第32話 祝宴と二日酔い
無事にメリゴとヴァスコを連れ帰った俺達は、ギルドに居た傭兵達に
クリストフはフェルディ会の人間が来て連れて行かれたらしい。仲間を置いて敵前逃亡、あまつさえその救助をカタギに丸投げし自分は何もしていなかったので処罰を受けるそうだ。ヤクザの処罰……考えるだけでも恐ろしい。まだドラゴンと戦ったほうがマシじゃないのか?
依頼の報告も完了した。報酬は大した額ではなかったが、功績が讃えられ晴れて俺とルーナエもシルバーランクに昇格となった。メリゴ、ヴァスコ、エコーの3人も同様だ。
「おめでとうございます!皆さん!」
「ヘルベラの
「色々おめでたいし、お祝いがしたいわよねぇ」
「どうせならパーッとやりたいよな」
「トラップ部屋の財宝があれば出来たかもしれませんね」
エコーの言う通り、トラップ部屋には金銀財宝の数々が眠っていた。眩いばかりに輝きを放つ、何カラットあるかも分からない拳のような大きさのダイヤモンド。ちょうどこんな感じ……何で持ってんの?
ルーナエの手には巨大なダイヤが握られていた。
「ここにトラップ部屋から持ち帰ったダイヤモンドがある。これを換金して今夜は皆で
「聞いたか?祝宴だってよ」
「タダ酒か?行くしか無いな」
もう後には引けなくなってしまった。
「良かったのかしらぁ?そのダイヤがあれば確かに大規模な宴が出来るでしょうけど」
「顔を売っておこうと思ってね。宴の名目は真龍討伐記念。そして私達の名声は宴の参加者の記憶に良い思いとともに刻まれる。」
思ったより打算的な理由だった。この一瞬でそこまで考えていたのか。
「実績を上げた今がコネクションを作る絶好の機会ですわ。仕事においてコネクションは最重要。宴のコストくらいならすぐにペイバックされるでしょうね」
前世で社長令嬢だったヘルベラが言うと説得力がある。
すぐにダイヤモンドを換金し、祝宴を行った。他の傭兵と酒を酌み交わし、親睦を深めた。余談だが、この世界では15歳から成人らしい。
宴にはフェルディ会の幹部も来ていた。俺達に詫びと礼を入れに来たらしい。この貸しは必ず返すと言っていた。フェルディ会は仁義に厚いらしいが、そうは言っても反社に貸しなんて作って良かったのだろうか。
宴は朝まで続いた。翌日には二日酔いが待っていた。身体能力に優れる妖精の体も、肝機能はそうでもないらしい。非常に残念だ。
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