　——放課後。

　「黒崎先輩こんにちは」

「君は剣道部キャプテンの後藤君といつも一緒にいる友達だね」

　俺は和樹に恩を売るために現状把握をしていた。

「黒崎先輩は弓道部のキャプテン。　そして相澤奈美先輩はエース。　関係が深いのは必然。だからこそお聞きしたいことがありまして……」

「ふむふむ……男嫌いの件か。　君は友達の手助けをしているのか？」

「違いますよ、イケメンに恩を売るためですよ」

「…… まぁいい。　奈美は過去に大人の男性からひどい扱いをされてな、詳しくは言えないが察してくれ。　　君の友達に諦めるよう説得してくれないか？　心の傷が治まるまでまだ時間がかかるんだ」

　相澤さんの件は思ったより複雑そうだ。俺がどうこうできることじゃない。

　だがあのイケメンに恩を……いや、親友を助けたい気持ちが収まらず返事をせずに黙って棒立ちしていた。

「分かった。　では後藤君に奈美のリハビリを手伝ってもらう」

　その後すぐに黒崎先輩と連絡先を交換して学校を後にした。

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