これは小説にあらず

自己認識の遊び

 わたしは小説を書くことを、ツラツラと考えている。しばらくすると、吐き気がしてきた。


 サッカー選手花曇氏、不倫について曰く

「浮気と不倫は似て非なるもの。浮気の相手も好きであれば不倫」


「でもそれは、男の側の考えですよね?」


「celwydd a distawrwydd」


「我らが友よ、お前に命ず!酒と煙草はやめよ!」


「僕たちにはもう時間がない。でも君にはある」


「"ایسا لگ رہا تھا کہ وہ غصے میں ہنس رہا تھا۔"」


 わたしが家の周りをジョギングしていると、公園のベンチで眠るように前屈みになっている男を見た。揺さぶって意識を取り戻させ

「どうしたんですか?」

と、訊ねると男曰く

「ああ、すみません、昨夜から何も食べていないものですから、つい……。でも助かりましたよ。ありがとうございます」


「信仰を持つ理由ですか? 私は世捨て人になりたかったのです。誰とも関わらず、日々を清らかに生きたかったのです」


「ここでにゃされていることは、1つの断片を別の断片とつにゃぎ間違えることで対立するものを、分かち難く結びつけてしまう、そういう効果にゃのです」


「詩は私にとりまして、ほとんど唯一の文学であったようです。そしてそれは私にとって実に貴重なものであった」


「子どもの頃、私は『不良』でした。学校ではいじめられていて、家でも虐待を受けていました。里親の家に来てからは、自分のような子どもを助けたかったから、自分も愛されていいのだと思えました」


「青春は人にとって一度しかやってこない。ならば、その瞬間を精一杯楽しむべきだ」


「この館の窓にはカーテンも引かれていなかったし、壁紙も貼ってはいなかった。天井から下がったシャンデリアが揺れることもなく、階段の手すりは鉄ではなく樫材であった。ここには昔、本当に立派な邸宅があったのだ。その記憶だけが、この屋敷を幽霊屋敷たらしめている」


「探偵という奴は、奇怪な人間だな。まったく、女みたいにぺらぺらとよくしゃべるくせに、考えていることはさっぱりわからんのだ」


「私の哲学ですか。そんなものはありませんよ。しかし、強いて言うなら……そう、世の中を本気で変えたいと思っていることですかね」


「『継続は力なり』です」


「Mae cariad yn rhad ac am ddim. Er bod gan bob person radd wahanol, mae gan bob bod dynol, yn ddieithriad, rwymedigaeth i garu a charu eraill yn ddiamod」


「私は、人間が生命とは何かということを知りたがっている。その秘密をつきとめてみたいのだ」


「人は一人では生きられないが、人が集まれば必ず諍いは生じる。だから私は孤独の海に漂うことにする


「諸君、私は放蕩に身命を打込んでいる。私の、この一生の事業は放蕩である」


 秋月国関口は、小さいながらも大陸と秋月島の文化を合わせた独自の文化を展開していて、旅の猫は

「これは、南の都というのにふさわしいにゃ」

と、感嘆したという。


「あなたにふさわしい資産運用を」


「私の市長就任は、腐敗した市政を正すためです。そのために市民から厳しい監視を受けることも覚悟しています」


「かれらとは接触してない。もし接触していたら、今頃は豪邸で不死鳥をなでていたかもしれないけどね」


「わたしは商品をただ適正価格で売ったまでで、その使用については一切の責任を負わないニャ」


「私の貧乏は、私以上に私を知っているワン」


「仁義ってのは、堅気さんの社会と一緒で、いのち懸けなきゃ組のために働けない。その根性をワシはと呼んでるんだ」


「大体のものは、己に忠実であろうとしたその欲望の中に死んで行く」


「რატომ ცხოვრობ」

「Იცი」


「بلاوجہ آپ کس قسم کے چیری کے پھول ہیں؟」


「あの銀色の球体は、SF映画に出てくるような宇宙人の乗り物ではなく、かつてこの星に存在した何かの機械である。その証拠に、それを動かしていたエネルギーはアニマによっていたと思われる」


「いや、私はあの患者には会ったこともない。あれは別のヤツだよ」


「我ながら、情無いことをしたもんだ!」


「黙っていたら、周りが勝手に誤解してくれるのさ! 言葉など必要なかった!」


「断定ができず、あいまいさを生きるほかにゃい」


「私は自分の人生において常に真実を追い求めてきた。そして今、それが達成されたと感じている」


「だが、彼らが掲げる革命に賛同する市民は少ない。だからこそ我々は団結し、戦い続ける必要があるのだ」


「革命は血をもって完遂しにゃげればにゃらない。流血のにゃい革命など、言葉の上だけの戯言にすぎにゃいのだ」


「彼は暴力的で、それにしつこかった。パンチを何発も受けたよ」


「そんなことは許されない。我々が正義を執行すべきである」


「私は帝国が、かつての政治体制を覆し、いわゆる共和国に近い国家へと変質したことを深く憂えている」


「შემეშინდა. როდესაც საზოგადოების გადარჩენა და ჩემი ცხოვრება აწონ-დაწონეს, უპირატესობა პირველს მივანიჭე. გულში ეშმაკი ბუდობდა」


「国民にとって、政府に奉仕する人は誠実な人です。政府は国民を支配します。国民の幸福のためだと政府は主張しますが、これは誤りです。政府が政府であるために国民の幸福が必要なのだと私は思うのです」


「我々は民主主義国家の軍隊として、国民の要求に対して可能な範囲で対応したに過ぎない。武力を持って政府の首班を捕らえたのは本意ではないが、平和的な解決方法はとても平和的な解決方法だとは思わない」


「我が目にかくも美しく映りたるは、なんとなれば 吾が熱愛せしは政治にあらずして、酒と女と遊戯なりき」


「理由はどうあれ、仮想敵国には変わりないでしょう」


「確かにそうです。そうではありますが、それ以上に市民の死傷者の数が……」


「我々は戦争を終わらせる義務がある。敵国を完膚なきまで叩き潰すまでは、如何なる犠牲を払おうとも止まるわけにはいかない」


「不穏分子は兵に訓練を課したのと、新たな兵として志願してきた者によって排除されました。反乱分子を処罰した証拠も十分にあります」


「私は、ただ、戦争を早く終わらせようとしただけだ。なのに……なぜ、私がこんな目に遭わなければならない」


「ああ、困った人々よ。当局を誰もそんなことを信じはしなかったのです。私はヤツらの横暴を懲らしめるために雇われたのですからね。民衆は暴動で好き勝手にやっているが、これもやがて民衆に同程度の自由をやることになるのだからと私を激励しましたよ。あとでも望みがあれば何でもやるというのです。そら、今でも崇拝してくれる小さな群集の残ってることは信じているでしょうね?」


「俺は別に善人じゃない。目の前に困っている人がいたから助けただけだ」


「我々は、現在で満足する。そして、将来を楽観的に予測することで満足する」


「ああそうだとも。我々はそれを生き抜いてきた」


「どうしてこうなったのか。こんなはずではなかった。これは陰謀だ。誰かが意図的に仕組んだことだ」


「本当の問題は社会の造り方にある」


「もちろん、これまで通りの方法でやる。我々の使命は愛を伝えることだ。しかし、その中で何かが変わりつつあるのかもしれない」


「我等の身体は本当に普通のものたちと同じものか?」


「まあ、僕はあんまりそういうことはしないけど、でもやっぱり差別は良くないって思うよ」


「俺の仕事は、もっぱらゲリラのリーダーや幹部へ接近して、彼らの動向を逐一報告することだった。潜入工作員としての業務は完璧だった」


「とにかく戦場の悲惨さを伝えるべきだと思った。(撮影に)耐えられるぎりぎりのラインが、そのあたり」


「哀れみと恐怖こそが、悲劇が呼び起こすべき真の効果にゃのです」


「平和を欲すれば、戦え。然らざれば、死を見よ」


「私にはあの方がいらっしゃいます。あの方のお陰で私はいまこうして生きていられます。どうぞ放っておいて下さい」


「あれは、美しかった。全ての人間を魅了した。女は、彼を忘れられなかった。刑事の男もだ」


「とんなことでもいきなりではなく、ああだ、こうだやって分かるが宿った後に、ようやく学びが面白くなるのであります」


「それはただ強いだけでは成し得ぬことなのだよ。竜殺しに必要なのは、強さだけではない」


「自身の発見の影響力を認識すると、非常に罪悪感に襲われる」


「かりそめにも人類の生存を許されている間は、一応執行猶予というようなこともあるわけであろう」


「あにゃたの指摘には同意できにゃい点もあるかもいれにゃいが、改善するためにわれわれはにゃにができるだろうか?」


「わが党は暴力革命路線をとっておりません。もし、同志のいう虐殺行為および爆破事件の犯人がわが同胞であるなら、その者は必ずや良心に目覚めて正道に戻ることと信じます。」


「皆さんには、自宅待機令が発布されたことは御存知のことでしょう。われわれは、この地で重要な地位を占める者として、我々を監査するために派遣されています。皆さんの生活について知ることは、極めて重要です。われわれは当然のことながら、一切の合法的な理由に基づき、活動しているのです」


「我々は政府による企業活動への介入を支持すべきではなく、市場経済の原則に従って国を運営するべきです。これにより、国は持続可能な発展を遂げることが可能であり、国内需要や雇用を確保することもできます」


「あの程度でいいなら、もっと上の奴らが沢山いる。我々は善良な政治家だ」


「Un hedyn yw cariad a thristwch」


 俳優岸部五郎氏、不倫報道を記者に聞かれて曰く

「奥さんは美人です」


「あれは不倫じゃなくて、ラブストーリーですね」


「彼女は、前々から交際していた二歳年下の若い男とできちゃった結婚し、その後離婚したようです」


「わたしはあの人に夢中になる気はなかったけれど、彼はわたしを夢中にさせたんだわ。そうならざるを得なかったの」


「男女の関係があったことは確かでしょう。しかし、それは不倫と言うよりは、恋愛の延長線上にあるものとして解釈すべきだと思います。もちろん、それによって彼女の心は傷ついていると思いますが、これが彼女の生き方だと言えばそれまでです」


「まだ別れてないけど、わかれることになると思います」


「どうしても罪悪感を感じるのは仕方ありません。だからこそ余計に興奮するんですけどね……」


「思う存分遊んで気がすむと、その遊びが一転して神聖な儀式となる」


「その快楽のすべてを享受するのが、あらゆる徳のうち最も貴重な美徳であることは明白な事実である。われわれは何よりも快楽を享受しなくてはならない」


「作家同士で仲が良すぎて、あんまり恋愛にならないんですよ。でも、死ぬときは一緒なんだよねって感じ」


「ただ、僕が今でも忘れられないのは、あの夜の君の美しさと楽しさだけだ」


「ああ。……この身は、ただ君のためにのみ、在る」


「彼女の歌詞と歌声は、この世界への愛に満ち溢れている」


「私の女性がたは、決して私をとがめない。なぜなら私は、いつも彼女たちを楽しくさせ、喜ばせているからだ」


「あの頃は本当に迷惑を掛けたと思う。経営者としては失格だったよ」


「人間、睡眠時間が減ったくらいで死なん!」


「……というわけでね。僕はもう、その件については『ああそうですか』と腹を決めてしまってますから。まあでも一応、ご迷惑をかけたみなさんにお詫びを申し上げようと思ってね」


「そうそう、口の悪い連中がいるからさ。『今度はどれを書くんですか』って。嫌味で言うのかと思ったら、本当にそう訊くのがいるんだ。こっちが返事できないと、それをまた皮肉と思って怒るんだよな」


「それは詩にゃるものを、避けて通る。わたしは、きらう。わたしをゆくりにゃくするばかりのことをするものは、にゃ」


「私は詩人であるが、同時にまた芸術家である。私が子供の創造力に関して非難するのは、これは私が彼らと同じ程度にも幼稚化してはいないと思うことを証拠にするのだ」


「我が国の映画の公開についてだが、思うところがあるのでしばらくは保留としてくれ」


「私は自分の脚本に一切妥協しない。いつも完全に満足できるものでなければ気がすまないんだ。また主演俳優にも絶対に妥協したくない。それで時々困ることがあるね」


「私の芸術作品は、聴衆の心を揺さぶることができると信じています。観客が自分自身の音楽体験を共有できることを願っています」


「芸術が子供のために創られた! ああ、それは私の職業に関する信念を根底から揺さぶる考え方だ!」


「ミュージシャンにとって政治もひとつの表現だ。僕がつくる音楽のメッセージ性のようなものが、なんらかのかたちで伝わればいいし、それは間接的に伝わるべきかもしれない」


「この声明文をご覧ください。先ほど届いたものですが」


「つまり犯人が書類をどう盗んだかというと、まずあなたに罪を着せるために、あなたの部屋へ侵入し、机の上にそれをおきました。それから窓の外のテラスに出て、あなたの部屋の真下に立ちます──そうしておいてから、下にいる召使いたちにむかって、『誰かこの部屋にいるのか?』と呼びかけたのです。当然のことながら、返事はないでしょうね? そこで、かれらが誰もいないと思っているうちに、窓から中に入ってしまったというわけですよ。あとはもうご存じの通りだ。ドアの鍵をはずす必要もなく、書類を持ち出すことができた。もしぼくたちが調べなかったら、おそらく犯人はまんまと逃げおおせていたに違いないですね!」


「悪いのは、悪いことをする者だ。私は、犯罪を憎まない。私が憎むのは、弱い者いじめだ」


トリッシュ夫人、政治家として修羅場をググり抜けたことについて

「ああ、あんなのはね。大したことじゃないのよ」


「この国では、先代皇帝の時代にかなりの数の貴族が粛清されました。理由は様々ですが、暴力によって帝国を牛耳ろうと目論んだことが一番の理由です。中には財産欲しさに手勢を率いて反逆した者も多かったようですが、その大半は即日処刑されたと聞いています。それも殆ど拷問にかけられて、と。もっとも、粛清された貴族の中には、それまで裏で繋がっていた大商人や諸外国のスパイが混ざっていましたから、あながち皇帝陛下の政策は間違いではなかったのでしょう」


「皇国との冷戦は、長期化の様相を呈しています。このまま行けば、帝国がこの世界の最終戦争を仕掛ける可能性があると指摘する専門家もいます」


「私は国民に奉仕する。そのためには、私心を捨て、いかなる労苦をも耐え忍び、 この身を祖国の礎として捧げる覚悟である」


「支配欲にはとらわれているものの、他人の持つ力を不当に押さえ込み、自由を抑圧したりは決してしない」


「戦争は悪ではない。たとえ相手からそうみられても、悪いのは戦争そのものである」


「砂をこねて作った兵は、敵兵が近づくと崩れる。だがその実、形さえあれば相手は倒れる」


「戦争というのは結局のところ、勝つのは人でなく金でもない。ひとえに器量がものを言うものだ」


「屈辱に腸が煮えくり返る思いであったが、私自身もこの境遇に甘んじていたわけではない」


「しかしながら、提督! それは不可能です」


 帝国東部にあった軍閥の将軍浮田之景は梟雄として知られ、内外で暗殺をはじめとした謀略にかれの名が常にあるほとであった。珍しく表にでたインタビュー記事の中でかれは、自身の所業をこう語る。

「罪がない、といえば嘘になる。だが私はこう考えるのだよ。社会の悪性にあえて立ち向かう人間が必要なのだと」


「ჩემი ცხოვრება სავსე იყო გაჭირვებით, მაგრამ ბედნიერი ვარ, რომ ჩემი სამეფო მაქვს」


「私は、あの方に、あなたが私を愛してくださらないからといって不平を申しませんわ」


「その女が、食堂のテーブルについていたのは、おそらく四十八時間ぶりのことだったろう。それが最後の食事だったとしても、べつに不思議はなかった。しかし、女はそのあとに出てきたものまでたいらげた。それはステーキの一片で──付け合せのポテトではなく本式のものだった」


 ヒッキー氏は貧しいながらも、貴族主義者で、例えば食事も常にフルコースであった。いつも言っていたモットーは

「飢えで死ぬなら本望である。貴族には飢えて死んだ者は一人もおらぬ」


「よく食べ、よく眠り、よく楽しむことこそ重要だ。人生の素晴らしさを分かち合えないだなんてもったいない」


「春は山菜と山女魚の天ぷら、夏は鮎、秋は松茸の土瓶蒸し、冬はフグ鍋でございます」


 酒屋ヴァーゼンハウスの店主、自身の店の名物であるワインについて

「これはね、もう、とっても良いものなんですよ。まずですね……(以下1時間くらい続く)」


「ジャガイモは、観葉植物か何かを育てたほうが、良かったかな? と思いながら、収穫しました」


「料理は好きですが、そんなに大した腕前ではありませんよ。女房の方がうまいんです。料理の腕で女に惚れることはありませんからね」


「そんな大層なもんでもないさね。あたしの料理なんて、簡単なものだよ」


「お客様のご希望に合わせて、ホテルスノードームはいつでもどこでもお待ちしております」


「とても丁寧に接してくださります。どんなことにも嫌な顔ひとつせず、また言葉遣いも丁寧で、非常に好感が持てます」


「料理の味にケチをつけるなど料理人にとってこれ以上の屈辱はありません」


「それでなかなか痩せないけれど、私は結構好きだから苦労だね」


「以前の病気がぶり返し、症状は1月以上も続き、わたしを酷く弱らせた」


「ある夜、私は悪夢を見た。ひどく恐ろしい夢だった。夢の中にはあの怪物がいた。私の精神を蝕む病変が、そこで眠っていた」


 俺はなぜ、このいっけんマズい料理が自分には美味しいかわからなかった。しかし、なぜ懐かしいかはわかった。なぜならそれは、この料理に「おふくろの味」を感じたからだ。

―花田という猫の回想録より


「あすこでうまいもんを食うと、ほかのもんが物足りなくなる。あれを一度知ってしまうともうだめだな」


「あれな、実はニンニク入ってないの。ニンニク嫌いだから」


「お正月の余興にと作った菓子だ。あれは大変美味だった。この味を真似ようとした奴は、一人残らず汚物を喰う羽目に陥るだろう」


「わたしのような凡人に、陛下の健康を守るという責務が担えるものでしょうか? 自信がありません。ゆえに、此度の責任を取って自決する次第です」


「この世にはうまいものとそうじゃないものがあるわけですよ。それこそ千差万別、十人十色、蓼食い虫に蟹食い虫」


「あすこでうまいもんを食うと、ほかのもんが物足りなくなる。あれを一度知ってしまうともうだめだな」


「お嬢さまと一緒に魚を釣り上げる時は、てめえの命にゃど必要ねえのさ!」


「美味しいものを食べさせてあげると言われても、行かないわよ。そんな余裕ないもの」


「悪いものなんかひとつもないんだ。全部よければそれでいいじゃないか」


「海と山に囲まれたこの町で、美味いものを食べて、冷たいビールを飲んで、そして夜は可愛い子ちゃん達と一緒に熱い一夜を過ごす。これが俺の夏の過ごし方だ」


「おやきの中に入れるものには、その都度こだわっとる。ウチのおやきには、苦いエスプレッソがよぅ合うわ」


 大陸北東部の小さな港町、小泊にあるペンギンが主人のバーは、夏はオープンテラスとなり、地ビールが美味しいの評判。店主曰く

「うちのビールは北国の麦を使ってるからね」

とのこと。


「温泉も、他の旅行先と同じように旅程を作って案内すると、観光客はたいへん多くなりまして、それでホテルの宿泊場まで混み合うというふうになるのです。そしてそうした混雑に妨げられるのがいやさにして、私たち観光客の大半はほとんどホテルにも泊りませんで、ただその土地の温泉場にある旅館やホテルに泊り、そこにただ眠るだけで満足しているのです」


「Dim ond tra ei fod yn taflu y mae fy mhenelin yn brifo」


「確かに、わたくしは神との邂逅を果たしました。それはこの世の理の外にあるもの、奇跡とも呼ぶべき現象。しかし、それと同時に、その奇跡が決して救いをもたらすものではないということも理解しました」


「そもそも戦争と平和の境界線などというものは、実は存在しないのです。何故なら、戦争とは国家が自国民を領土から追放し、他の国民の人権や生存権を侵害することです。しかし一方で、戦争は平和そのものであるとも言えます。何故ならば国家間の政治対話による合意によって交戦地域を非戦闘地域にすることが可能だからです。そして、その平和の敵とは国家や政府ではなく、人間なのです。戦争犯罪者を裁くということは逆に平和を作り出す行為でもあるのです」


「かれらは、私の親友にたいする最大の裏切り者であると、私はここに断言します。かれらに付いた知識人や政治家たちは、私が亡命を余儀なくさせられるにいたった真の、そして決定的な理由を、未だに何も知りません」


「自分は可能な限り正しい行為を行なった。他の誰かがもっとうまくやれるとは考えられなかった」


「全く御心配には及びません。これが医者の平時なのです」


 わたしはあるとき、医者から

「ああ、あなた、これはもうダメだ」

と、言われた。

「ダメってどういうことですか?」

「全身に病巣があるのです。あと1年持つかどうか・・・・・・」

 わたしは今にも泣きそうな医者や看護師にはにかみながら感謝の会釈をした。

 

ただ1名

咳をしながら

タイプする

全てが終わる

そのときを待つ

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