第8話 ニセ総理殺人事件-08
走り出した俺の目に、奴が、あの危険な電気シェーバーもどきを構えるのが
「ボウズ、ご苦労さん。交代だぜぇ」
それまで黙っていたオッサンが俺の声で、そう言った。同時に俺は体のコントロールを失う。
「少年、お別れだねぇ」
ニチャっと笑いながら、ニセ総理が言う。俺の体はオッサンの指示通り、右手に水の
「これで終わりだぁ!」
その点滅する赤以上に、真っ赤な球体が俺に向かって来ていた。
このスーツの視覚機能が、何かを知らせようとしています。これは、熱……
言い終わる前に体が動いた、ガス人間8号くんの声が俺の背中を押してくれたんだ。
オッサンの支配を
そこへ強烈な衝撃が。
「
何かが、ぶつかって飛び去る感じが右手に伝わる。
その瞬間だけ、円形の水の
再び夜の闇に包まれた裏通りで、俺の後方の路面が
熱です、ディスラプターの
いや、もう少し早く気付いて欲しかったな、ガス人間8号くん。
右手の水の
「オメェ、やっぱり
オッサンが俺の声で
とりあえず残りは左手の分だけ。果たしてこれで防げるのか? でも、ここでやるしか無いんだ。
「行くぞ! ニセ総理!」
叫びながら再び走り出そうとした俺に、1398番宇宙からのたった一人の侵略者が声をかけてくる。。
「何度も同じ手が通用すると思っちゃいけませんよ、君」
ニセ総理が高笑いと共に、そんなセリフを吐いた。
俺は
「うるさい! 試してやるよ!」
奴がディスラプターの出力を、更に上げています。
俺の目にも、スーツの機能で尾部の持つ手が倍以上赤く輝くのが
これ、無理なんじゃないのか? 防げるのかよ。ガス人間8号くん。
「さっきよりデカいのが来んぜぇ、ボウズよぉ、ここは任せろやぁ」
発射された
それを言葉通り、見えるなら大丈夫とオッサンはカンフースターみたいなポーズを取りながら、華麗に
「すげぇな、オッサン。今の
驚いた。
そうガス人間8号くんが肺の中で言う。そうだった、
「オメェだって
オッサンが、ガス人間8号くんに向かって呟いた。
気化生命体の俺、1637番宇宙の
何を
「何、言ってやがんでぇ、ボウズ」
考えた
何なんだよ、ハッキリ言えばイイじゃないか。そう思う俺に、また肺の奥から声が。
二人とも! 今は戦闘に集中してください。それに後ろの音が気になります、確認を……
と、ガス人間8号くんが言い終わらない内に、後ろから奇妙な音が。
振り返る俺の目に、高熱で溶けて倒れてくる薄暗い
「でも、これじゃ
大通りじゃないんだ、どう
派手な音を立てて割れた街灯の、飛び散る破片を浴びながら俺は考え込む。
どうする、どうすれば、どうしよう?
尾部が更に出力を上げています、これが最大でしょう。そして、これが最後でしょう。これさえ
ガス人間8号くんは、そう言うけど。ニセ総理まで、あと15メートルちょい。
「もう一回、
「逃げちゃダメだ!」
有名なアニメのセリフが飛び出しちゃったよ。今度のは、もう
「終わりにしょうねぇ、君。私は忙しいんだよ、時は金なりって言うでしょうが」
勝ち誇るように
俺が
もう一つ有る。だけど、これは。
「小さい。薄っぺらい」
右手の方は手の甲に張り付いてる程度、左手の水玉だって、さっきと同じくらいの
「雨さえ、まだ降ってれば……」
「何が言いたいんだよ?」
「あぁ、そう言う事かよぉ」
オッサンの
「ホントに
「一緒に叫べやぁ、ボウズよぉ」
左手を突き上げながらオッサンが言う。
「これで勝負だよな、オッサン」
俺の声で、オッサンが雄叫びを上げた。
「三千世界の
その呪文に応じて、路面の水たまりから、両脇の家々の庭木などから、ありとあらゆる所から雨水が集ってくる。
「それは、あの術師の? なぜだ! なぜ貴様が?」
異世界からの侵略者、
「おのれ! 術師めが悪あがきを!」
そう言うと同時に、ニセ総理は最大出力とかで凶悪な火球を撃ち出す。
俺は飛んでくるディスラプターの
水の盾は
肺の中から響くセリフを、俺は叫ぶ。
「反射できないなら、送り出してやればイイんだ!」
どこへ? 雨が止んだ曇り空へ。
瞬間、真昼のような明るさが路地を照らし、鉄パイプを打ち合すような音が
水の
「ば、ばかな!」
「バカは、お前だ!」
三人同時に叫んだのかも知れない。一気に残りの距離を
残った水をボクシングのグローブのようにして一撃を繰り出した左手が、顔を
「ひぃいいいいいい!」
真っ赤になるほど熱を持っていたガス人間8号くんの銃は、急激に冷やされた為に砕け散った。でも、こっちも何も無い。武器なんて、もう。
その時、こんなセリフが俺の口から流れ出た。
「遠慮すんなよぉ、ボウズ。肩に二本も差して
え? イイのかよ?
「
使わせて
「そう言うこったぁ、行くぜぇ!」
オッサンの気合で、俺は肩にストックされていた木の杖を引っこ抜き、ガラ空きのニセ総理のこめかみに
「んん、ぶぅ……」
何だか
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