第3話 朝の宇宙船

 朝起きて、外へ出ると、なんと、SF映画に出てくるような巨大な宇宙船が低空飛行をしながら、例のレーザービームを地上に向けて発射していた。


 晴れて青空のもと、旭を浴びて静かな街に、チュンチュンという音を立てて光線を浴びせている様子が迫力満点で、じかに、見た事もない光景を見ることに夢中になるほどだった。


 巨大なものが空中に浮かぶという違和感と非日常的な展開は、インパクトのある一日のスタートだった。


 そのうち宇宙船は、攻撃を止め、さらに大空に舞い上がり、あっという間に天空のかなたへ飛び去ってしまった。


 その勢いたるや、乗っているものたちの受ける重力は並大抵ではないだろうなと思った。


 また、やってくるのだろうかと考えると、果てしのない宇宙だから、何がいたって当たり前だろうと思ったが、しかし、彼らは、いったい何に向けてあんなにむきになって攻撃していたのだろう。


 気になってしかたないので、仕事をサボって、車で光線が発射された辺りに行ってみると、大勢の野次馬が集まって、文句を言っていた。


「あいつら、湖の水を全部吸いとっちまったぜ!」


「なあんだ、やつら水分補給に来ただけかよ!」


「いや、きっと、自分の星の水道料金の馬鹿くさい値上げで、よっぽど、頭へきたに決まってるさ!」


「どこの星もおんなじだな!」


 僕は、それにしても、宇宙人のやることはスケールが大きいなと感心したのだった。


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