第2話 ステータス

「リース様。門は普通にくぐりますか?」と、リッテが唐突に聞いてきた。

「いや、門は普通にくぐるしかないでしょう。」とリースは言う。

「そうですね。別に呼び止められないと思いますが気をつけてくださいね。」と言ってくる


腕にリッテのに胸が当たっている。

意識しないようにしないと・・・

「リッテ、少し離れてくれませんか?」と私は勇気を持って言ったと思う。


「しかし、門を通過するうえで大切なことがあります。疑われないことです。」真剣だ。

「疑われないこと?」と疑問に思う。


「はい私たちは冒険者ですが、しかし子連れの冒険者というのはあまりにも不自然です。」うんうん。と頷くリース。

「この子供をどこかから盗んだと疑われたらどうしますか?正直に全部言えないでしょう?」と詰め寄ってくるリッテ。


「そ、そうだね。」とリッテの迫力に押されるリース。

「そうなると解決策は一つしかありません。」と言って息を吐く。

ゴクリとリースは唾を飲む。


「そう、私たちが夫婦になること!それしかないのです。」と言い切った。


「それしかないのか。」と頭を抱えリースは聞く。

「それしかありません。王都の城門を超えれば夫婦役も慣れてくるはずです。」と説得するリッテ。

「なので、ラブラブ夫婦で行きましょう。」と言ってさらに押し付けてきた。

俺の理性は大丈夫だろうか?と心配になった。



実家に息子を見せに行きます。と言ったら普通に通してもらえた。

「おう、ラブラブで羨ましいね。」と門兵のおっちゃんに声をかけられたが、リースが笑って、ええもうラブラブなんですと言ってた。


ね、ダーリンと言った時には頭を抱えそうになった。

ああ、ハニーと笑顔が引きつっていたかもしれない。

「あうあーー。」そして赤ん坊も元気なようだ。



 街道を歩いている俺たちの周りは大草原。俺たちはいったいどこを歩いているんだろうか?


イッツ・ア・ファンタジー!!


「あうあう。」相変わらずうまく声が出ない。

今、できることはなんかないかな?


なんか遠くの方で大きな鳥が飛んでいるような。

ん?なんだか視力がよくなっているぞ?

こう双眼鏡みたいに見ているものが大きく見える。


「あうあー。」おおうと思わず声を出してしまう。

見えているのは翼と大きなしっぽがある。

大きな口と角みたいなのがついていて眼光が鋭い、もしかしてド、ドラゴン?

いや、形からしてワイバーンとかいう奴か?

ファンタジーだな・・・うん?

ちょっと待てよ。ファンタジー?いやまさかそんな都合よく。


「あうあうあー。」〝ステータス〟


ななし 年齢0

Lv1

HP10/10

MP 19/20

攻撃力 10

守備力 10

素早さ  1

知力  10


ユニークスキル

習得経験値増

アイテムボックス

異世界言語理解

鑑定

Etc(なんでも?)


「あうあー。」〝出たー〟思わず叫んでしまった。

ファンタジーありがとう。

泣いている俺。


リースがおおう!始めて泣き出したな。とか言ってるけど気にするものか。

そうだ!!旅で暇な時間はステータスの検証だな。

えーとまずは、HPはまあわかる。0になったらヤバい奴だ。

この世界にゲームとかである蘇生魔術とかないのならヤバい奴だな。


次にMP!!これ大事!魔法があるんだ!!た、たぶん?

「うおおおおお!」ありがとう異世界!俺は感激しているぞ!!


また泣き出した俺に今度はリッテがあやしだす。

もうリースはあやすの下手ですねとか言っている。


MPか19/20になっているが?あ、回復した20/20。

なんか使ったのかな?さっきの遠視かな?

もう一回、山の向こうを見ようとして発動させる。鳥っぽいものがよく見える。

またMP19/20になったな。


よし次の検証。攻撃力?力かな?

「あうあうあー。」掛け声かけながらパンチをする。連続パンチ。これが攻撃力10?

ヒノキの棒並なんだろうか?


そんな奇行をしていると、リッテが覗き込んできた?やばっ怪しまれたか?

「元気な赤ちゃんですね。」とか言ってるので大丈夫なんだろう。


次は守備力なんだけど?これは飛ばすしかないかな?

あと素早さも赤ん坊だから仕方ないよね?

知力もどうなんだ?前世の記憶があるからあまり意味なさそうな?

魔法の威力とか上がったりするのかな?

後でなんか魔法っぽいものこっそり使わないとね。使えるだろうか?


それと経験値増!多分レベルアップしやすいとかイージーモード?ですよ。

これは勝つる!赤ちゃんガッツポーズをする。

油断はしないようにしよう。

きっと後でしっぺ返しが来る。うん、ガンバですよ。


そして異世界三種の神器ですよ皆さん。


アイテムボックスですよ。いま検証できないけど沢山物が入る奴ですよ!皆さん!

なんかテレビショッピング風にアピールしてしまった。


異世界言語は多分この世界の言語を理解することができる。

喋れるかどうかはわからない。だって俺赤ちゃんだし。


鑑定!これ大事。その辺の草に使ったら、雑草って出たよ!

薬草は薬草はどこ?

きょろきょろする俺に不思議な顔で見てくるリッテ、戸惑っているみたいだ。

ちなみにリースとリッテの鑑定結果はこんな感じになった。


リース 年齢25 騎士

Lv20

HP105/105

MP 12/12

攻撃力 41

守備力 37

素早さ 32

知力  20

スキル 剣技


リッテ 年齢24 メイド

Lv25

HP146/146

MP 53/53

攻撃力 55

守備力 53

素早さ 45

知力  42

魔法 風

ユニークスキル 

狂戦士(冥土)


リッテさん強い、魔法まで使えるのか?

狂戦士(冥土)か・・・見なかったことにしよう。

怒らせちゃいけない人だ。絶対に!!

リースもなかなか強いのかもしれない。

比較対象が2人しかいないからなんとも言えないがスキルの剣技があるからな。

道中でモンスターに襲われても大丈夫だろう。


あとはEtc(なんでも?)


・・・

・・・

「あうーーーーー。」なんでも?ってなんだよ!!!


赤ちゃんは赤ちゃん言葉で叫んだのだった。

思わず右手でツッコミポーズしてしまったじゃないか!もう、ハブてる。

ほっぺをツンツンしてくるリッテ。可愛いですね。と言ってくる。

「あ(ふっ)」と思わず笑う俺。


「いや、もう離れてもいいんじゃないのか?」とリースは言ってくる。

そうなのだ。リッテは俺を抱きながら、器用にリースとイチャイチャしている。


「ダメです。これは夫婦であるという練習なのですよ。あ・な・た。」と注意する。

「くっ!!」と免疫力の低いリースには破壊力が強い。


よし俺はリースを応援しよう!

「あうあーあー。」〝頑張れリース、負けるなリース〟

俺を送り届けたらイチャイチャしていいから、俺の前では頑張ってくれ!!

羨ましいことを俺の前でしないでくれ!!お願いだー。と思っていた時期もありました。


リッテの胸で抱かれている俺は鼻血を吹きました。

赤ちゃんの免疫力も低かったのです。


リース一緒に頑張ろうな!と、あとでリースの背中を叩いていた。


ああ、段々とリースの背中が心地よくなってくる。

がくがく。ぐーー。眠りで落ちる俺であった。

一人で頑張るんだぞ。

たまに俺が泣いたふりとか、声とか出してやるからな。

寝ている時こそ頑張るんだ勇者リースよ!


「ふふ、幸せそうに寝てますね。」

「そ、そうなのか?」リースからは見えない。


「ええと、リッテから見てこの赤ん坊はどう見えている。」

「うーんちょっと不思議ですね。」と首を傾げながら言う。

「不思議?」リースは戸惑う顔をする。


「ええ、なんというかオーラみたいな者を感じるんです。時々。」

「それは、存在感みたいなものか?」と聞き返すリース。

「うーん確かにそうかもしれませんね。なんというかこう。やらかしてしまいそうなオーラですかね?」と首を傾げた。


「ふふ、なんだそりゃ。さっきの鼻血の件か?あれはリッテが悪いだろうに・・・。」

「あら、子供心に私の良さがわかっているのかもしれません。リース様は私の良さはわかりませんか?」


「・・・」

「・・・」


「なんて答えたらいいかわかんないな。リッテはお城で働くいい同僚で、優しくて可愛いと思ってますよ。」


「リース様は天然ジゴロの鈍感やろうですね。」とそっぽを向くリッテ。


今日はこのまま平和でいたいなーと考えているリースだった。

しかし、そっぽを向いてても胸を押し付けるのは止めてくれないかリッテよ!!

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