第6話とある神様、ぼーっとする
とある山奥の古い神社にとある神様が独りで住んでいた
春が訪れた感じの今日この頃、一日中ポカポカ陽気である
神様、神社のベンチに独りで座って、ぼーっとしていた
ぼーっと、ぼーっと、ぬぼ~っと
そこにすずめがやってきた
「神様、こんにちは。今日もいい天気ですね」
神様、それに答えず、ぬぼ~っとしている
「神様、ぼーっとしてどうかしたのですか?」
それでも神様、ぼけ~っとして、宙を見つめている
「か~み~さ~ま~」
とすずめが言いながら、神様の手の甲をくちばしでつついた
神様、やっと我に返ると、すずめを見て言った
「おう、すずめか、元気にしておるか?」
すずめは神様が我に返ったのを見てホッとして言った
「神様どうしたのですか?ぼーっとして」
「うむ、私は全身で春の気配を感じ取っていたのじゃ
まさに無我の境地じゃな。お前もこの境地に立つにはかなりの修行がいるぞ」
すずめはそれを聞くと、あ~あ、と思い、言った
「神様、ただぼーっとしていただけじゃないですか。
無我の境地になるとよだれを垂らすものなのですか?」
神様、油断してよだれが垂れていた
ずずずっとよだれをすすると、言った
「すずめよ、余計なことに気づくでない
これはよだれではない。神の聖水である。ありがたいものじゃ」
すずめはそれを聞くと、あきれ果て、言った
「神様、油断するのもほどほどにしたほうがいいですよ
ここにはたまにお客が来るのですから」
神様はうふふと笑うと言った
「あ~、すずめよ、それにしても、春の息吹はいいものじゃな
こんなに心地いいと、日々の悩みなど消え去ってしまうな」
すずめはそれを聞くとまたもあきれて言った
「もともと神様には悩みなんてないじゃないですか。
よくいいますね」
「何を言うか、私は日々、世の人々の憂いを背負っておる
世界平和を願っていつも、祈りを捧げているのじゃ」
というと神様は、両手を合わせて、南無~と言った
「神様、南無~って仏教で言う言葉じゃないですか?
神様と宗派が違うと思いますが」
「すずめよ、変なことにこだわるのは止めよ。
神はどの宗教に対しても寛大なのだ。クリスマス祝うしな」
すずめはふぅ~とため息をつくと言った
「神様は寛大なのですね。まぁ、いいことです」
こうして、神様とすずめ、春の心地よい陽の光に照らされ、
今日ものどかに時を過ごすのであった
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