僕がヒーローとなった日

辻本 寧緒

第1話 先輩との出会い

はぁっ……!はぁっ……!息が切れそうだ。

この炎天下の中、学校で体育祭が行われていた。


倒れそうなのを、我慢して、自分の種目のリレーをこなす。


「……はぁっ!」走り切った後、目の前が眩んだ。




目を覚ましたら、ベットの上に居た。


「目覚ました?気分はどう?」と、保健室の先生が聞いてきた。


状況が把握出来ずにいると、保健室の先生が、熱中症で倒れたのよ。と教えてくれた。


「気分……気分は、あまり良くないです。」と答える。


すると、保健室の先生は、お水を渡してくれた。


「はい、お水ね。水分ちゃんと取ってなかったでしょう?」と、笑いながら言ってくれた。


僕は、喉がカラカラな事に気が付いて、お水をがぶ飲みしてしまった。


「……ぷはっ、はぁ……美味しい。」


やっぱり、種目決めの時にリレーを無理にでも断っておけば良かったと、後悔する。


「そういえば、僕って誰に、ここまで、運ばれたんですか?」と、先生に聞いた。


「あぁ、今その子は、競技に出てるから、終わったら呼びに行くね。」と返ってきた


そうですか。と答えて、布団を被った。




「……くん、……まくん……佐久真くん」と、誰かが、僕の名前を呼ぶ。


「はぇ……?」間抜けな声が出てしまった。

どうやら、いつの間にか寝てしまっていたようだ。


「……目覚めた?」と、聞かれた。


誰だ?ぼうっとしながら、起き上がる。

「はぁ…まぁ、といううか、先生は……?」と、聞くと、にこっと笑いながら、どっか行った。と言った。


「あの……貴方は?」怯えながら聞く。


「俺?俺は、──────だよ。」


名前を聞いたら、驚いた。


え……?待て待て、なんで?嘘だろ?!


なんでここに、あいつが居るんだ。



「え……?どうして?佳助先輩が!?」


は……?なんで僕を……?


「倒れてたから、運んだだけ」


は……


どうやら、本当にそれだけらしい。


「んじゃそろそろ戻るわ」と言い残し、スタスタ行ってしまった。


「……なんで、僕を助けたんだ。」



ぽつりと独り言の様に、呟いた。




その疑問の答えは、返ってくることは無かった。

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