第22話 最強ドラゴン


 メイドさんたちの手によって、物理的に磨かれていくアンジェリカ。ぼさぼさだった髪も整い、爪磨きや歯磨きが一段落すると、アンジェリカがイスから立ち上がる。


「姫様、失礼致します」


 そうして始まったのは、お姫様の脱衣ショーだ。メイドさんたちの連携技によってどんどん肌面積を増やしていくアンジェリカ。そうだね。ここは衣裳部屋だもんね。そりゃ着替えるよね。いきなりのことで、ちょっとドギマギしてしまった。


 まず、アンジェリカのネグリジェが脱がされる。下着姿になるアンジェリカ。だけど、アンジェリカはブラジャーを着けていないので、その慎ましいツンと尖った胸が露わになる。先端のかわいいピンクも丸見えだ。


 次に脱がされたのはパンツだ。これでアンジェリカは、ガーターベルトとニーハイソックスだけの姿になった。大事な所がなに1つ隠せていない姿に、なぜだか無性に興奮する。


 次にニーハイソックス、ガーターベルトの順に脱がされ、アンジェリカは一糸纏わぬ姿を曝す。最初見た時も思ったけど、アンジェリカはすごくスタイルが良い。長くしなやかな脚、高い腰の位置、ぽんっと飛び出た丸いお尻に、キュッと括れたウエスト。特に、体のラインが美しいと思った。綺麗な曲線を描いている。胸がちょっと寂しいけど、それは今後に期待ということで。


 裸になったアンジェリカは、今度はメイドさんたちの手によって服を着せられていく。まずはブラジャーとコルセットが一体化したような下着だ。僕はあまり女性の下着に詳しくないから分からないのだけど、これ何て名前なんだろうね? たしかビスチェとかこんな感じだったような……違うかな?


 コルセットをキュッと締めると、元々細いアンジェリカのウエストが更に細くなる。折れちゃうんじゃないかと心配になるほどだ。苦しくないのかな?


 その後は、ニーハイソックスを穿いてコルセットから伸びる紐で留めて、最後にパンツを穿く。下着はどれも青みがかった白色だった。


 下着姿のアンジェリカは、とても美しい。元々綺麗だった体のラインに、更に磨きがかかっている。コルセットを締めてウエストを細くしたからか、胸やお尻が一回り大きくなったように見え、アンジェリカの年齢には不釣り合いな妖艶さすら感じた。


「姫様、本日はこちらのお召し物はいかがでしょう?」

「では、それにします」


 今日は薄い水色のドレスを着るようだ。胸元や肩も首元まで隠れていて、肌の露出が少ないドレスだ。白いフリルやレース、青のリボンに飾られた、清楚な感じがするドレス。アンジェリカにぴったりだね。アンジェリカは元が良いからなにを着ても似合う。

 ドレスを着たら、次は装飾品の番だ。指輪やブローチ、イヤリング、腰にも何か着けていく。


 これでやっと準備完了かと思ったら、アンジェリカがまたイスに座った。まだ何かあるのだろうか?


「姫様、失礼致します」


 メイドさんがまたアンジェリカの髪を梳き始めたと思ったら、髪をハーフアップにして結い始めた。しかも、ワックスのような物まで使って、かっちりと結い上げていく。たしかに綺麗に纏まるけど、ベタベタで気持ち悪くないかな? そんな心配までしてしまうほどのかっちり具合だ。


 そして、アンジェリカが髪を結ってもらっている最中。別のメイドさんがアンジェリカに化粧を施していた。ぱふぱふと白粉を叩いて、口紅やアイシャドウなんかもしていく。なんだか、アンジェリカが急に大人っぽく見えるようなった。化粧ってすごい。まるで魔法みたいだ。


「姫様、お疲れ様でございました」

「ええ。ありがとう」


 ここまでやって、ようやく身支度が整ったようだ。何分ぐらいかかったんだろう? たぶん30分以上はかかっている。メイドさんたちがフル稼働してこれである。お姫様の身支度ってとても大変なんだね。


 僕を抱っこしたクレアが、アンジェリカへと近づいていく。近くで見るアンジェリカはとても美しく、まさに理想のお姫様といった感じだった。なんだか近づくことが畏れ多いと感じてしまうほどだ。これがお姫様のオーラってやつか。


 そんなアンジェリカが、僕を見るとニコッと笑顔を見せる。その笑顔に、僕の心臓が高鳴るのを感じた。


「ルー、どうですか? 似合っていますか?」

「クー!」


 僕は何度も頷くことで応える。寝起きのアンジェリカもかわいらしかったけど、今のアンジェリカも大人っぽくてとても素敵だ。


 僕はクレアの腕の中から、アンジェリカにまるでお人形のように抱っこされる。今のアンジェリカに抱っこされるのはとてもドキドキする。


 大きな姿見に映されるのは、完璧なお姫様姿のアンジェリカと、アンジェリカに抱っこされてる白銀の小さなドラゴンだ。


 そういえば、自分の姿を鏡で見たのは初めてかもしれない。逆三角形のシュッとした顔と、頭に生えた4本の小さなツノ。体の形もトカゲとは違うドラゴンらしい見た目だ。まるで、パパママドラゴンをそのまま小さくしたような感じだ。僕ってかっこいいのでは?


 それに、まだ赤ちゃんドラゴンだからか、愛嬌もある気がする。かっこよくてかわいいとか、僕って最強なのでは?

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