第2話  回顧

今から18年前


昭は、小学4年生

親父は、飲むと暴れる酒乱だった。

それだけではなく家に帰らない日も多々あり

昭にとってはただ怖いおじさんとしか写っていなかった。

母も、耐えていたのだろうが結婚して10年

日本女性を思わせるようなおとなしい女性だったが

ついに離婚を・・・・


昭10歳の時だった。

昭は昔から親父には恐怖心を抱いており

いなくなったことで清々した。

ただ幼いながらも、母を守ってやらなければという

かわいい正義心が生まれたのも、当然の成り行きだと言えよう


昭は中学に入り、母のためにと勉強に没頭した

そのかいがあって、県下でも3本の指に入る進学校に入学できた。

しかしレベルが高く、昭は必死に勉強した

もちろん友達との遊びも勉強への時間と消えていった

クラスでは、何を考えているのかわからない、暗いイメージとして

皆に思われていたが、昭は、母のためだと気にすることは無かった


しかし、進学する大学も決まりこれからという時。

突然の母の死。仕事場に行く途中の交通事故。

知らせを受けた時、昭は目の前がかすんでそのまま気を失った。

気づいた時は病院で、意識が戻ったとはいえ頭の思考回路は止まったままだった


あれから10年

進学をあきらめた昭は、警備会社に勤めた。

もちろん他の選択もあったが、自分で生活しなくちゃいけないこと

また進学校だったため求人が少なかったことなどの条件が重なり

今の警備会社に就職した。


ただ会社の上司(稲場)に恵まれ、職場ではあまり目立たない昭をかわいがってくれた。


稲場は子供をなくしたこともあり、昭のことを、子供がいれば同じ年齢位だったこともあったのだろう


昭はそつなく稲場の言うことを聞き無難に、不平、不満もいわず

仕事をこなしていった。

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