四柱の守り人
瑠璃川あおい
第一話 少年に起こる変化と新たな時代の幕開け
遙か昔に創造した広大な宇宙。多くの星々で様々な種族が暮らしている。しかし、いつの頃からか星々は争うようになってしまった。誕生させた命が次々と失われていく。それを阻止するために選ばれし四人に力を分け与え、彼らに使命を託した。
しかし、彼らの肉体はその力に耐えられなかった。一人消える事に新たな者に力を与えた。その度に宇宙は混沌の時代へと進んでいく。「暗黒時代」と呼ばれるその時代には、多くの種族が死に、星々が消滅した。
そして、現在もまた暗黒時代が訪れようとしていた。
東京の郊外にある土岐川児童養護施設。ここでは施設長と2人のスタッフ、9人の子供が暮らしていた。その中の1人、高校3年生の凛人のもとに一通の手紙が届いた。差出人はゲイル・ディマンシオン。その不思議な手紙にはこう書かれていた。
『突然の手紙でさぞ驚いただろう。もし君がこの場所に辿り着くことができれば、私にとってこれ程嬉しいことはない。しかし、それは君の人生を大きく変えてしまう。まだ若い君には、酷な選択だと思うが、どうかこの世界を守ってほしい。
傍で支えてあげることもできない身勝手な私をどうか許してほしい。』
手紙の最後にはその場所を示す地図と、1本の鍵が同封されていた。細かな装飾がされたその鍵はこの世の物とは思えぬ程輝いていた。その鍵を頭上にかざし見つめていた時、部屋の扉がノックされた。入ってきたのは養護施設の施設長だった。
「凛人、夜ご飯の時間だぞ。ん?それは何だ?」
凛人は鍵を施設長に見せた。
「この鍵、すごい綺麗だな。こんな物どうしたんだ?」
「手紙と一緒に入っていたんだ」
そう言って凜人は手紙も施設長に見せた。
「何も書かれていないじゃないか」
施設長の言葉に凜人は驚きを隠せなかった。
「私にはわからないが、何が書いてあったんだ?気になるなら調べるべきだ。それが大きく運命を変えることになってもな」
「そうそう、後悔してからだと遅いからな」
続くようにそう言ったのは、遅れてやってきたスタッフの1人、章治だった。
数日後、凜人は手紙の主であるゲイル・ディマンシオンを訪ねに日本から離れたある国へ赴いた。
空港から都市部へ、都市部から辺境の地へとバスを乗り継ぎながら目的地を目指した。凜人は気づいていないが、目的地に近づくにつれ凜人の体内に宿った種は少しずつ成長していた。
果てなく続く草原に、一本の細い道。凜人が辿り着いた場所は建物ひとつない自然豊かな場所だった。途中出会ったのは道端で商いを行っていた老婆だけ。そんな老婆の横を通り過ぎ、凜人は森の中に足を踏み入れた。森の奥に立派な小屋が建っていた。小屋に取り付けられていた錠前は、その小屋にはかなり不自然な物だった。凜人は迷うことなく持っていた鍵を取り出し、鍵穴へと差し込んだ。すると、小さな音を立てて扉がゆっくりと開いた。
建物の中は綺麗に整頓され、家具類はどれも新品のようだった。一際大きな机の上に置かれている一冊の本に気づいた凛人は、徐ろにその本に手を伸ばしていた。指先が触れた瞬間、本は眩く光り、重力に逆らうように空中に浮かんでいた。さらにその本は、意志でも持ち合わせているかのように自ずとページをめくり、あるところで止まった。
『この場所に辿り着きし、時の継承者よ。守り人としての使命を君に託す』
それだけが書かれ、最後にはゲイルの名が書かれていた。凜人がこの言葉を口にした瞬間、本は先程よりも強い光を放ち、凜人は思わず目を閉じた。光が消え、目を開けた凜人は小屋の入口に立っていた。しかし、目の前にある小屋は長い時間放置されていたかのように朽ち果て、とても人が住める状態ではなかった。凜人は思わずスマホを取り出し、日付と時刻を確認した。日付はその日のまま、時刻は数分しか経過していなかった。不思議に思いつつも、凜人は周辺の捜索を行った。しかし、情報は得られず、仕方なくもと来た道を戻ることにした。森に入る前に見た老婆は姿を消し、辺りからは動物の声が一切聞こえなくなっていた。
時は遡り、凜人がある国へ足を踏み入れた頃、地球上に存在する2つの島に異変が生じていた。異変に気づいた彼らが現地に向かうも、既に事は終わった後だった。2つの島は、そこに住まう人間と共にどこかへと消え去った。彼らは、それが新たな始まりだと気づいていた。この異変に気づかれないよう、地球人からこの出来事による全てを記憶を削除し、何事もなかったかのように装った。
凜人が帰国した頃から、異変は地球全体で見られ始めた。巨大地震や異常気象が頻発し、犯罪率が上昇していった。彼らの尽力も虚しく、犠牲者の数は日を追う事に増えていった。また、この異変の全てを隠すことが困難になり、徐々に異変は地球人の目に留まり、その度に不安と恐怖に呑み込まれていった。
彼らは犠牲者を少しでも減らそうと各地を飛び回った。しかし、彼らの想いをねじ伏せるかのようにその出来事は発生する。それは地球人が未来永劫語り継ぐ最悪の事件となる。
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