なもなきハッピーエンド
大リンゴ地区はニューラグーン地方の玄関口の一つとして知られる自治区である。
当然仮名ではあるが、ここで書かれる断片は筆者の見聞きした出来事だ。
ナミは同級生のトリッシュによくこんなことを言っていた。
「わたしたち、いつまでもいっしょよね?」
トリッシュは笑いながらこう返した。
「さあ、それはどうだか、わたしもいつか恋をするにゃ。貴女がたとえば金持ちならかんがえてもいいけどにゃあ」
そしてそう言うとまたクスクスと笑うのだった。
ドヤドヤと人した人だかりを抜けてウェインは事件現場に入った。
「あ、ウェインさん、遅いですよ」
「すまんね、それで被害者は?」
ウェインに問われた鑑識は、答える。
「えーと、被害者は刃物で斬られてて絶命。とても深い傷痕が残ってますね」
「ふーん」
アーサーはウンザリした表情で銃口を向けた男にグチる。
「ったく、めんどくせえ事しやがってよ」
「ゆ、ゆるし」
銃声。男は額から血を流して倒れる。
「黙れよ、ゴミカスが」
「ハル、ゴハンよ」
「はあい」
少女の生返事を聞いて母は、ため息を吐きながら声を掛ける。
「ハル、早く来なさいね」
母が立ち去った気配を感じながら、ハルは机にかじりついて、もくもくとナニカを描いている。
ある日のカフェ『フラワー』
カップルがカフェオレを飲んでいる。
「ねえ、ぼくたちはなんで付き合ってるのかな?」
タクミが問うと、ミカゲは笑いながら答える。
「そんなの、理由がいるの? 理屈じゃないでしょ?」
つまるところ、今ワタライが銃口を突きつけられているのは自業自得だった。
「これはこういう状況になったときに大概聞くんだけどにゃ」
銃を突きつけてる猫が言う。
「今の気持ちは?」
「最悪だよ。こんなくそな思いをするくらいなら最初から寝取らなかったほうがマシってくらいさ」
少年はエントツのある工場が気になっていた。
街の外観にそぐわないものだったからだ。
「これ、なあに?」
問われた父はこう答えた。
「これは電気を作るところだ。ほら、電気が光っているだろ。……あの建物の上に、でっかい機械があるだろ? あれはな、水を温めている」
「どうして?」
「なんでだろうなあ」
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