第6話 研修終了。そして1年後
もうすぐ研修期間が終わろうとしている。
あの日から、俺は操縦について勉強し、メイ先輩は作業用ロボットのみならず機体の整備についても勉強していた。
操縦に関して勉強していく中で、機甲都市で行われているアリーナ戦やマーセナリーの仕事についても触れる機会があった。
俺はいつしか、操縦が上手くなりたいという思いが、こういう機体に乗ってみたいという思いに変わっていた。
両親に電話して、そのことを話すと、ものすごく反対された。
せっかく就職したのに、命知らずの馬鹿者になる気かと。
それでも、どうしてもなりたいという気持ちを伝え続けると、最後には勝手にしろと言われ電話を切られてしまった。
これで親には頼れなくなったな。
次の日、休憩中に、班長とメイ先輩に、研修期間が終わったら退職し、マーセナリーになろうと思っていることを告げた。
最初は驚かれたが、この3ヶ月、近くでみていた2人には、いつかはそうなるんじゃないかと思われていたようだ。
メイ先輩は、いつか俺が機体を持ったら、その整備をしてあげると言ってくれた。
班長は、冗談なのか、オペレーターにならなってあげると言って微笑んでいた。
研修期間が終わり、俺は会社を退職し、マーセナリー養成カリキュラムを受けるため機甲都市へと向かった。
いきなり個人でマーセナリーを始める人は少数いるらしいが、ほとんどの人は、どこかのマーセナリーギルドに所属し、養成カリキュラムを受けて、マーセナリーとなるようだ。
そして、教育期間を経て、ギルドから機体をレンタルするか、機体を手に入れ、ダンジョンを探索する。
探索中に手に入れたパーツ等をギルドへ売却し、レンタル料、修理費用、弾薬などの経費を差し引かれた金額を手にする。
教育期間終了後は、そのままギルドに所属し続ける者もいれば、独立する者、企業に所属する者、アリーナに挑戦する者と様々なようだ。
機甲都市内には、いくつものギルドがあるが、俺が調べた中で評判の良かったマーセナリーギルド【麒麟】に所属し、養成カリキュラムを受けた。
その中で教えられたが、機体の開発は当初難航していたらしい。
そこで大企業が協力して、機体制作用のAIを開発した。
そのAIは、世界中から情報を手に入れた。その中にアニメやゲームの情報もあった。
AIは、それをもとに機体開発を始め、あっという間に機体を作製した。
機体を見た大企業のオジ様達は歓喜したという。
現在もそのAIがダンジョンで機体を生産、運用テスト、開発などを行っている。
運用テストがマーセナリーとの戦闘であることも教えられた。
養成カリキュラムは約1年と長かったが、機体の操縦者としては半人前になった程度だと言われた。
ここから、ギルドで機体をレンタルし、ダンジョンにいるAI機体と戦闘し、パーツを回収するのかと思うと、年甲斐もなくワクワクした。
しかし、いきなり戦闘しても、機体の全損や命を落としかねないという理由で、3ヶ月は先輩について、戦闘やダンジョンのルール、いざという時はどうすれば良いかなどを学ぶために、パーツを回収するポーターをやるらしい。
これが教育期間ということだな
ポーターは、作業用ロボットに乗り、パーツ回収用のホバーキャリアという物をひいて、先輩についていくこととなる。もちろん回収作業もポーターの仕事だ。
そして、ようやくポーターとしてついていく最初の日となった。
俺は指定された時間にギルドに向かった。
受付に要件を伝えると、個室へ案内され待っているように言われた。
しばらく待っていると、黒髪ストレートロング、凛とした20代の女性が、ギルド支給の軍服のような制服をきて、部屋に入ってきた。
「おはようございます。あなたが、新人さんですね。私は、
「おはようございます。俺は
「では、今日の任務の打ち合わせをしましょう。今日は1階層で戦闘の雰囲気に慣れてもらいます。1階層は、作業用ロボットが主なターゲットとなります。今回は、胴体部分を回収してください。他の部分は邪魔になりますので、切り落として胴体のみを回収してください」
「了解です」
「初日ですので、焦らずに作業していただいて構いません。ですが、遠距離の攻撃はないとは思いますが、ロックオンアラートが鳴った場合、速やかに物陰へ隠れてください。以上です。質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「では、行きましょう」
俺達は、機体がある格納庫へと向かった。
そこには、様々な機体が数多く並んでいた。
夏目さんの搭乗機は、流線型で二足歩行の軽量機体だった。
これはあれだパ○レイバーがベースになっていて、装甲が軽量化されているな。
カラーは藤色とホワイトだ。
全長で8メートル程だろうか。
武装は、大型の刀とハンドガンが腰に装備されていた。
綺麗な機体だと俺は思った。
機体が地上へ出るためのリフトの前で合流することを夏目さんから伝えられて、俺はキャリア付き作業用ロボット並ぶ格納庫の隅に向かった。
作業用ロボットは、フレームのみの機体ではなく、全長6メートル程の中量機体でずんぐりむっくりな見た目だ。
頭部には2つのレンズがついており、ズームと広角を切り替えられる。
作業用ロボットは、ボ○ムズのアーマードト○ーパー(AT)であるスコープドッ○が機体のベースになっていると整備のオジ様が熱く語ってくれた。
操縦席は、車のようにシートとアームレスト、シートベルトがついていて、天井には、コードが何本もついたフルフェイスのヘルメットがさがっている。
これを被ることで、脳波と機体がリンクして、操縦出来る。
夏目さんが乗る機体には、これの上位互換のものがついているらしい。
俺は、シートに座りベルトを着用し、フルフェイスのヘルメットを被る。
すると、システムが起動し、機体とリンクし視界が広がった。
俺は、作業用ロボットを操り、夏目さんとリフト前で合流した。
夏目さんから通信が入り、リフトに乗るよう指示された。
俺達は、リフトに乗り、地上へと出た。
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ザックリイメージ
作業用ロボット(ボトムズ、スコープドッグ)
夏目の機体(パトレイバー、98式AV イングラム1号機)
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