第25話⁂碧とルフィ姫の恋⁂
〈ジャイアント プラント王国〉の蛇の巨大化に始まり、今度は静蘭にまで被害が及んでいる。
実は…あれだけ氷の国では美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿を維持できていたにも拘らず、それが……どうも……氷の国から帰って来てからと言うもの、美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿の静蘭になれたと喜んでいたのも束の間、ある日突如としてリンゴ婆さんに逆戻りして、美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿に変身できなくなってしまった。
更に……不思議な事に、あれだけ嫌がっていた醜い頭が二つの大蛇にも戻りにくくなっている。有り難い反面、迷惑極まりない現象が起きている。
どうしてこんな事になってしまったのか?
氷の国では、美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿を維持できていたと言うのに……。
リンゴ婆さんのままでは到底〈ジャイアント プラント王国〉には帰れない。
それはそうだろう。追っ手から逃れるためにギャング王国に忍び込んでリンゴ婆さんに変身した静蘭ではあったが、困った事に〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿に変身しようと思っても変身出来ない。それでも…究極の選択、醜い頭が二つの大蛇にも、どういう訳か、変身しずらくなくなっている
ギャング王国の住民は皆地球の人間と寸分変わらない姿形だが、一方の〈ジャイアント プラント王国〉には、未だかって人間の姿を見掛けた事が無い。他の動物も居るには居るが大蛇が幅を利かせている大蛇の国だ。
〈ジャイアント プラント王国〉にどうして帰れよう。見た事もない変わった生物だと、真っ先に大蛇の餌食になるのは必至。
こうして静蘭は仕方なくリンゴ婆さんとして、ギャング王国に留まっていた。
それでも…氷の世界では、美しい〈サンフランシスコ・ガータースネーク〉姿を維持できていたと言うのに……?どうしてこんな事に?
ああああ……そう言えば扇子が……魔法の扇子が……消えている。確かにしっかりと握りしめていた筈だが、どこで失ってしまったのか?そう言えば戻って来てから一度も扇子を見ていない?
あんなに優しい氷の国の女王ビイチだったのだが、ひょっとして……?
あれは只のまやかしの姿だったのか……?
だが……あの美しい氷の国はある日を境に、一瞬にして世にも恐ろしい真っ暗闇の朽ち果てた、悪魔の要塞に変貌していた。
これは一体どういう事?
そして…静蘭を美しい大蛇に変身させてくれた、あの美しい女王ビイチの姿は跡形もなく消えていた。
(エエエエエエ————————————ッ!って事は、やはり……海底の奥深くには魔女が存在するのだろうか?益々分らなくなってきた?)
◆▽◆
ああああ……そう言えば碧と信長🅰秀吉🅰家康🅰は、その後どうなったのか?
碧は、あの夜貴賓室で抱き合っていたジノ王とルフィ姫に怒り心頭で、最近はルフィ姫を極力避けている。
だが、そんな不愉快な気持ちを払拭してくれる話を、信長🅰秀吉🅰家康🅰の三人から聞いた。
「ああああ……それは誤解だよ。ルフィ姫は本当のお父さんのように思っているから甘えているんだよ」
「なるほどね?」
◆▽
碧は美しいルフィ姫に恋心を募らせているが、一方の、ルフィ姫もやはり碧の事が気掛かりで仕方が無い。
というか、碧がこのラバー城に現れた日から、ルフィ姫は気付いていないかもしれないが、碧の姿を見掛けると不思議に心臓がバクバク、胸の高鳴りを抑えられなくなっていた。
そんなある日、「静蘭」リンゴ婆さんが緊急の用事でこのラバ—城を留守にしていた事が有った。食事の準備をする人がいない。
実は…リンゴ婆さんの望みである「永遠の美を手に入れる」その望みを叶えてくれる魔女に会いに、海底の奥深くに出掛けていた。
そこで碧とルフィ姫が食事担当として精を出している。
そんな時に、狭いキッチンでの事、二人はすれ違いざまに身体をぶつけたり、手が当たったりと嬉しい誤算が起こっている。
それは日に日に大胆になって行き、自分の感情を抑えきれなくなった碧が、ある日とうとルフィ姫の手をギュ~ッと握りしめて告白した。
「ルルルルッ ルフィ姫……ルフィ姫……ボボ ボー僕は……あのー僕は……あの~以前から……あの~ずーっと……ルフィ姫の事が😍……あの~スス 好きでした💓💙💘」
ルフィ姫は余りにも突然の、それも夢にまで見た憧れの碧に告白されて、嬉しくて嬉しくて言葉が出ない。余りの嬉しさに真っ赤っかになり、うつむいている。
するとその時、碧がルフィ姫に近づきそっと抱きしめた。
ルフィ姫も嬉しそうに碧に身をゆだねている。
愛する二人の甘~い時が流れて、やがて…その感情は最高潮に達して……今度は碧がルフィ姫の唇💋に口付けをしようとした。
とその時物陰に隠れていた十三歳に成長した信長🅰が、危機感を募らせて、恋路の邪魔をしようと二人の絡み合った足元に、まだ生きているゴキブリを袋に入れたまま投げた。
ゴキブリが一気に飛び出した。
「キャ————————————ッ!」
(ルフィ姫はみんなのものだがやー。あかんじゃん!碧お兄ちゃんだけが独占するなんて真っ平ゴメン。フンだ!)
今度は秀吉🅰が、さも心配そうに現れて訪ねた。
「ルフィ姫どえりゃー大声出して…どうした?だでー何が有ったか話して見やー。ああ……それと……このパット落ちとったで拾って来たがやー?ああああ……それと……これ何?」
そう言って見せたのは、最近一気に色気づいたルフィ姫のブラジャ-で、少しでも魅力的に見えるようにパット入りのブラジャーを購入していた。
それと言うのも最近とみに憧れの碧と接近する機会が増えたので、ルフィ姫の唯一の欠点、貧乳をカバ—する為にパット入りの爆乳ブラジャーを付けているのだ。と言ってもルフィ姫が思う程ペチャパイではない。
たまに洗濯でパットが取れてしまう事が有る。
パットが小さいので気付かなかったが、それを親切に届けてくれた秀吉🅰。
更にもう一つ何か変な物を持参した秀吉🅰。
「これ落ちとったで拾って来たがやー。だでー、ここに置いとくで」
この「シークレットインソール」は碧の靴底から秀吉🅰が、こっそり抜き取って来たのだった。
そう言って持って来たのは、少しでも高身長に見えたり短足をカバ—する「シークレットインソール」といって靴底に入れる代物だった。碧はパ-フェクトボーイと思われていたが、唯一の欠点短足をカバ—する為に「シークレットインソール」を靴底に入れていた。イヤそれ程短足ではない。碧の思い過ごし。
秀吉🅰、実は…一件親切を装っているが、本心は違う。
二人の欠点を二人の前で親切を装って暴いて、燃え上がっている二人恋の炎を消そうと必死なのだ。
家康🅰は食い意地が張っているので、しょっちゅうキッチンに居る。
そして…お腹が空くと手作りの味噌煮込みうどんを作って食べているのだが、ルフィ姫にもしょっちゅう振舞っていた。
だが最近はリンゴ婆さんが留守の為、食事担当として碧とルフィ姫がキッチンを占領している。
それでも…最初の内はお構いなしでキッチンにのさばっていたが、二人の余りのラブラブぶりにスッカリ行き場を失い、折角ルフィ姫との唯一の場所だったのに、最近は家康🅰の事がまったく目に入らない様子。
こうして…二人の恋路をどんな事しても邪魔して、また皆のルフィ姫にしようと必死になって居る。そこで考えたのが、お腹が空くとついつい悪い癖が出る、それを利用しようと考えた。
実は…家康🅰お腹が空くと何か美味しいものが隠れていないか、あちこちの扉を開けて探す癖があった。その時にリビングの重要書類が入っている扉を開けてしまった。
お菓子が入っていないか探し回ってると、何とも不細工なルフィ姫の出来損ないと思われる女の子の写真が出て来た。
だが……家康🅰は気付いていた。ルフィ姫は家康🅰の前ではどういう訳か、瓶底メガネを何度か掛けていた。まぁよく言えば気の置ける坊や。悪く言えば全く男の子とは思っていない。
だから…皆の前では絶対に瓶底メガネは掛けていないから、誰も眼鏡の秘密は知らない。
そこで大変な事に、キスをしようとしている二人を、どんな事をしても邪魔をして止めさせてやろうと考えた。そして…その写真を抱き合っている二人の足元にそ~っと分からないように落とした。
するとその時、家康🅰が大きな声で言った。
瓶底メガネの冴えないルフィ姫の写真を碧に見せて、ルフィ姫の事を嫌いにさせようという魂胆なのだ。
「あっ!ルフィ姫の写真が落ちちょるがやー」
足元に目をやった碧は一瞬、我が目を疑ったが……それでも…どこかで会った事が有る。そんな感覚に捕らわれた。
信長🅰秀吉🅰家康🅰三人の邪魔が入りキスはお預けとなった。
折角のロマンチックな二人の世界は一瞬にして打ち砕かれてしまった。
要は十三歳に成長した信長🅰秀吉🅰家康🅰は、ルフィ姫に淡い恋心を募らせていて、絶対に碧と恋人同士にさせたくないので、必死で子供ながらに悪知恵を働かせてぶち壊しにかかっていたのだ。
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