Dragonic Crusade Online 〜龍姫と支援職のVRMMO冒険記〜
綴騎のべる(つづるきのべる)
第1章 ゲームスタート
第1話 ゲームの誘い
「ねぇ、
僕、
3月末の春休み期間中、僕は大学進学に合わせて一人暮らしを始める為に借りた部屋でゆるゆると過ごしていたのだが、そんな僕の部屋に突如として同い年の姉の
まぁ姉と言っても血の繋がりはなく、僕が中学に上がる前に母親が再婚したのだが、その時に新しく父親になる人の連れ子が潤花だった。
同い年だが、向こうのほうが先に生まれたので義理の姉に当たる。とはいえ同い年なので特に上下のあれこれもなく、結構親しげに接している。
まぁ、呼ぶときは『姉さん』と呼ばないと拗ねるんだけど。
そんな彼女が突然僕の部屋に飛び込んできたのだから何事かと思えば、手に持った携帯端末を見せつけてくる。そこには何やらゲームタイトルのような文字が表示されている。
英字である上に豪華な感じのフォントになっているため読みづらいが、雰囲気的にファンタジー物のようであることは辛うじてわかった。
「えっと? ドラゴニ……?」
「『
「……あぁ、あのゲームね」
そういえば僕が大学受験直前であたふたしてた時に、何かのベータテストに当選したと連絡を入れて来て騒いでいたな。
潤花の方は女子大附属の学校に通っていて、エスカレーター式なので受験は関係ないらしいのだが、だからといって僕に連絡しないでくれと、密かに恨み節を吐いていたのを記憶している。
その時は、あまりにも興味がなさそうな返しをしたからか、電話口で喧嘩しかけた事を覚えている。
ただ、その時の僕は受験勉強をしていた上に、元からそこまでゲームに興味ない事ってことを知っている筈だから、悪いのは潤花の方だ。まぁ、その時は母親が仲裁に入ったのでそれまでとなったが。
因みに、どちらかというと僕はゲームをやるよりは小説を読んでいる方が好きだ。そっちのほうが自分のイメージで色々想像することができる。
とはいえ、別に全くゲームをやらないという訳ではなく、半年前くらいに潤花から勧められた有名なRPGは、すっかりのめり込んでプレイしてしまい、一週間ほどでクリアしてしまったくらいにはゲームを楽しめる方だとは思う。
まぁ、おそらくはその事を踏まえてのこのゲームの誘いなのだろう。見た感じの印象はそののめり込んだゲームとよく似ている気がする。
「……えっと、これってフルダイブVRを使ったゲームだっけ?」
僕が当時の潤花の様子を思い出しながら、取り敢えず思い出した事について話すと、彼女は嬉しそうに頷く。
……脳科学と精神医学の研究の末に確立された意識の拡張技術により、フルダイブ式の
かつては業務用の冷蔵庫みたいな巨大な情報処理用のマシンを用意し、マッサージチェアーみたいなものに座ってから全身に電極を貼り付け、頭にバイクのヘルメットみたいなヘッドマウントディスプレイを被ることで、ようやく実現可能となっていたフルダイブVRであったが、現在は技術の進歩によって脳波をシンクロさせるゴーグル型のヘッドマウントディスプレイユニットと小型の処理マシンがあれば誰でも使えるようになった。
複数のメーカーによって競うようにマシンが開発された結果、価格も据え置きのゲーム機程度まで安くなり、現在では殆どの個人がフルダイブ用のVRマシンを所有するようになった。
その普及には、リモート業務やリモート授業といった非接触の対面方式が、人々の中で普通に受け入れられるようになった事が大きく関わっている。
今はこのフルダイブVRを利用して、離れた場所で映像のリモートではできない体の動作や体験を伴った会議などが行われたりしているし、学校の授業にも取り入れられていたりする。
当然ながら僕らも学校の授業でも利用するからという理由で、中学の頃に当時最新のフルダイブVRマシンを両親に買ってもらっている。安くなったとはいえそれなりにするはずだが、授業で使うためという名目で助成が出ている為、そこまでお金はかかっていないらしい。
まぁ、潤花は完全にゲームをするために使ったりしていたのだろうけど、両親二人ともその点をとやかく言わない性格だったのが不幸中の幸いと言えるだろう。そうでなければとうの昔に取り上げられていた筈だ。高校からは寮生活なので、更に楽しんでいそうだ。
さて、そんなフルダイブVR技術を用いたゲームの中でも、MMO――マッシブリー・マルチプレイヤー・オンラインというタイプのものは特に人気で、様々なジャンルの元に開発・運営が行われている。
僕が読んでいた小説の中にもこのVRMMOを舞台にした作品が多数あるが、その多くはこれが実現するよりも前の時代に書かれたものである。まぁ、フルダイブでなくても似たような仮想現実はその当時から存在していたみたいだけど。
そんなゲームのうちの一つである『
「中でも一番の特徴はゲーム開始時にドラゴンと契約して、一緒に戦ったりすることができるってところね」
「へぇ、ドラゴン。そういうゲームってドラゴンとかは最後の方とかに出したりするものだと思ってたけど」
僕がそう呟くと、待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな顔をして潤花が説明をし始める。
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