美術家の街
ミンイチ
第1話
この街にはたくさんの美術家がいる。
絵を描く人もいれば、像を彫る人もいるし、歌を作ったり陶芸をしたりする人もいる。
そして、街の至る所に作品が設置してある。
それらの作品は他の住民にとって有用なものもあるが、大体のものがなんの役にも立たないもの、それどころか生活に支障が生じるものさえもある。
それゆえに、美術家たちは街の住人たちから嫌われ者としてみられることも、立派な人としてみられることもある。
この街には独自のアプリがあり、置いてある作品の生活における有用性を報告することができる。
設置してある作品のうち、生活に支障が生じるものは、住民からの悪い報告が一定数を超えると行政、または製作者本人が廃棄したりリサイクルに出したりする。
逆に有用なものは、住民からの良い報告が一定数を超えると行政から制作者に少しの報奨金が出る。
そして、なんの役にも立たないもの──つまり報告がほとんどないものは、いつの間にか製作者が回収していたり他のところからきた人が買い取って持って帰ったりする。
そんな街だが、作品に関しては少しだけの、しかし絶対に破ってはいけないルールがある。
そのうちの一つに、『作品の移動は製作者か、行政、またはそのどちらかに委託された者にのみ許される』というものだ。
これは、盗まれることを防ぐ意味もある。
しかし、それらのルール全ては製作者への敬意を表すものとして作られている。
そのルールを少しでも破った者には、とても厳しい、言葉にできないほどの罰が待っているらしい……
美術家の街 ミンイチ @DoTK
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます