第5話【VR?】地獄の沙汰も金次第
「ふむ、こんなものかのう」
クリスは腕組みして満足そうに課金した項目を確認する。
そんなクリスと同じく、視聴者たちも思い思いに楽しんでいた。
・コメント欄
名無し2 :初見プレイでクソゲーかもしれないVRゲームにここまで金をつぎ込むとは……
名無し1 :俺らも調子よくアレコレ言っちゃてたけどなwww
鬼苺 :このゲームもだけど、クリスちゃんもヤバい感じなのかな?
モノヅキ :あとはこれだけの金を掛けた価値が、このゲームにあるのか見ものですね
・課金した項目
『スタート地点選択300円』
『取得経験値5倍500円』
『スキル&ステータスポイント取得5倍500円』
『ドロップアイテム取得5倍500円』
『レアドロップアイテム確率3倍500円』
『クラフト成功率100%上昇500円』
『クラフト大成功率30%上昇500円』
『拠点要塞化(進化可能)700円』
『拠点絶対防御バリア700円』
『ゾンビウイルス完全適合体質700円』
『豪華初期スキル&ステータスポイントセット700円』
『インベントリ個数無限&重量制限なし700円」
『バイオロイド生成システム3000円』
『瞬間自動蘇生5000円』
特に高額だったのは『バイオロイド生成システム』と『瞬間自動蘇生』だった。
『バイオロイド生成システム』は、基礎となる生体遺伝情報を取得した後、別の生体遺伝情報や非生物を素材として掛け合わせて、バイオロイドを生成する事ができるシステムである。
サポートナビゲーター曰く、NPCを仲間にするのが面倒というプレイヤーにお勧めらしい。
『瞬間自動蘇生』は、プレイヤーが死亡すると瞬時に拠点に蘇生される仕様になる。
よくゲームで死亡すると、装備や所持品が幾つか紛失する場合がある。
このセイヴァー・オブ・ザ・アポカリスワールドもそういった仕様だったが、この課金をすると死亡してもインベントリ内の物も含めて蘇生後にも引き継げれる。
また、これが無いと死亡時に一時的なステータスの制限も受けるそうなので、クリスは即決で選んだ。
金で身の安全と強さを買い取れる。
課金ゲームとは愚かしくも素晴らしいシステムである。
課金したことに対してクリスに後悔はない。
これらはストレスフリーでゲームを楽しみたいお爺ちゃんには必要な課金であった。
「久しぶりに大人買いしてしまったのう。だが、これだけあればゲーム内で苦労することはないじゃろうな」
合計14800円の大人買いだ。
なんだかんだ言いながらも、お爺ちゃんの本気度がうかがえる課金額であった。
《課金の終了を確認。それでは最後に救世主のスキルとステータスを決めてください》
課金を終えたクリスにサポートナビゲーターがそう言ってくる。
そして目の前にステータスが表示された。
そこにはアバター名と、体力、攻撃力、耐久力、敏捷力、精神力、器用度。あとはスキル名が表記されていた。
体力~器用度までの初期数値は全て10になっていて、各種ステータスに割り振れるステータスポイントも10となっている。
同じくスキルポイントも10となっていた。
「ふむ。スキルポイントはスキル取得だけじゃなく、スキルレベルアップにも使用できるみたいじゃな。このステータスに課金を使用すると……」
先ほど課金したばかりの『豪華初期スキル&ステータスポイントセット700円』を使用すると、スキルポイントとステータスポイントが200に変化した。
・コメント欄
名無し1 :おっ、スキルとステータスのポイントが20倍に増えたぞ
鬼苺 :課金の力は偉大なり
モノヅキ :悪しき風習は昔から変わりませんね
「ワシにとってはプラスに働いたがのう。廃れないだけの理由があるという事じゃよ」
クリスは先にステータスポイントを割り振る事にした。
ちなみに体力~器用度の各項目は、タップするとその内容が確認できるようになっていた。
念のため各項目をタップして見てみる。
体力:HP及びスタミナ量
攻撃力:筋力、持ち運べる重量
耐久力:頑丈さ、ゾンビウイルスの適合率
敏捷力:反応速度、加速度
精神力:精神耐性値、スキル発動率
器用度:身体の操作性、スキル習熟度と成功率
・コメント欄
鬼苺 :内容を見てもよく分からないのは俺だけかな
モノヅキ :各ステータスが相互に作用してるみたいだから、極振りは止めといた方がいいかもしれませんね
「うーむ。鬼苺さんと同じでワシもよく分からんの。体力はなんとなく分かるんじゃが他の項目だと怪しくなるのじゃ」
中身がお爺ちゃんなクリスには少し難しかったようだ。
その様子を見かねたのかサポートナビゲーターから声が掛かる。
《疑問があるのならば、私が答えられる限りですが、どのような質問もお受けいたします》
「それは助かるのう」
クリスは視聴者たちと話しながらステータス項目について質問していった。
そうして幾つかの事が詳しく分かった。
攻撃力の持ち運べる重量は、その言葉通りの意味だった。
例えば攻撃力:1ならば、10kgの重量を問題なく持ち運べる力が備わる。
もしボーナスポイントを全てつぎ込めば、攻撃力:200となり2tトラックを一人で持ち運べる超人になれるのだ。
耐久力のゾンビウイルスの適合率は、ある意味一番重要な内容だった。
この適合率が低いと、ウイルスに侵されてゾンビになってしまうのだ。
反対に適合率が高いとゾンビウイルスを自身の力に変えられる。
人間をゾンビに変異させるゾンビウイルスは特殊な存在だ。
上手に扱えれば、適合者の身体能力を向上させたり、異能と呼べる特別な力を与える。
ちなみにこの異能が、ゲーム的なプレイヤー視点からするとスキルに当たる。
また精神力が低いとスキルが発動しづらくなり、器用度が低いとスキルレベルが上昇しづらくなる。
どのステータス項目も疎かにできないものだった。
・コメント欄
名無し1 :課金で『ゾンビウイルス完全適合体質』取ったらから、耐久力はそんなに上げなくてよくない?
名無し2 :それだと頑丈さも含まれてるから紙装甲になるだろ
「まあ、とりあえずステータは初期ステータスポイントが10じゃから、ひとまず一律30にしとけばいじゃろう」
クリスはステータスを操作して各ステータス数値を30に変化させた。
これでステータスポイント180を消費したので、残りステータスポイントは20である。
「残りステータスポイント20は……攻撃力に入れとくかの。攻撃は最大の防御じゃ」
・コメント欄
モノヅキ :ゲームにおける至言ですね
名無し1 :クリスちゃんは脳筋キャラだったのか
鬼苺 :だけど悪くないステータスになったんじゃないかな
名無し2 :ステータスがかなり上がったけど、体に違和感とかないの?
「そんな感じはないのじゃ。ゲームを開始したら効果があるのかもしれんのう」
ステータスが決まったら、次はスキルの選択である。
スキルポイント200を使用してスキルを選ばなければならない。
スキルをタップしてみると、スキルリストが表示された。
ただしその数がこれまた馬鹿みたいに多かった。
スキルリスト右上の全スキル数を見ると、10000という数字があった。
「うむ、これは流石のワシもドン引きするのじゃ」
そのスキルの数に引き気味に反応するクリス。
視聴者たちもこれには呆れと驚き半分であった。
名無し2 :このゲームの開発者に設定廚でもいたのかな?
名無し1 :オフラインゲームでこれはアホだろ。ゲームのリソースは大丈夫なのかよ
モノヅキ :これだけ大風呂敷を広げるだけのゲームだと期待するしかないですね
「そう期待されると困るのう。とりあえず、あとはスキル選択をすればゲームスタートできるから早く決めるとしようかの」
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