保つ努力がされていたという情報も。

本作ではエンタテイメント性を意識して、ロングヘアやドレッドまがいのヘアスタイルも登場しています。

アーデスはドレッドもどきです。


●戦車

戦車と言っても現代のゴテゴテのものではなく、馬で引かせるチャリオット、と呼ばれるタイプのものです。

エジプトはスピード重視のとことん軽量化。ヒッタイトは三人乗りの守備重視。といった両国異なる特徴があったらしいです。

ヒッタイトは三人乗りなので手綱持ち、攻撃役の他に盾持ちがいました。だから槍や剣などの攻撃が可能だったようですが、エジプトは手綱持ちと攻撃役の二名で守備力に欠けていたので、弓などの遠隔攻撃で使用していたようです。


●鉄製品

当時は武器も農具も青銅が主流でした。鉄器が広まったのは、ヒッタイトが衰退してからです。それまでは、製鉄法はヒッタイトの超極秘技術でした。ツタンカーメンの墓から鉄剣が発見されたらしいですが、それは実用ではなく贈答品だったとのこと。とにかく無茶苦茶高価だったとか。

しかも、ヒッタイトもわっせわっせと鉄武器を作って使っていたかと思っていたら、そういうわけではなかったらしいですね。それくらい、鉄は当時の貴重品だったということでしょう。


●呪術

古代エジプトの生活は、現代よりも呪術に馴染みが深いものだったと言われています。

祈願や祭事以外にも医療にまで当然の如く使われていて、医療技術とともに呪術を併用する事で効果は数段あがると信じられていました。実際、どれほどの効果があったか現代では知る由も有りませんが。ただ、古代エジプトの巫女だった記憶を持つオンム・セティ(既に亡くなっている)という女性は、コブラを退ける呪文を使えたと言います。なんでも、発音が難しいため素人が簡単に使えるものではないとの事ですが。それが本当だと、古代エジプトには現代の我々が知り得ない不思議の力が存在していた、ということになります。どっちにしろ、魔術はあった、と考えた方がロマンがあっていいですよね。


●セネト

古代エジプトのボードゲームです。ツタンカーメンの墓からも出土しています。

二人で遊びます。駒は糸巻き型と円錐(本作では山型と書いていますが)型の二種類。投げ棒を振って、出た目の数に応じて自分の駒をZ状に進ませてゴールを目指します。相手の駒と同じマスに入ったら駒の位置を交換し、二個以上並列する相手の駒がいるマスには侵入できません。相手をどう上手く入らせず自分の駒を進めるか。戦略が必要なゲームです。

ちなみに、本作でラムセス二世は次男が8歳の時から、四男が5歳の時から息子二人に負け続けという設定にしてありますが、これは私の経験を元にしました。私は将棋で7歳の娘に、オセロで5歳の従弟に負けています。どちらも本気で挑んでの惨敗でした。こんな私が戦略だらけの国同士の戦争を書こうなんておこがましい限りなのですが、代わりに考えてくれる人がいないんだから仕ないない。


●古代エジプトの薬学

当たり前といえば当たり前なのですが、古代エジプトにも薬はちゃんとありました。

『カフン古典』や『エバース古典』など、紀元前の医学古文書が多数現存しているそうです。

私が参考にした文献はそれらの古典を参考に書かれた『古代エジプトの秘薬』という本。植物性・鉱物性・動物性の材料を使い、外傷から内科疾患、はては神経疾患まで網羅した処方が書かれていました。ここに、呪文などが加わったのが古代エジプト流になるんでしょうね。呪文を交えた薬学なんて、なんだかとってもワクワクしませんか?

ちなみに、古代エジプト人はミイラなんてものを作っていた割に解剖学には雑だったみたいです。


●死生観

古代エジプト人は輪廻転生を信じていませんでした。その代わり、”イアル野”という天国で生前と変わらない人生が続くと考えられていたようです。その世界での人生を、古代エジプト人は『来世』と呼んでいました。私達の言う来世、とはニュアンスが異なるので混乱しちゃいますね。

イアル野では生前農夫だった者は引き続き農夫として。貴族だったのもは貴族の生活を続けるとされています。救いが無いというかなんというか・・・。それでも、現世よりは幸せであると信じられていて、皆幸せな来世の為に懸命に生きていたそうです。どれだけ過酷だったんでしょうね、古代エジプトの現世というやつは。


●干しナツメ

ナツメヤシの実を干したドライフルーツです。

ナツメ、というとアジア圏では大棗という漢方によく使われるナツメをイメージする方も多いと思いますが、味は全然違います。

ナツメヤシの実は『デーツ』の名で広く知られています。その味は、まるで干柿を黒糖で漬けたように甘く、嫌な後味がありません。私は大好きです。

近年、スーパーの製菓コーナーやドライフルーツや健康食品のコーナーでもよく見かけるようになりました。最初はお値段も高かったのですが、少しずつ安くなってきています。

栄養価が高いので食べすぎには注意ですが、ちょっと摘まむには最適です。

あと、糖分含有量が高いので、冷凍してもカチコチにならないんです。一気に食べれない人は、冷凍しながらボツボツ召し上がってみてください。


●ダプールについて

本作で散々ダプールダプール書いておりますが、「ダプールってどこやねん」と思われた方はいらっしゃらないしょうか。実は現在、『ダプール』という都市は存在しないんです。城砦都市(または要塞都市)だった、というのは分っているみたいなのですが・・・。では、ダプールは実際どこにあったのか?調べた所、碑文には『ハッティの地にあった』と書かれているそうです。じゃあそのハッティはどこか?所説は二つありまして、一つはカデシュの北。つまりカデシュよりヒッタイト(現在のトルコ)寄りのどこか。もう一つは、カナンのダーポル(ダボル山)だという説です。ダボル山といえば、キリスト教で有名なメギドやナザレといった土地のすぐ近く。

カデシュより北にあった場合、ストーリーが作り難いので本作ではダボル山の頂上にダプールがあったという体で物語を作っています。

現在、ダボル山の頂上には寺院などの美しい建物があります。グーグルマップを眺めながら、ここにラムセス二世やカエムワセトやその弟達が足を踏み入れたかもしれないんだな~・・・なんて考えながら、ロマンを感じてドキドキしました。まあ、戦争目的で来た訳ですけどね。


<前作までのあらすじ>

ざっくりですが、無いよりマシかと思い書かせていただきました。

以下時系列順です

●『砂漠の賢者 カエムワセト〜知恵の書と魔術使いの王子〜』

溺死した兄を蘇らせる為、13歳でトトの書探索の旅に乗り出したカエムワセトは、四年の月日を経てようやくトトの書を手にした。しかし、魔術師リラに諭され、カエムワセトは兄の蘇りを諦めトトの書を使う事無く元に戻す。

それから一年後。カエムワセトは忠臣のライラとアーデスとともに、遺跡の修復や建設現場の取り締まりなど、多忙な日々を送っていた。

カバ狩りに失敗したその日、カエムワセトは、リラに再会。リラはカエムワセトに、エジプト王家に忍び寄る不吉な嵐の存在を告げる。

嵐の正体は、混沌の魔物アペピを名乗る蛇の魔物の甘言に乗せられ、病死から復活した少年、ハワラだった。ハワラは魔物から第13王子メルエンプタハを殺す代わりに、完全な復活を約束される。しかし、罪の意識にさいなまれたハワラは賢者と名高いカエムワセトに助けを求めてきたのだった。

カエムワセトはリラの手助けの元、ライラとアーデスを伴い、ハワラの解放と実弟メルエンプタハを守るため、魔物に戦いを挑みメンフィスへ。

メンフィスには、カエムワセトが神官として務めているプタハ大神殿があった。そこにはカエムワセトの上司フイ最高司祭と、最高司祭補佐のイエンウィアがいる。

カエムワセトはイエンウィアの助けを借りながら、元盗賊のジェトとカカルを味方につけ、ホルス神殿に魔物をおびき寄せ闘う作戦を決行する。

神々の計らいで手元に戻って来たトトの書。そして、援軍に皇太子の精鋭部隊を伴ったラムセス二世を迎え、カエムワセト達は大きな犠牲を払いながら、魔物討伐に尽力する。

その魔物の正体は、アペピの名を語っていただけの、トトの書を守っていた『守護する者』だった。『守護する者』はカエムワセトとの因縁の対決の下、カエムワセトの剣に敗れる。

ハワラと戦死した仲間を見送ったカエムワセトは、新たな仲間としてジェトとカカルを連れ、ぺル・ラムセスに帰還するのだった。


●ライラの憂鬱

『砂漠の賢者カエムワセト』で主人公のエジプト第四王子カエムワセト、の忠臣ライラのエピソード。

ラムセス二世に新たな王子が産まれ、ぺル・ラムセスでは王子誕生の宴が開かれていた。ラムセスの遠縁にあたるライラも、その宴に招待されていたが、ライラは王宮の宴が嫌いだった。

大貴族の娘でありながらその華やかな人生を捨て軍人になったライラに、同じ貴族令嬢たちは非友好的。一方ライラは、打算ばかりでカエムワセトに近づこうとする貴族娘達が気に入らない。

ラムセス二世に尻を撫でられ、ラムセス二世の側室ビントアナトには泥棒猫呼ばわりされ、疲れ果てたライラはバルコニーに逃げて宴を抜ける機会を待つ。

そこにやって来たのは、同じく宴会嫌いの王太子と、貴族の姫様達から逃げてきたカエムワセトだった。


※1.本作は、ラムセス二世治世10年目に起こったと言われているダプールの包囲戦を元に作成しています。史実と比べ若干、ダプールの戦争勃発時期が遅れていますが、ご容赦いただけましたら幸いです。



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