第3話
少年は、シャツやベストをはためかせながらなぜですか、と問う。他の子は買っているのだ。自分だけ、今日だけはだめなのか。それとも。
どうしようもない強い気持ちが優しい海から、わるい贈り物のように届きました。少年は少年の近くにある葡萄酒の大きな瓶を、無造作に掴んで走り去ろうとしました。どうしてもそうしたい、だからそうする。瓶は爺様たちが飲んでるものより大きく少年の細腕より太くてとっぷりとした液体が入っています。
こら!
こら!としか出てきません。商人も驚いたのです。少年は見開いた目でカップと瓶、両方抱えて走ります。走りましたが、捕まえたのは町の近くにいた少年少女、女房たちでした。みんな口々に言います。
取った!
とったのかい!
どうして、ああ。
どちらの?あらまあ右かしら。
やっちゃだめだよ、そんなこと!
今までこの町で生きてきて初めてこんなに言葉の濁流をうけます。いや、濁ってはいない。本当に心配しているようなのです。少年は、うなだれ、でもまた前を向き、静かにお酒を盗んだ理由を語りました。
そんなことなら一杯と、小説一話やお金でこうかんしたのにと、みんな悲しがりました。
葡萄酒の大瓶はもう商人の手にあります。
しかし役人が来て告げるのです。
盗人あり。その盗みを働いた手が永久につかえぬこと、または一人一艘で、誰にも告げず夜の海を彷徨うべし。
皆が硬い顔をしています。いくつかわからぬことを、少年は問いました。手が永遠使えないのは魔法でもなんでもなく、おそろしいやり方によって動かなくなること。それが嫌ならもう一つ。それはどんな反省でそれをすることでどうなるのか。
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