彼女いない歴年齢の俺が、●●なクラス委員長の美少女と付き合うことになった?

譲羽唯月

第1話 童貞な俺に、念願の恋人が……⁉

「どうしたら、恋人ができるんだろ」


 そんなことを思いつつ、七星浩紀ななほし/ひろきは高校生になって早一年が経っていた。


 高校二年生になった今も、彼女ができる様子もなく。

 ただひたすらに地味な生活を続けていた。


 誰でもいいから付き合いたい。


 日に日に、そんな思いが内面から湧き上がってくる。


 一回でもいいから、女の子と恋人の関係になってみたい。


 むしろ、高校生になったら、誰でもできると思っていた、あの中学生時代の頃が懐かしいとさえ思う。


 でも、本当に、どうやったら恋人ができるのだろうか。


 上手くいかない高校生活に、また、溜息を吐きそうになる。


 浩紀は比較的見た目には拘っていた。

 自分から会話するようにしたりしているのだが、現状は一回も変わらなかったのだ。


 普段から恋愛の本を見たりしているものの、まったく効果すらない。


 本やネットの知識とかじゃなくて、やはり、自分で見つけていかないといけないのだろうか?


 昼休みになった直後、窓際の席に座っている浩紀は、外の景色をなんとなく見ながら。机に広げられたノートなどを片付けていた。


 今日はどこで、昼食をとろうかな。

 どこでもいいか。


 周りにいる人らの仲間の中に入って行く度胸もなく。

 恋人すらもいない。

 どこでもいいのだが、一人でひっそりと、恋人ができる方法でも探ろうと思った。


「ねえ、浩紀君。ちょっといい?」


 そんな中、椅子に座っている浩紀は、黒髪のロングヘアなクラス委員長――柚木彩佳ゆずき/あやかから話しかけられるのだった。






「ねえ、付き合ってほしいの」


 校舎の裏庭。

 そこに二人はいる。


 正面に佇んでいた彩佳は、普段通りに真面目な態度で、そう言ってきた。


 彼女はクラス委員長であり、制服からでもわかるほどに、おっぱいもデカい。

 真面目であり、少々融通が利かない時はある。

 けど、それ以上に、クラスメイトのことを考え、委員会活動をしているのだ。


 厳しい感じであっても、人のためにできる女の子ゆえ、クラスからの人気もあった。


「え?」


 なんて?


 学校の中でも美少女な彼女。


 浩紀の脳裏にクエスチョンマークが浮かんだ。


「だ、だから……付き合ってほしいってこと……」


 クラス委員長は少々頬を紅潮させながら、再び言ってきた。


 さっき、なんて言われたのかわからなかったのだが。

 ようやく現状を理解できるようになってきた。


「付き合ってほしいってこと?」


 浩紀は再び問う。


「うん」


 彩佳は頷いた。


「本当に、俺……でいいの?」


 急すぎて、まだ脳内が混乱している。

 なんでかと何度か聞き返してしまう。


「だから……そう言ってるるじゃん。もしかして、やっぱり、君って、女の子に恥ずかしいことを言わせたい人?」

「ち、違うよ」

「そう?」

「うん。断じて、そういう類の人じゃないから……そこに関しては安心して」

「……」

「? どうしたの?」

「んん、なんでもないわ」


 彩佳は意味深気な態度で返答してきた。


 ゆっくりと現状を理解し始めると、浩紀はどぎまぎしていたのだ。


 これで念願の彼女ができるのかと思うと、驚きな感情から、嬉しさが交じり合った感情へと切り替わってきたである。




「今日からお願いね」


 彩佳は優しい笑みを見せてくれる。


「うん」


 浩紀は頷いた。


 こんなの迷うことなんて必要ない。


 学校でも美少女と言われている彼女からの誘いなのだ。

 それを断るとか、もはや男じゃないと思う。


 何はともあれ、念願の恋人ができたということになる。


 嬉しい。


 今まで頑張ってきた甲斐があるというものだ。


 日はかかったが、クラス委員長の彩佳という美少女と関われたのは、人生の中で大きな名誉だろう。


「でも、ひとつだけ、言っておきたいことがあるの」


 彩佳は少々小さめな声でかつ、真面目な顔つきで言ってきた。


「どんなこと?」


 浩紀は彼女の様子を伺う。


「私ね、Mなの」

「M……?」


 Mとは、あれのことだろうか?


 いたぶられて、気持ちよくなるタイプの。


「えっと……Mって? そういう体質的な? それとも服のサイズ?」

「んん、体質的な……ことなんだけど……」

「そうなんだ。体質ね……」


 浩紀は現状を理解するように相槌を打った。


 でも、女の子なら、そういうタイプの方がいい。


 むしろ、Mでもいいと思う。


 浩紀はそこまで気にはしていなかった。


 真面目な彼女がMとか、それの方が興奮するというものだ。


「そうなんだけど、どうかな?」

「でも、それは人それぞれだし。問題はないと思うけど。俺は、君から告白されただけでも嬉しかったというか」


 多分、何とかなると思う。


 だから、浩紀は簡単に笑みを浮かべ、返答する。


 Mと言っても個性みたいなものだと、浩紀は気軽な感じに考えていた。




「じゃあ……正式に付き合ってくれることでいいんだよね?」

「うん」


 浩紀は頷いた。


 これからが重要だと思い、浩紀は内心、張り切りだす。


 まさか、彩佳の方から告白をしてきてくれるだけでも意外過ぎた。

 人生初めての恋人が、彩佳とは本当についていると思う。


 表情には出さなかったが、内心、ドキドキが止まらなかった。


「じゃあ、今日の放課後、時間とかってある?」


 彩佳は軽い口調で、伺うように言ってきた。


「うん。あるよ」


 浩紀は即答した。


 むしろ、いつ恋人ができてもいいように、できる限り、時間を空けているのだ。


 今までは恋人を作るための時間に当てていた。

 が、これからは彼女のための時間へと消費できると思う。


「大丈夫だよ、普通に時間も確保できているし」


 浩紀は恋人ができたことばかりに意識が集中してしまい、あまり深く考えずに淡々と話を進めていた。


「では、よろしくね」


 彩佳は普段とは違い。

 緩やかな表情で愛嬌よく話していた。


「うん。放課後ね」

「私。これから、ちょっと用事があるの。また、放課後、私の方から誘うかもしれないから。その時ね」


 彩佳は最後に笑顔を見せてくれる。

 彼女は背を向け、その場所から走り去って行ったのだ。

 彼女の背からは、色鮮やかなオーラが放たれているような印象を感じられた。


 念願の恋人。

 大切にしようと思う。


「まだ、昼休み始まったばかりだし。パンでも買いに行こうかな」


 と、制服から取り出した財布を見、お金を確認する。


「多分、大丈夫そうだな」


 浩紀は購買部へとパンを購入しに裏庭から立ち去っていくのだった。

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