あの日を忘れられない僕がいた

沖野 紅

プロローグ

 青春の1ページ。ただそれだけ。

 なのに何度もそのページを指でなぞる。 


***


 高校最後の県大会の帰り、駅で告白をした。

 同じソフトテニス部で明るくて元気で負けず嫌いの女の子。


 色々と告白の言葉を考えていたが、いざ、呼び止めて告白をしようとしたら緊張して考えていた言葉が全部消えた。

 結局、シンプルに「好きです、付き合ってください」そう言って目をつぶり手を前に差し出した。

 差し出した右手が温かくて柔らかいものに包まれた感触で目を開けると「こちらこそ」と彼女が笑った。


 今までにないくらいの心臓の鼓動を感じたの覚えている。


 人生で初めての彼女ができた瞬間だった――。


 

 

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