第19話 銀河鉄道の朝
「あー、今日は仕事行くのやだなー」
こんな重い気持ちで朝から通勤電車に乗ることはないだろうか、とくに休日の翌朝とか、疲れの出始める週の半ばとか……
「このままこの電車が観光地かなんかに着いたらいいなあ」
そんなことを考えながら、電車に揺られぼーっとしていたその時だった、足もとがふわりと軽くなった感覚におそわれたとたん、電車が徐々に宙に浮き始めたのだ。
おどろいて、窓から外を見ると、電車はみるみる地上から舞い上がり、街の景色がだんだん小さくなっていく。
「そんなバカな!おれは夢でも見ているのか?」
そうこうしているうちに、電車は、一直線に雲を突き抜け、雲一つない青空に出ると、地上はすでに地図帳状態だった。
さらに飛び続けると、今度はあたりが真っ暗になって満天の星の輝く大宇宙が広がった。
「天の川だ!銀河だ!なんてきれいなの!銀河鉄道ね!」
方々から乗客の歓声が上がり、しばらく、天体ショーを満喫していると、電車はゆっくり向きを変え始め、地球を正面にとらえた。
「もう帰っちゃうのか」
みんな残念がっていたがいつだって旅には終わりがあるというものだ。
青い地球はどんどん近づき、白い雲を突き抜けて大海原が広がり、電車は陸地めがけてまっしぐらに進むといつも乗っている線路が見えた……
「ガタンゴトン!次は新宿、新宿!」
静かに目を開けると、電車は乗客で満杯だった。
あー、やっぱり、夢だったか……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます