私には、『なかった』
ずっと、見てたんだよ、あなただけ。
ずっと、好きだったんだよ、あなたのこと。
だから、わかるの。あなたは本当に、あの子のことが、好き、なんだね―――…
照れると下を向く癖。 窓から、見えるのは、繋がれた手…。
『始まり』はあんまり憶えてないな…
気が付いたら、あなたを目で追ってた
話しかけるチャンス、なくは、なかったけれど
まぁ、言っちゃえば―――…
『あなたの心を動かすほどの力』を、私は持ってなかった、ってことだ。
ずっと、見てるね、彼女のこと。
そんな、一途な所があなたのいいところ、で、好きなところ。
だったら、どんなに、私があなたをすきでも、絶対に私を見ては、くれないんだ…
彼女を下の名前で呼んでたね、聴こえてしまった―――…
悔しかったなぁ。
あなたの『優しさ』は全部、あの子に注げばいい。
『子供』じゃないんだから、解ってるよ、望みがないことくらい
もう、あなたは、私のもの、にはならない―――。
だからってさぁ、
あなたの幸せを願えるほどの広ーい心を持つの、簡単じゃないよ。
私が、あなたの彼女になれなかったのは、
あなたの心を奪ってしまえるほどの『魅力』がなかった―――…
それだけの、こと…
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