第10話 妹とおじさんと主人公

「で、今どんな状態なんだ?」と聞く護衛隊長。

「あら、何のことですか?」と。とぼける。


「とぼけるな、お前ならある程度情報を集めているだろう?」と真顔で聞く。

「えー護衛隊長でない貴方に教える意味がありません。」とあっかんべーする。


元護衛隊長は改めて聞く。

「どうせ俺はここを動けないんだ。情報くらい教えてくれてもいいだろう?」と頼み込む。

あ、メイドが悪い顔し出した。


「そうですね!情報を教えてください。ユリ様わんわんって言ったら教えてあげます。」

ドやって顔で言う。摘まみ上げられている状態で言うのは締まらない。

メイドはわくわくしていた。期待の眼差しー。


「はいはい。えーと情報を教えてくださいユリ様わんわんだったか?」

「むっなんか嫌です!感情がこもってません。」と抗議する。

ブランブランされながら・・・


「俺は言ったからな!これ以上何か言ったらさすがにくすぐりだな。」と護衛隊長は言う。

「むむむ、犯されるーって私叫んでもいいんですよ!」とメイド。

両手両足をジタバタさせて抗議する。


「あー今日はそれ無理なんじゃないかな?あのダストが領主代理だぜほっとかれるぜ!」と言ってにやっする。


「うわー嫌らしい。わかりましたよ。言いますね。」はーと観念した。

「おうよ頼む。」


「えーと、リースさんの戦力が、あんたんとこの護衛隊の人たち、それからメイドからも武装して何人かと城壁の門番さんと、冒険者ギルドと、兵隊の真面目トリオに・・・それくらいかな?」


「ふむ。」まぁそうだろう予想した通りだ。


「えーと次は敵で、この館の兵力とダスト、ゴースの私兵。わりと数だけは多いんですよね。ただ、ゴースさんは街に略奪に行っていていません。」

「ほう?これで勝率は上がるか・・・」とあごをなでる。


「あーあととっておきの情報がありますけど聞きます?」とふふんと自身たっぷりに吊られている。

「なんだ?相手に強力な助っ人でも現れたか?」不審がる。


「ふふふ聞いて驚きなさい。さっき入った情報によると、ダストが雇った黒いカラスの野盗団はアジトが潰れたそうよ。」

「はっ?まて何かおかしくないか?」と言う。さすがに困惑した。


「ヤンが奇襲で落としたのか?しかしあいつには英気を養えと言っているし。冒険者ギルドのB級とかに喧嘩でも売ったのか?」首を傾ける。

「さあ、知らないわよ。ただこれでこの屋敷の兵力だけを相手にすればいいからね。」

ニヤッと笑うメイド。まだ吊り上げられている。

なぜか、元護衛長がユリの頬を引っ張った。


「痛い痛い。何してんの!ほっぺがーほっぺがー。犯される!」と言って顔を抑える。


「夢じゃないようだな?」

「さぁ実は夢なんじゃないの?だから私にもほっぺをつねらせろ!」とジタバタしている。

姫さんが帰ってくるまでこいつで筋トレしてよう。

帰ってきたら放したらいいか。と護衛隊長は思った。

いつも通りだ。護衛隊長に余裕が出来たのだった。




ふむ、リースの妹さんと一緒に離宮に入って来たがさてどうしよう?


妹さんは奥の部屋に入っていった。さすがにこのタイミングで一緒に入ることはできない。

どうしたもんかな?

とりあえず出てくるのを待とう。聞き耳してごめんなさい。


「お父様。」そう言ってベットに近づく。

ベットに寝ている。揺すっても起きる気配などない。


「本当に睡魔の毒なのですね・・・」と天井を見上げる。

「本当はもっと早くお見舞いに来たかったのでが、お兄様たちに目をつけられてしまうとユリに止められてしまって・・・遅くなりました。」と言うミーナ。神妙な顔になる


「・・・お兄様が辺境伯領を帝国に売ろうとしてます。そして私の嫁ぎ先の公爵もその毒牙にかけようとしています。リース兄さまも・・・明日処刑されるそうです。私には力がなくってどうすることも出来ません。お父様戻って来てくださいお願いします。また一緒にお食事をして、お話しをして・・・」涙が止まらない。

「だから戻ってきてください。お父様。お父様。」手を握ってしばらく泣いていた。


「ごめんなさいお父様もう行かないと、護衛長のクーガーがお兄様に怒られてしまいます。絶対に戻って来てください。」最後に手を頬に当てて言った。


部屋を出ていく。離宮のドアを開けた。

護衛長のクーガーとユリがまだ言い争いをしていた。

この二人はいつも通りだな。


私は離宮のドアを占める直前、何か奥の方でドアの音が聞こえたような気がしたが?


「どうした?」クーガーが聞いてくる。

「きっとクーガーが恐いに違いありません。」ぶら下がっているユリ。

「おいおい、俺のどこが恐いんだよ。」とおどけた様に聞いている。

「それはですね・・・全部ですよ全部!」

手をパーってやって全部の大きさをアピールするユリ。

「はっ、お前ふざけんなよ。」と怒るクーガー。

しかしその瞬間ユリはクーガーの魔の手から逃げ出した。


「やー恐い、犯されるーお嬢様逃げますよ。」そう言って手を引かれた。

「こら、待て。」と追いかけようとしたクーガー。

しかし、ここの警備があったことを思い出す。

「次あったら覚えておけよ!」という声が聞こえた。

ベーっとしていたメイドを見て私は笑った。



俺はミーナの話を聞いて号泣していた。

ええ子やなうちの姉になってほしい。涙を拭った。妹が出てきたからだ。


「さて辺境伯はどんな人かな?」そう言ってドアを開けた。

ゆっくり近づく。うん、中には辺境伯以外本当に誰もいないようだ。


「いい娘を持ったな。悪い息子を持っているが、辺境伯はどっちなんだろうか?」

そう言って隠密を解除する。


とりあえず鑑定。


シード・フォン・ラーズ 辺境伯 王国西方の盟主

    年齢55 状態 睡魔の毒

Lv30

HP150/150

MP 20/20

攻撃力 50

守備力 50

素早さ 20

知力  50

スキル 槍術 馬術 統治


スキルが3つもあるな。強い。

この状態の睡魔の毒か?詳しく見れるかな。

お、出た。睡魔の毒、昏睡状態にあって絶対に起きない。

治すためにはパーフェクトキュアかエリクサーか万能薬が良い。

使用後、数時間以内に起きる。


「ふむ睡魔の毒か?万能薬とエリクサーがないからな。どうするかな?」

少しの間黙考する。魔法しかないか・・・俺に使えるのかな?


「あーもうなんとかなーる。なんとかなーる。」独り言をつぶやく。

ふぅーと大きなため息を付く。

辺境伯のベット大きいな。少しベットにかかとを乗っからせ、もう少し近づくかな。

さてえーとたぶん、布団をとりあえず取っとこう。魔法の利きが上がるはず。


「本当は服とか脱がした方がいいんだけど。俺にそういう趣味はない。」仏頂面。


えーとよくゲームとか、アニメとかで少し身体より上かな?

そこに手を持ってくる。

身体全体にかけるように、魔力を包むように、優しく流すように。


「失敗しても恨むなよ。おじさん!パーフェクトキュアーーーー。」

おじさんの身体が光に包まれていく。魔力を込める。


やった成功のようだ!なかなか魔力を流すのは難しいな。

あれれ突然くらっと来た。


「あれ、あ、魔力切れだ。」そうして俺は倒れた。さすがに限界だよね。


後は頼みます女将さんに女忍者と・・・リッテさん。

必ずリースを助けてください。

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