第41話 パラダイスドラゴン

「ルーさまー! こちらですよー!」

「ルー様、こちらにどうぞー!」

「こちらですよ、ルー様!」

「こっちよ、こっち!」

「どうぞ、こちらにいらしてくださーい!」


 温泉の中に、美少女たちの声が響き渡る。ここは温泉の浴槽の中。ぷかぷかとお湯に浮かぶ僕を丸く囲むようにして、8人の裸の美少女たちが僕のことを呼んでいる状況だ。皆、惜しげもなく裸体を露わにして、非常に眼福な状況である。


 僕としては、少しくらい恥じらってくれた方がそそるのだけど……こんな楽園みたいなパラダイスで文句を言うなんて天罰が下ってしまうね。


 僕がぐるりと周りを見渡しても、どこを向いても裸の美少女が目に入る状況なのだ。しかも、皆僕のことを呼んでいる。誰の所に行こうか迷っちゃうな。でへへ。


「ほーらルー様。ルー様のお好きなおっぱいですよー!」

「私の方が大きいですよ」

「いえいえ、私のおっぱいの方が大きいですよー!」


 なんていうかアレだね。日頃の自分の行動の結果なんだけど、メイドさんたちの間では、僕はすっかりおっぱい大好きのドラゴンとして認知されているみたいだ。なんだか恥ずかしいね。


「あの、私のも、よろしければ……」


 そう控えめに言っておっぱいをタプタプと揺らすのはアンネだ。アンネは控えめな性格だが、そのおっぱいの主張は激しい。メイドさんの中でも1,2を争うほど立派なお胸をお持ちだ。たわわなおっぱいをプルプルと震わせて僕を誘っている。


「「「………」」」


 さすがにアンネのおっぱいを前にして、自分のおっぱいの方が大きいと言えないのか、メイドさんたちが一瞬静かになる。


「た、大切なのは形ですよ……!」

「そ、そうです。形や色も評価すべきです!」


 メイドさんたちの中から、震えた声が上がるが……。


「ですが、大きさも重要ではありませんか…?」

「「「くっ…!」」」


 アンネの一言により叩き潰された。これが胸囲の格差社会か……。皆すっぽんぽんだからね。パッドで誤魔化すこともできない。素の胸の戦闘力が丸分かりだ。


「あの、ルー様。よろしければ……」


 周囲のメイドさんたちを黙らせたアンネがおっぱいを下からぽよんぽよんと弾ませる。僕はそれに誘われるようにアンネのおっぱいへとパシャパシャと犬かきで近づいていった。


「どうぞ、ルー様」


 僕はアンネの言葉に導かれるように目の前にあるおっぱいをペロンと舌を伸ばした。


「あんっ! ふふっ。こうしていると、ルー様への愛おしさが込み上げてきて、お腹の下の方がキュンキュンします…。これが母性なのでしょうか……?」


 アンネの頬が上気して、黒色の瞳をトロンと蕩かせながら呟く。


 それって感じてるだけでは?


「愛おしさが込み上げてきて、わたくし……もう……っ!」


 アンネが眉をハの字にして、瞳を涙で潤ませ、切なそうな、何かを求めるような表情で僕を見つめる。アンネが昇り詰めようとしているのを感じた。


 これ以上はさすがにマズイのでは?


 僕はアンネのおっぱいを舐めるのを止めると、Uターンするようにアンネから離れた。


「あぁ…ルー様。もう少し、もう少しだけ……」


 後ろでアンネが切なそうな声を上げるのを努めて気にしないようにする。これはアンネの為でもあるんだ。アンネのおっぱいを舐めた僕が言うのも変な話だけど、アンネに変な性癖とか付いちゃったら可哀想だし……。


「さあルー様。次に大きいのは私ですよ!」

「いいえ、私です!」

「あの、私も良かったら……」

「こっちよ、こっちだってば!」


 僕がアンネから離れたら、さっそくとばかりにメイドさんたちが僕を呼び込む声を上げる。最初におっぱいの一番大きなアンネを舐めたからか、なんだかおっぱいの大きい順に舐めるような空気ができあがっていた。


 普段は礼儀正しく楚々としたメイドさんたちが、おっぱいをぷるんぷるん揺らして僕を誘惑する姿は、とても興奮するものがある。僕は恥じらう女の子が性癖なのだけど、こういうオープンな誘惑もすごく魅力的だ。


 僕は、メイドさんたちが描く円の中心まで犬かきで戻ると、その場でクルクルと泳いで回ってメイドさんたちのおっぱいの戦闘力を見分していく。


「ルー様、2番目に大きなおっぱいはこちらですよ!」

「いえいえ、私ですよ!」

「さあ、ルー様。こちらへどうぞ」

「こっち見なさいよ!」


 次に大きいのは……あの子かな?


 僕は狙いを定めるとパシャパシャと犬かきでおっぱいへと向かうのだった。



 ◇



「んんっ…!」


 目の前の小さく尖ったおっぱいを舐め上げると、クレアの口から熱い息が漏れる。クレアは眉をハの字に寄せて目を固く瞑り、まるで何かに耐えているかのような表情だ。しかし……。


「ぁ……んっ……あ……」


 その吐息には、どうしようもなく艶が混じっている。何かに耐えるようだった表情は次第に力が抜けて綻び、崩れていく。


「ぁ……なに、か、き、来ちゃ……え…?」


 そこで僕はクレアのおっぱいを舐めるのを止めて、真ん中へと泳いで戻るのだった。


「えぇー……!?」


 クレアの戸惑うような声を聞き流し、僕は次なる目標へと向かおうとしたのだが……。


「ええ、ええ、分かってたわよ。私が最後だって」


 そこには不貞腐れたヴィオが居た。


 さっき舐めたクレアが7人目。そしてメイドさんたちの人数は8人。次がラストの8人目になるのだが……ヴィオかぁ……。


 べつにヴィオに不満があるわけじゃない。ヴィオは気の強そうな綺麗系の端正な顔立ちをしていて、将来美女になることが約束されたような美少女だ。でも……。


「ほら、ルー様。次は私の番でしょ?来なさい」


 ヴィオが胸を張って両手で胸を寄せて上げる仕草をする。でも、全然胸が無い。ヴィオはちっぱいを通り越して無乳なのだ。ヴィオは幼すぎるのである。


 ヴィオの見た目は10歳ほど。整った容姿のメイドさんたちの中にあっても、ハッと目を引くほど頭一つ抜けた美少女だけど、さすがに幼すぎる。


 とにかくヴィオは魅力的な美少女だ。それだけに怖い。一度でもヴィオに手を出してしまったら、戻れなくなりそうで怖い。ヴィオはそういう危ない魅力を持った美少女なのだ。僕はロリコンではないはずなんだけど……ヴィオを前にすると自信が無くなってくる。


「ほーら、おいでー」


 僕は断腸の思いでヴィオの甘い誘惑を断ち切ると、アンネに向かって泳ぎ出した。


「なんで!?」


 後ろでヴィオの悲鳴のような声が上がる。


「ヴィオはその……幼すぎるのでは?」

「クレアとは2つしか違わないでしょ!」


 クレアの言葉に咬みつくように吠えるヴィオ。10代の2歳差はけっこう大きいと思うよ?


「ふふっ。ヴィオはおっぱいが無いので男だと思われているのではないですか?」

「それ酷すぎない!?」


 ティアのからかう声に、ヴィオが怒ったように水飛沫を上げて立ち上がるのが視界の端に映った。


「ルー様! ほら! 見なさいよ!」


 ヴィオの声にそちらを向くと、ヴィオが脚を開いて股間を前に突き出すようにして立っていた。


「私は女よ! お! ん! な!」


 いや、その恰好は女の子としてはアウトなんじゃないかな?

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