第3話とある神様、早起きする
とある山奥の古い神社にとある神様が住んでいた
神様、いつもは昼まで寝ているのだが、今日は朝早く起きて、境内を掃除
箒を両手に持って、さっさ、さっさと掃いていく
「う~ん、よい朝じゃ、久しぶりに朝日を見るな
今まで朝は寝て過ごしていたから、新鮮じゃな」
神様、嬉しそうに箒でさっさ、さっさと掃いていく
そこにすずめがやってきた
「神様、おはようございます。神様が早起きするなんて、何かが起こりそう」
すずめはそう言うと、ニコリと笑い、神様の肩にとまった
「失礼なことを言うでない。私もたまには早起きするのじゃ」
神様、そう言うと、嬉しそうに箒でさっさ、さっさと掃いていく
「神様、ところで、今日はなんで早く起きたのですか?」
すずめがそう聞くと、神様は待ってましたとばかりに、喜んで言った
「ほほう、それを聞きたいか?しょうがないのう、話してやろう」
そう言うと、神様は箒を置いて、ベンチに腰掛けた
「今日は古いなじみの神がここにやってくるのじゃ。だから、神社を綺麗に
しておかないとな。」
「それはなんという神様なのですか?」
「それはな、心の健康を司る神じゃ」
すずめはそれを聞くと、えぇ?となった
「それは具体的にどんな神様なのですか?」
「そうじゃな、生きとし生けるもの、全てに悩みがあるじゃろ
そういう悩みを聞いて、安心させ、生きる元気を与える神じゃ」
「ええ?それはメンタルヘルスのお医者さんですか?」
「まぁ、そうとも言えるな。まぁ、そろそろ来るからお前も会ってみるがよい」
すずめと神様がそういうことを話していると、神社の階段を老人が登ってきた
「すずめよ、あれが、その神じゃ、名をメンタルさんという」
「メンタルさん。神様の名前が洋風なのですね」
「まぁ、今どきの時代に合わせた呼び名じゃ、昔は精神と呼ばれていた
もじどおり、精の神じゃな」
そう言っていると、メンタルさんが、とある神様の近くにやってきた
「おお、神様、元気かな?今日はこうして参ったぞい」
神様はメンタルさんと握手すると嬉しそうに言った
「メンタルのじい、久しぶりじゃのう。こっちはすずめじゃ」
と言ってすずめを紹介してくれた
神様はメンタルさんをベンチに座らせると隣に座った
「メンタルのじいよ、最近の人間どもの悩みはどんなものじゃ?」
メンタルさんはふぉふぉふぉと笑いつつ言った
「今の世はみな疲弊しておるのう。悩みも難しいものになってきたわい」
神様は山の下に住む人間たちの様子を聴くのが何より楽しみだった
なので、メンタルさんをたまにここに呼んでは下界のいろいろなことを聴くのである
「じいよ、このすずめ、最近イマイチ元気がない。なので悩みを聞いてくれるか」
そう言うと、神様はすずめを手のひらに乗せて、すずめの悩みを話させた
「メンタルさん、私、じつは仲間とあまり打ち解けられずに、
いつもこの神社に逃げてきています。
神様にお世話になっているのですが、これから私はどうしたらいいでしょうか?」
メンタルさんはふむふむと頷きながら、ニコッと笑うと言った
「無理して仲間と関わらずともよい。気のすむまで、ここにいたらよかろう」
それを聞くと、すずめはぴ~と大泣きしだした。感動したらしい
神様はメンタルさんとすずめを眺めながら、うんうんとうなずきつつ言った
「すずめよ、このじいの言葉、癒されるであろう?」
「はい、心に染みました。おっしゃるようにしばらくここにお世話になります」
それから、神様、メンタルさん、すずめで楽しいひとときを過ごした
朝の新鮮な空気を吸いながら、三人、陽の光に照らされて、輝いているようだった
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