第5話 逃亡テロリスト傷害事件-外伝01
これは、主人公が気絶している間に起きた
5月の半ば、爽やかな季節。
東京の、オリンピック公園にあるスケートパーク。そこに、ひと組の男女が
片方の、さしてモテる方でも無かった高校生、
彼にとって、これは事実上の初デートだったから。
だが、彼には、彼に
奴は少年がピンモヒと名付けた、以前に
「くたばりやがれ!」
その下品な
「危ない!」
身を
しかし危険な刃は彼女の衣服を
「いや!」
裸の胸を全開放してしまった美大生、
「
彼女の愛らしい姿、
そんな彼の耳に、彼を付け狙う男、
「けっ! ちぃパイかよ……」
「許さん! お姉さんに謝れ!」
男の一言は、少年を
相手の特徴を
「逃げて……お姉さん、早く」
うずくまっていた女性が、彼の言葉に立ち上がる。
「姉ぇじゃん、あんだが相手じてくれんのがよ? なら、ガキおごして見せづけてやりゅかぁ?」
下品な笑い声と
だが腹部に
そして外伝は、そこから始まる。
「がぁ?舌打ちだど?」
少年にピンモヒと
彼女は男から倒れたままの少年を守るように、その前に立ちはだかる。
「はぁ……」
ため息一つ。美大生、
ボタンを留めたスーツで胸が
「ねぇ、
男の方など見る事無く、
「こいつ、ここまで
「何言っでやがんでぇ、この……」
ピンモヒの声など彼女の耳に届いていない。途中で
「丸投げ? 契約違反なんだけど! それ。ついでに! これ自前なんだけど、
自らの衣服を指差して、自称美大生は
「しかも! 私の保護対象、血ダルマにされたんだけど? これって責任問題なんだけど! 理解してます?」
そこまで一息に叫んで、
しばしの沈黙。
どこからも、彼女が呼びかけた相手からの
「あっそ! なら、こっちで片付けるわ!」
怒りと共に最後の
「この子こんなにした責任は、必ず取ってもらうから」
「バカくぁ? ごのアマ」
ピンモヒこと
「
少年に食らった一撃のせいで、更に
その
「げぇ!」
無防備な男の頭に向かって、
「浅い……」
彼女の
風を切る音さえした必殺の一撃は、
「やっぱり固定剤無しじゃ、無理か。しかも……」
着地と同時に飛び
「動けん」
その言葉に続き、いきなり自分の身に付けている、タイトスカートの両側を引き裂く。
「これだからスカートは……。せめてスリット無いと」
とてもスリットなどと呼べない程に切れ上がったタイトスカートは、少し動くだけで下着まで見えてしまう。
ほんの少し前、胸を隠してうずくまった
「ま、いいか。
薄く笑いながら、彼女はそう呟いた。
対照的に、凶器と化したハイヒールのつま先を
「でめぇだっだのが……」
秋葉原で自身が起こしたテロ事件、それをたかが高校生一人に台無しにされた。全ては、目の前の女の向こうで倒れている子供が
軍人
「うぁの時ぬぉ!」
自分を打ちのめしたのは、あの高校生では無い。
秋葉原のビルで少年を
忘れるには時間が足りない。あの
「忘れるわげ無ぇ、この
自分の
「でめぇも、ぶっ殺ず!」
その叫びに続いて、少年が気を失う前に聞いたのと同じ、あるいはそれ以上に巨大な舌打ちの音が、人気の無いスケートパークの前の広場に鳴り響いた。
半身に
「べらぼうめぃ!つまんねぇ事、思い出しゃあがって」
先ほどまでの、高校生とはしゃいでいた時とは全く別の、どこか江戸っ子を
「来な、ぶっ
そう言った彼女の目から、
まるで戦闘マシーン化した、と言うよりも
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