魔王と勇者の転生記〜魔王と巻き込まれ勇者のはちゃめちゃ生活〜

とく

第1章 転生、そして幼少期

〜プロローグ〜魔王の暇つぶし、巻き込まれる勇者

「……暇だ。」


 彼、魔王ルステリオ(魔王国ルステリスの国王兼多種族連合協会魔族代表兼人魔戦争魔族側第一人者)は暇を持て余していた。


 魔王であるから友達などというものはいるわけがなく、配下も怖がって相手をしてくれない。

 人族とは戦争をしているが、正直戦略を立てるのにも飽きてきたし、ある程度終着点の目処はついている。それに、彼自身、戦争は全くの無駄であると考えている。


 おまけに、勇者ぐらいでないと彼とまともにやりあえない。かといってあの勇者テルミニスに「暇だから相手をしろ」などとは言えない。色々と問題があるし、そんなことで暇を潰していたら命がいくつあっても足りない。彼らは互いに天敵であるのだ。


 しかし、魔族や人族といって人種を分けているが、違いは生まれた場所のみ。

魔王の国ルステリスだと魔族、

勇者の国テルミニルだと人族。


 この違いは、ルステリオとテルミニスの何代も前である両国の国王である魔王と勇者が勝手に決めたものである。この違いをルステリオは、そして彼は知らぬがテルミニスも馬鹿馬鹿しいと考えている。国の名前を王が変わるたびに変え、国王の名前を入れなくてはならないのも気に入らない。


 話は戻るが、政治関係も配下がやってくれて、やることといえば民に向ける戦時報告などだが、数カ月に一度やるかやらないかで、ぶっちゃけ最近暇だ。どこか遠くで遊びたい気もするが、魔王としての役目もある。


「……何かおもしいろいことはないのか、、、」


 こんなことを考えているが、彼は一応魔王であり一国の王である。素晴らしい美貌の持ち主であり、スタイルも良い。魔王であるからして体術や剣術、魔術の腕も互角であるテルミニス以外誰も敵わないほど強いため、女性陣からはモテモテである。


そしてそんなことを知らない彼はふと思った。


 別に彼でなくても魔王は成り立つのではないかと。魔王は強き者がなるものだ。強いものなどこのルステリスにはウジャウジャいる。たとえそれがルステリオ以下だとしても強いものは強い。彼以外に魔王になる資格を持つものはたくさんいる。

 

 そして、この人生が暇なら新たな人生を送れば楽しいのではないかと。


「そうと決まれば実行だ」


 こうして、ルステリオは意気揚々と準備を始めた。置き手紙を書き、大事なものは魔王城の魔王専用絶対機密宝庫アブシークトレージャリーに入れた。

そして、新たな人生を送るための魔法術を作った。


「おそらく今世最後の創造魔法術…名前は…時空魔法、転生リーインカネーションだな。よし、では細かく時などを決めるとしよう」


時空魔法 転生リーインカーネーション、名前通り転生するための魔法で、細かい設定を変えることができる。転生する時(主に年)、記憶の保持の有無、能力の保持の有無など。


「時は、今から400年ほどあとにしよう。すぐ過ぎてもあと過ぎても困るからな。記憶の保持は有り、魔法系の能力の保持は有り、体術・剣術系は有りとするが年齢・訓練するごとにて解禁、おお、こんな細かいところまで選べるのか。我ながら便利な魔法だな。

…まぁ、こんなものだろう。時空魔法、発動」


 普通の魔法であれば魔法陣は必要としないが、今回のような大規模な魔法は魔法陣を必要とし、それが彼の部屋の床一面に広がった。


 その魔法陣を眺めながら、彼は願った。来世は楽しく過ごせるようにと。そして…めんどくさい政治関係をしなくていいようにと。


転生リーインカネーション


それと同時に、バンっとドアが開き、誰かが入ってきた。


「魔王ルステリオ!今日こそは…って、は?」


それは、人族の英雄である勇者テルミニスであった。


「あ」


その瞬間、二人はまばゆい光に包まれた…



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