第23話 痛そうな話 

 小学四年生のある日の私は、何かに急いでいたらしく歩道を一生懸命走っていると急に何かにぶっつかった。


 それは、路地からバックで出てきた青いトラックだった。


 私はこめかみをトラックの荷台にぶつけて、すっ転ぶと、足がトラックのタイヤの下に入った。


 道は砂利道。


 石がゴロゴロしてたから、細い僕の足は、幸運にも石と石の隙間に入ったために、つぶれずにすんだらしい。


 よく覚えてないが、私が経験した三度目の交通事故だった。


 と言うと、一度目があって、これも小学生のとき、父のバイクの後ろに乗って舗装のされていないデコボコ道を走っていたときだ。


「子供が落ちたぞー!」と遠くから見ていた人が叫んで父はバイクを止めた。


 私は、脇の小川にザブンと落ち、ケガはなかったものの、全身、ずぶぬれで、おまけにポケットに大事に入れておいた百円をなくして、その方がショックだった。


 さらにまた二度目も、小学生のとき、足のつかない大人用の自転車に乗って、急に止まったとき、足がつかないからバランスを崩し、そのまま、わきの用水路に転落した。


 みんなが笑い声をあげていたのをおぼえている。


 いずれも乗りものが一枚からんでいる。


 そののち、車を運転するようになってからは、幸いなことに、ぶつけてへこました以外は、事故の経験はないが、交通の事故は、乗りものさえなければ起きない悲劇だ。


 なにしろ、自動車を豆腐かこんにゃくで作ってもらう以外には、ぶつかったら最後、自動車に勝てるわけがない。


 最近の実験では空飛ぶ自動車が飛び始めている。


 やったー!空から落ちることはあっても、道路で車にはねられることはもう無いぞ……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る