03

────叔母一家クズども、許さまじ!!


奴らの所業の数々が胸に堰を切ったように蘇ると同時に、獰猛な怒りが点る。

“悔しくはないのか、命を賭して闘え!”と身体の奥底で“何か”が低く唸りながら信号を発し、焦げ付いた苺ジャムのように煮詰まった憎しみが依然としてむねの奥底で青い焔を上げ続けている。


クズどもが、易々と許されると思うな。

確かに長い間ずっと虐げられ続けたせいで心身ともに疲弊しているけれど、決して何もしないままで死んでなどやらない。

毒を食らわば皿まで。今に見ているがいいさ。さんざん侮辱し、心身共に追い詰めた奴らに報復を降す、ここからが自分こちらのターンだ。


報復さえ下せたらば、先など構うもんか。


ゴミ溜めのような職場は既に処分済みだ、次はもう1つのゴミにお似合いの滅亡計画を実行しようじゃないか。

…というか叔母一家ヤツら、嘘を塗り固めるのも限界があるのを知らない訳では無いだろうに。

負債額も、もう既に億に近いのによく生命の危機を感じないものだ。

自分以外だれかの金に全力で依存し、それを当然と言って憚らないクズが甘い汁を享受して生きていられるだなんて……この世界は芯から腐っている。


それに、この世界は自分をよほど抹消したいらしい。それができなかった腹いせに家族を奪い、唯一残った生家を奪い、自ら生を放棄させるために奴隷のような日々を強いた。


自分はただ、大好きな家族と生きていられたなら、それ以上は何も望まないのに。

なのにどうして、そこまで世界は私を嫌うのだ!!

今までは心臓の奥で燃えるおきでしかなかった感情いかりが、ふつふつと勢いを増して燃え盛りながら身体を廻りゆき、復讐を…更なる報復を訴える。


「…言われなくたって、ヤツらにケリをつけてから消えてやるよ…」


だって「普通」ではないから後ろ指を刺されるなんて“解せない”し、人間総てが同じ顔、基準、思想、思考をしている方が遥かに恐ろしい事だと思う。なのに、そんな道理すらも理解せずに周囲世界はただ相応そぐわない自分を排斥するのにバカみたいに一生懸命だ。


“この世界”の凡てが憎い。憎しみが止まらない。

拒絶するのなら、此方も同じく拒絶してやろうではないか。


長い睫毛に縁取られた榛色ヘーゼルの瞳には、冷酷な世界…そして人間への濃密な憎悪と反骨心が陽炎のように揺れていた。


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