とある神様の日常

ポンポコ

第1話とある神様と猫

 とある山奥の古い神社にとある神様が独りで住んでいた

この神様、人間の少女のような姿をして、巫女さんのような衣装を着ている

なので、いつもこの神社で働く娘と勘違いされる

今日も神様、やることはないので、ごろごろ昼寝

ぐーすか、ぐーすか、寝ていた

神社のお賽銭箱の周りは、陽の光が当たって気持ちよさそう

なので、神様、寒い冬はこの賽銭箱の前でのんびり昼寝


そこに、この近くに住む、オスの三毛猫がやってきた

この猫、寝ている神様のお腹を肉球でポンポンと押した

しかし、神様、熟睡中。起きない、起きない

「神様~、起きてください~、大変だにゃ~」

猫、肉球で神様のほっぺをぺたぺたする

「むにゃ、むにゃ、う~ん、なんじゃお前は?」

神様、ようやく起きると、目をこすった。でも眠そう

「神様~、うちの嫁がいなくなったんだにゃ~」

ちなみに神様、猫語をしゃべれる。なので猫とのコミュニケーション、ばっちり

「なんだとう、それなら、安心せい。お前の嫁はこの神社に来ておる」

「なんですと、なんでうちの嫁がこちらに来てるんですか」

「お前、昨日、嫁と喧嘩しただろう。なので、嫁は家出をしてきたのじゃ」

「おおい、ハナや、ハナ。旦那が迎えにきたぞ、顔を出せ」

神様がそう言うと、ハナと呼ばれたメスの黒猫が賽銭箱の横から顔を出した

「神様、うちの旦那はひどい人にゃ~、私は帰りたくないにゃ~」

そう言うと、ハナは旦那に向かって猫パンチをするフリをした

旦那はその姿にびびりまくり、神様に言った

「神様~、私はな~んにも悪くないです。それよりもこのハナが悪いのです」

神様はめんどくさそうに、起き上がってあぐらをかいた

そして、タマという三毛猫に言った

「タマよ、なにがあったのじゃ、申してみよ」

タマは泣きそうな顔で話し始めた

「神様、実は私、昔からけっこうモテるのです

なので、昨日、ハナと二人で歩いている時に、一匹のメス猫から「きゃ~すてき~」と言われました」

「なので、私はちょっと手を振ってみただけなのです

それなのに、このハナ、焼きもちをやいて、どこかへ行ってしまったのです」

そう言うとタマ、今にも泣きそう

神様は、それを聴くとう~んとうなってしまいました

神様にもこの微妙な感じはどうしたらいいのか良く分かりません

神様、とりあえず、ハナに言ってみました

「ハナよ、タマも悪気はなかったらしいので、許してやってはどうか?」

ハナはそれを聴くと、神様にも猫パンチをやりそうなほど、ぷんぷんしている

「神様、甘い、甘いです。うちの旦那は、そうやって他のメスにいい顔をして

隙あらば浮気をしようとしているのです。神様、どうかこの旦那に天罰を!」

神様、もう、なんだかめんどくさくなってきた

「では、ハナよ、タマを不細工にして、モテないようにするがそれでよいか?」

ハナはそれを聴くと、ぎくっとして言った

「神様~、それはやりすぎです~、うちの人、顔だけが取り柄なので」

「ハナよ、お前もめんどくさいな。では、こうしよう

タマは今後、他のメス猫に愛想を振りまかないと。これでいいじゃろ?」

ハナはそれを聴くと、嬉しそうに神様にお礼を言った

ハナはタマと一緒に神様にお辞儀をして、二匹仲良く帰っていった

「う~ん、夫婦とはめんどうなものじゃ、私は暇ではないのじゃ」

と言いながら神様は横になると、ぐーすか、ぐーすかとすぐに夢の中へと旅立った



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