第19話
「あんた、あたしの前に来ておくれ」
「――分かった」
おじさんは促されるままに、コユキの前に進み出る。
「……ところで、その鎌どうするのかな? まさか、それでバッサリと首を……」
「首は切らないけど、体を斬りつけはするねえ」
思わず後ずさるおじさん。……真っ青になるのも、無理はないと思う。
「いやそれ痛いよね!? 死んでもまた殺されなきゃいけないの!?」
「大丈夫、落ち着きなさい」
「やっぱ前言撤回! あんた死神だよ!!」
「おや、嬉しい事言ってくれるねえ」
「褒めてないから!!」
『死神』発言にのほほんと喜んでいるコユキだけど……うん。おじさん、大丈夫かな。というか、ぼくの時、大丈夫かな……。
「安心しな。斬りつけるといっても、対象は体じゃあない。あんたの“魂”だよ」
「……魂?」
「正確には、魂を刈るんだけどね。それがあたし達死神の仕事だからさ」
魂を……“刈る”? 変わった言い方だな。
「……要は、痛くないって事でいいんだな?」
「ああ」
「――なら、来い!」
「あいよ、任された」
力強く頷き、コユキは鎌を振り上げる。
そこでようやく、ぼくは覚悟を決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます