第35話 聖騎士ハサンの休日

三鈷剣に波動を込める。

青白い炎を纏い、俺は剣先に向けて

手を添え、声を押し殺しながら


『三鈷剣ブレード!』

と叫ぶ。


現在、アヤカシ=クリの化け物マロンと闘っている。


あのスペースシャリフのように

今朝一文字に切り裂く。


『ハサンクラッッーーーッシュ!!』


アヤカシは爆発して果てる。

またアヤカシを、浄化する。


並のアヤカシならば、

化身の術を使わなくても倒せるようになった。


三鈷剣の波動エンチャントは

邪神アドヴァンの戦いの前から覚えていた。

しかし、敵の力が強大のため、この技を使う暇が無かった。


セシアは段々ハサンに惹かれていく。

元来召喚士と聖騎士は主従の関係なのだが、

ハサンは大人なのでセシアを包んでくれるのだ。


最近、ハサンと話すだけで

顔を赤らめてしまう。

こんな時、鼻が長ければなと思う。


そしたらもう少し女として見て貰えるのではないか。

そう考えるセシアだった。


呼び名も、聖騎士殿からハサンへと変わる。

仲良くなるにはタメ語だと言われている。


ハサンは、タメ語で垣根を超えて話してくる後輩は苦手と言っていた。


自衛官と言う軍隊にいたみたいで、

その名残か、馴れ馴れしく

タメ語で話す奴は敢えて敬語で話すようだ。


そうすると、後輩も敬語で話すので

余計に余所余所よそよそしくなる。


結果、後輩はよってこず、

友人も出来ず、一人の世界に没頭するので孤立してしまうんだとか。


じゃあ孤独が好きかと云えば寂しがり屋で、

相手の状態に気づけたりもする。


少しでも体調が優れないと、

「セシア大丈夫か?」

と声をかけてくれるのだ。


正にたった一輪の花のために

愛のために生きる男であった。


ハサンは言う。

「よせよ、よせよ涙なんて

よせよ、よせよ、拗ねるなんて。

元気に今日を歌ったら

幸せは後ろから付いてくるぜ!」


面白いことが大好きで、

悪い奴は許せない!


やーハサン。

ハローハサン!


いつでも声をかけてくれ!

なんて声をかけるなオーラを出すアイツ。


「ハサン。これから先どうする?」

宿屋で敢えて真っ裸で

今後の進路を聞くセシア。


馬鹿!服を着ろ!

胸がはだけてるじゃねーか!


「うぶだねー。」

そう言って巨乳を揺らしながら、

からかうセシアだった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ジンタンは思う。

この旅の終着駅はどこなのか?


スマターを倒せば全ては終わるのか。

魔王スマターは代替わりするとの噂もある。


魔王スマターをハサンが倒せば、

ハサンが新たな魔王として君臨するのではないか?


正直ハサンも、セシアも

頭が悪そうだ。だからこそ好きだし、

一生付いていきたいと思える

心根がいい人達である。


このパーティの命運を決めるのは俺だ!

一層気を引き締めるジンタンだった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

一方メイは魔術書の勉強に余念が無い。

魔法使いでありながら、回復魔法や補助魔法も使いこなし、次は禁忌と呼ばれた超大型呪文の修練も行っていた。


この呪文が発揮できれば

とんでもない事が起こるだろう。


ウッヒョッヒョ!


可愛い顔に似合わずマッドサイエンティストな笑顔と変な笑い声を出しながら


各々の夜は更けていくのであった。


次回へ続く

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