オン・ユア・マーク ~世界がその貌を変える時~

朱音紫乃

第1話 史上最大の作戦

〈1〉



「ガレリア天空知事エルザ・ギースベルトです」

「フェーデアルカ貴人法主ミーティス・トリスターノです」

「バレンシア朱雀知事カルメン・レセンデスです」 

「ミチエーリ玄武知事ニコライ・ボブロフだ」

「大韓六合知事シン・チェヨン」

「セリカ勾陳代表してタタンクランのカレンだ」 

「傑華青龍知事韓信陵です」

「サンタマージョ白虎知事アドルフォ・エルナンドだ」

 アルセーヌ・リッシモンはグルメロワーヌの事務所の一室で端末越しにグロリー騰蛇、アルザス太裳、ヨークスター太陰、蘇利耶ヴァルハラを除く世界の首脳と通信を開いている。

「本日はお時間を頂きありがとうございます。ロワーヌ太公国公子アルセーヌです」

「あんたの顔は知らないヤツの方が少ない。グロリー騰蛇知事がいないのは喧嘩しているからか?」

 南国のアドルフォが日に焼けた顔に笑みを浮かべる。

「まぁ、そんな所だ。今日、皆さんに話をさせていただくのは、私たちの社会をどうするかという問題です」

「主要国の首脳を集めているのです。察しはつきます。ヴァルハラを止めるなり倒すなりするのでしょう?」

 隣国のエルザが言う。

「その通りです。今回私は敢えて暴力を使う事を提案します。ヴァルハラの金を奪います」

「金を濫用する事は自らの善を消費し、悪を招く行為となります」

 ミーティスの言葉はもっともだが今回ばかりは聖人君子然としていられない。

「善悪はともかく、我々は蘇利耶ヴァルハラの金融に毒されつつある。このままでは遅かれ早かれ世界から善が失われる事になる」

 韓信陵が真面目な口調で言う。

「人は他人より優れていると思っている事で失敗する事を一番恐れます。蘇利耶ヴァルハラは金と暴力……金も暴力ですから、暴力が全てであり、善の破壊者である事でアイデンティティを保っています。それは我々が暴力を行使しないという前提が存在するからです。その一点で敗北すれば状況は覆る」

「口で言うのは容易い。我々も無策で来た訳ではない」

 ニコライが厳しい口調で言う。

「我々が個別で戦っていたのではヴァルハラを止める事はできません。ガンになったからと腕に湿布を張っても治りません。全身が知恵と力を尽くす必要があります」  

「私はあなたの考えに期待しています。お話を伺えますか?」

 チェヨンが訊ねて来る。

「まず、今年、リベルタ大陸で史上空前の不作が発生する。穀物から魚に至るまで。星の怒りが下ったかのような大災害だ」

 言ってアルセーヌは一同の顔を見回す。

「そこで問題が起こる前にヨークスター太陰の穀物をリベルタが買い上げる。正式にはこの先二年、ヨークスターの食糧の独占契約を結ぶ」

「大飢饉が起きるって、薬でも撒いて枯らすのか?」

 カレンの言葉にアルセーヌは頭を振る。

「いつも通り収穫して、大平原に食糧を貯蔵する。食糧を売り払ったヨークスター太陰はベスタル大陸をまかなうだけで精一杯だ。当然、蘇利耶ヴァルハラは金でしか取り引きしないんだから、ヨークスター太陰から買うしかない。しかしヨークスター太陰の市民は金よりひとかけらのパンを望む。その時、食糧価格は天文学的な金額になる。蘇利耶ヴァルハラが取る手段は一つ、これまでため込んでいた金で食糧を買うか、暴力で奪い取るかだ。これまで表立って身体的な暴力を振るって来なかったが、公然と蘇利耶ヴァルハラが暴力を振るうなら世界の治安維持機関であるWRAとの戦いになる。蘇利耶ヴァルハラは人口は州に匹敵するけど、広さはせいぜい県程度の広さしかない。世界中のライダーが治安維持出動をすれば蘇利耶ヴァルハラを取り押さえられるだろう」

 アルセーヌの言葉に一同が思案顔になる。

「追い詰めたとしても、蘇利耶ヴァルハラは反発を強めるだけではないか?」

 韓信陵の言葉にアルセーヌは頷く。

「それがこの二年縛りのからくりです。食糧に飢えている蘇利耶ヴァルハラは契約期限が切れると同時に独占契約を奪おうとするでしょう。我々はそこで値段を吊り上げ蘇利耶ヴァルハラの資金を奪います。一方でリベルタは二年間食糧を貯蔵している。この食糧を契約期限が切れると同時に蘇利耶ヴァルハラの貧民窟に送ります。もちろん、生活必需品もです。当然の事ですが、ベスタル大陸にも物資は返却します。蘇利耶ヴァルハラが酸素より大切にしているドルの価値はどうなりますか?」

「ドルは完全に信用を失い、食糧を融通したという善意が残るという訳ですね」

 カルメンは乗り気なようだ。

「相手が幾ら悪行を行っているとはいえ、騙すような事は気が引けますが」

 ミーティスが小さくうなる。

「どの道飢えず、金でも困らんのだから我らは構わん」

 韓信陵が笑みを浮かべる。

「万が一私たちの食糧が足りなくなった場合はどうしましょう?」

 チェヨンが懸念を口にする。

「リベルタの作物は大平原から傑華青龍を抜けて大韓六合へ、そこから海路でサンタマージョ白虎に必要なだけ供給を続けます。更に二年後の復活祭で蘇利耶ヴァルハラに最後の一撃を加えます」

 アルセーヌは言葉を切って一同を見回す。

「蘇利耶ヴァルハラが最高の権威として位置付けているランナバウトトーナメント、即ちカーニバルでチームラグナロクを撃破し、暴力的権威も破壊します」

「カーニバルは州ではなくチーム競技でしょう?」

 エルザが当然の問いをかけてくる。

「そこが落とし穴だったんです。蘇利耶ヴァルハラはチームではなく、国家として戦っている」

 アルセーヌはデータを表示させる。

 蘇利耶ヴァルハラ系列の試合は完全な八百長、対して民間のチームは全ての試合で死力を尽くし、戦力を温存している蘇利耶ヴァルハラ系列に撃破されている。

 ヨークスター太陰の最強チームシューティングスターでさえ例外ではない。

「ライダーとランナーの数、整備クルー、そして資金。これらを州規模で支援する。蘇利耶ヴァルハラも全機破損が続けば、お得意の量産機を出すしか無くなる。決勝戦でメルキオルがマイティロックで出て来たら失笑ものでしょう?」

「我らスパルクスの敵ではない」

 ニコライがミチエーリの強豪チームの名を口にする。

「ランナーチームを底上げするとなると相当な工業力が必要になります。資金は何とかなるとしても我ら傑華青龍とガレリア天空でどれだけ職人が集められるか……事前にこの計画が知られれば蘇利耶ヴァルハラも手を打つでしょう」

 韓信陵の問いはもっともだ。

「だから、通常の工業製品については現金で蘇利耶ヴァルハラの住人を雇う。ガレリア天空や傑華青龍に移り住んでからは一ドルも使わなくて済む生活をしてもらえばいい。反対により信用できる元からの職人を得意分野に応じてチームに割り当てて底上げする」

「蘇利耶ヴァルハラのスラムの住人の生き方を変えさせるという意味でなら賛成です。我が州にはホウライがありますし」

 ミーティスが賛同する。世界の良心が動いたなら話は早い。

「工業製品と精密機器では私たちが世界一である事を証明しましょう」

 エルザが言う。

「先端技術と熟練工なら我が国だ」

 韓信陵も負けてはいない。

「最先端テクノロジーであれば私たちに一日の長があります」

 チェヨンも乗り気だ。

「ランナバウトならウチにはヘジオナウがいるってモンだ」

 アドルフォが自信を滲ませる。

「ウロボロスが他国の背に隠れる事はないでしょう」

 カルメンが言う。

「騎遊民を忘れてもらっては困ります」

 カレンが含み笑いをする。

「我らは一蓮托生という訳だな」

 ニコライが確認する。

「ええ。ロワーヌ天后も移籍したデビルキッチンでラグナロクと戦います」

 互いの意志を確認するように頷き合う。

 ――蘇利耶ヴァルハラ、せいぜい夢を見ているがいい――

 作戦が決まれば蘇利耶ヴァルハラは少なからず打撃を受け、作戦変更を余儀なくされるだろう。



〈2〉



 コ・オンジョはバレンシア朱雀にあるウロボロスマーケティングの企画3課で企画用の資料を集めている。

 大学に飛び級してロワーヌ天后を出たオンジョは親友のイェジがライダーを務めるウロボロスの派遣アルバイトに片っ端から応募していた。

 そこでイェジというコネがきいた訳ではないだろうが企画3課という所に配属されたのだ。

「……どうしたらヒュンソとの交渉で優位に立てるか……」

 3課課長アンドリュー・レイトンが苦悩を滲ませて言う。

 ヒュンソとウロボロスが組む事にはマールム・ディスニーに対抗するという大義名分とメリットが存在する。

 問題はどちらがイニシアチブを握るかだ。ウロボロスはメディアというソフトを差し出す事になるが、仮にヒュンソ向けのサブスクリプションの価格を下げるとしてもウロボロスの一方的な持ち出しとなれば損な取り引きになる。

 提携する以上契約は長期に及ぶのだし、ランナバウトだけを見て新技術が導入されればいいのだという訳には行かない。

 オンジョはヒュンソの売上データをファイリングする。

 龍山グランプリでの優勝以来ヒュンソの売上は上昇を続け、一時的とはいえマールム社を凌いでいる。

 ――ここでポラを複数のチームに売ってそのチームが成果を上げればマールム社に対する優位を安定させる事ができる―― 

 ポラを提供したチームに勝ってもらわなくてはどうにもならないだろうが、ポラを積んでいるチームが強いという事になればポラのブランド力はマールム社のiinpを凌ぐ事になるだろう。

 ――ヒュンソは有力なチームに売りたい、でも可能な限り高く売りつけたい――

 ここが駆け引きの要となって来るのだろう。

 オンジョは故郷のロワーヌ天后の新聞に目を通す。

〈グルメロワーヌ、デビルキッチンを買収。マネージャーはアルセーヌ・リッシモン氏〉

 デビルキッチンと言えば優勝候補チームの一つだ。そのチームを買収したという事はグルメロワーヌは本気でカーニバルに参戦するつもりなのだろう。

 デビルキッチンはカーニバルでベスト4から外れた事のないヴィオネット・カイエンのランナーを運用する名門チームだ。

〈……ロワーヌ天后州にランナーチームができるのは十年ぶり〉

 かつてロワーヌにはオーギュスト・ル・ヴェリエという名匠がいたが、十年前に引退して久しい。

 ――今のデビルキッチンでカーニバルで勝利する事ができるんだろうか?―― 

 デビルキッチンが強豪である事に疑いの余地はないが、同じく強豪であったウロボロスはドラゴンに敗北した。

 グルメロワーヌがデビルキッチンを所有したとしても新世代のランナーに勝利する事は難しいだろう。

 そういう意味では龍山グランプリの後で、グルメロワーヌはデビルキッチンを底値で買い上げる事に成功したと言ってもいい。

 ――そういう事なら―― 

 デビルキッチンもヒュンソや成龍公司との接触を考えているはずだ。

 しかし、単独で交渉して足元を見られるのはデビルキッチンも同じ。

 ――ウロボロスとデビルキッチンは利害が一致する――

 ウロボロスのソフトパワーはヒュンソと提携する事でWINWINの関係を作る事ができる。

 一方のグルメロワーヌはリベルタ大陸の食料の6割を産出しており、物流の成龍公司と相性がいい。

 ――先にウロボロス・グルメロワーヌ同盟を作っておけば――

 オンジョは端末を操作して企画案をまとめあげる。

 本来派遣バイトのやる仕事ではないが、これは親友のイェジが働くUMSにも大きく影響するのだ。

「課長、お話があります」

 オンジョはアンドリューに企画書を送信してから声をかける。

「何だ? ヒュンソの資料はまとまったのか?」

「まずは私の送信した資料をご確認下さい」

 オンジョが言うと企画書に目を落としたアンドリューが思案気な表情を浮かべる。

「なるほど……単独で交渉すれば足元を見られるがグルメロワーヌと同盟を組めば逆に有利に交渉が進められるという訳か」

「はい。グルメロワーヌの食が無ければ人は生きていけません。交渉材料としては申し分ないと思います」

 オンジョが言うとアンドリューが企画書を睨んで小さく唸る。

「コ・オンジョだったな。正社員になる気はあるか? 我が社は福利厚生には自信がある方なんだが」

「はい!」

 ウロボロスグループの正社員になれば将来は安泰だ。

 オンジョの返答を聞いたアンドリューが企画書にサインをする。

「企画は本社に上げる。それにしてもよくグルメロワーヌに目をつけたな」

「ロワーヌ天后は地元なので新聞には目を通しているんです」

 オンジョの言葉にアンドリューが笑みを浮かべる。

「企画が通ったら忙しくなるぞ。グルメロワーヌとの提携とヒュンソ、成龍公司との交渉だからな」

 アンドリューが口にした事でオンジョは取り引きの規模の大きさを実感する。

 これは単なるランナバウトの技術提携ではない。リベルタ大陸の巨大な経済同盟の発足を意味するのだ。



 〈3〉




『インターンが新聞見て思いついた事を現場のお前が思いつきもしないとはどういう事だ』  

 ロワーヌの片田舎サントミシェルのサイクロンの事務所にいたソ・ミニョンはアンドリューの言葉に鳥肌が立つのを感じる。

 左遷されてから約二か月。ただひたすらサイクロンの再建の為に働いて来たのだ。

「そう仰られましても今はサイクロンの再建で……」

『サイクロン再建はロビン・リュフトのデビューのおまけで、そのUMSが龍山グランプリで3位で終わって本社は上から下までハチの巣を突いたような騒ぎになってる。お前は観光でロワーヌ天后にいるんじゃないんだぞ』

 アンドリューは虫の居所が相当悪いらしい。

 しかしミニョンは好き好んでこんな田舎にやって来た訳ではない。 

「課長がロビンをプロデュースしろって言うからやってたんじゃないですか」

『言われた事だけやってればいいと思ってるのか。とにかく企画3課はウロボロスとグルメロワーヌとの同盟締結に向けた交渉を開始する』

 グルメロワーヌとの同盟となれば大仕事だが、食料を扱うグルメロワーヌとウロボロスの間でどのような交渉材料があるだろうか。

「まさかそれをやれと仰いますか?」

『お前、本社に10分で通えるマンションが欲しいって言ってなかったか? 朝の十分は貴重だぞ』

 アンドリューの言葉にミニョンは胸が高鳴るのを感じる。

 元々サイクロンが片付いたらバレンシア朱雀に帰るつもりだったが、向こうから本社勤務提示してくれたのだ。

「やります! グルメロワーヌとの交渉を開始します」

『よろしい。良い結果を期待する』

 言ってアンドリューが通信を切る。

 ミニョンは端末を操作してグルメロワーヌの情報を集め始める。

 グルメロワーヌは十年前にできた近代化されたロワーヌ天后農協で、代表はフィリップ・デュノワ。

 それは表向きの話で実際に組織を動かしているのはアルセーヌ・リッシモン。

 特に肩書のある人物ではないがフェーデアルカ貴人の大学に通っていた事から法主庁に顔がきき、リベルタ大陸のほとんどの州で顔パスで州知事に会えるという凄まじい交際範囲を持っている。

 ――まぁリベルタ大陸の胃袋を握ってるんだから当然と言えば当然か――

 グルメロワーヌがその気になれば食料価格を高騰させる事ができるし、ハイパーインフレで州財政を簡単に破綻に追い込む事ができる。

 リベルタ諸州がグルメロワーヌに食料を頼っているのはリッシモンという人物と組織に信頼があるからで、それが無くなれば各州は枕を高くして眠れないだろう。

 リッシモンの高い外交能力は食料という金銭を超える絶対的な資産を後ろ盾にしているとも言える。

 ――厄介な相手だな――

 ロワーヌ天后はある日突然世界と断交しても飢える事はない。

 反対にロワーヌ天后が去れば世界は飢餓と戦わなくてはならない。

 ウロボロスが世界最大のエンタメ企業だと言っても、ウロボロスが世界から消えたとしても人々が飢えて路頭に迷う訳ではない。

 ――ウロボロスがなくなれば客はディスニーに乗り換えるだけ……――

 そこまで考えてミニョンは頭の中で何かがスパークするのを感じる。

 リベルタ大陸の胃袋と言えばグルメロワーヌだが、通貨発行圏の胃袋、グルメロワーヌを脅かす低価格大量生産州といえばヨークスター太陰州だ。 

 ヨークスター太陰にはウロボロスのライバルであるディスニーがある他、ヒュンソのライバルであるマールム社がある。

 企業としてではなく地域として見た時、ヨークスター太陰州は共通の敵と成り得るのだ。

 ――アルセーヌ・リッシモンがそれを考えたなら……――

 ウロボロスとグルメロワーヌの同盟は可能になる。

 この巨大同盟が立ち上がったなら、ヒュンソや成龍公司も参加を考えるだろう。

 ――その為にはグルメロワーヌと対等の同盟を築かなくちゃならない――



〈4〉



 オンジョはミニョンと共にグルメロワーヌとの事前協議の為にロワーヌ天后のレストランの個室を訪れている。

 ――まさかインターンの私のアイデアが実現するなんて――

 オンジョはウロボロスという企業のフットワークの軽さに驚いている。

 GOサインを出した社長のカン・へウォンという人物は余程柔軟な思考の持ち主なのだろう。

「あなたは行儀見習いって形でいいから」

 ミニョンが言うと個室のドアが開いた。

 癖のある鳶色の髪と瞳を持つ男と金髪碧眼の少女が姿を現す。

 すかさず立ち上がろうとすると男が片手を上げて制した。

「そんなに肩肘を張らなくていいよ。せっかくの料理の味が分からなくなるだろう」

 男が椅子に腰かける。

「僕はグルメロワーヌの会員アルセーヌ・リッシモン。こっちの子は娘のアリア・ディザスター」

 アルセーヌ・リッシモンと言えば事実上のグルメロワーヌのトップだ。

 娘がいるような年齢には見えないが相当若作りしているのかも知れない。

「お目にかかれて光栄です。私はウロボロスマーケティング企画3課主任のソ・ミニョン、こちらはコ・オンジョです」 

 ミニョンが言うと、給仕が前菜を運んでくる。

「光栄って言われても僕はただの農協の会員だよ」

「ただの農協の会員が会談の代表になるというのは説得力に欠けるのでは?」

 ミニョンがミネラルウォーターを口に運びながら言う。

「まぁ今はデビルキッチンのマネージャーでもあるからね。用件はグルメロワーヌとウロボロスで組んでヒュンソと成龍公司を口説き落とそうって話だろ?」

 前菜を口に運びながら世間話のような口調でリッシモンが言う。

「我が社、UMSは龍山グランプリで機体の老朽化を露呈しました。それはデビルキッチンの機体でも同じ事であるはずです」

 ミニョンが言うがオンジョには前菜の味が分からない。生まれも育ちもロワーヌ天后だから分かる事だが、リッシモンの影響力は知事をも上回ると言って過言ではない。

「僕が言う事でもないけど若いなぁ。確かにウロボロスとデビルキッチンがポラや子龍を採用したと言えばビッグニュースだけど、VWCは新技術としてバイオロイドを推してくるだろうし宣伝効果としては良くてイーブンじゃないかな。それじゃあヒュンソに足元を見られる」

 リッシモンがミネラルウォーターで喉を潤す。

「この状況で最大の宣伝効果を上げる方法は分かるかい?」

 リッシモンがミニョンに問いかける。

「最大の宣伝効果ですか……仮にVWCがバイオロイドをマイティロックのように標準化するなら……それに対抗するだけの規模で新システムを普及させるという事ですか?」

 ミニョンが答えて言うとリッシモンが笑みを浮かべる。

「それが僕の考えるランナバウトver2.0だよ。リベルタ大陸のランナーのフォーマットを刷新する。ヒュンソと成龍公司の総売り上げを考えてごらん。ウロボロスとデビルキッチンに高値で売りつけるより、共通のシステムとして個人や多くのチームに運用された方が利益が大きなものになるだろう?」

 リッシモンの言う通りだ。有力なチームがシステムを採用し、多くのチームや個人がそれに習うなら、ヒュンソや成龍公司はイメージアップという巨大な利益を得る事ができるのだし、タダでシステムを提供してもおつりが来るだろう。

「しかしそれではチームギャラクシーやドラゴンがアドバンテージを失う事になりませんか?」

 ミニョンがリッシモンに尋ねる。前菜の皿が片づけられ主菜がテーブルに運ばれてくる。

「大企業は結局の所自社の製品の宣伝の為にチームを運用している。2.0の参加チームが上位を独占したなら企業としての目的は達成したと判断すると思うよ」

「VWCが購入を希望した場合どうするのですか?」

「マールム社がシェアを失う事になるだろうね。それはヒュンソと成龍公司の勝利でVWCの勝利じゃない」

 蘇利耶ヴァルハラは独自通貨発行圏のITの雄、マールム社の没落を許さないだろう。

 VWCであり続ける限り2.0は使えないという事だ。

「で、近々グルメロワーヌはヨークスター太陰の食料メジャーを買収、困難な場合は二年間の独占権を入手する」

 オンジョにはリッシモンの言いたい事が分からない。

「この二年は不思議な事に恐ろしい凶作でリベルタ大陸はヨークスター太陰からの輸入に頼る事になる。ヨークスター太陰の食料の独占権が無ければ恐ろしい飢饉になっただろう」

 リッシモンの予言めいた言葉はそれをこれから行うという意味なのだろう。

 二年間、ヨークスター太陰の食料がリベルタ大陸に送られたなら通貨発行圏諸州は一体何を食べればいいと言うのだろう。

「通貨発行圏では恐ろしいインフレが発生するだろう。これまで圏内で最も安かったヨークスター太陰のイースの価値が最も高くなってヴァルハラのドルは暴落する。食料価格も高騰して市民の不満が施政への反発を生むんじゃないかと僕は思っている」 

 リッシモンの言う通りになるなら通貨発行圏はパニックになるだろう。特に金融国家のヴァルハラにとっての打撃は計り知れない。

「各州が輸出入に厳しい制限を導入する可能性は?」

 ミニョンが料理そっちのけで尋ねる。 

「もちろんあるよ。でも、中央銀行なんてものを置いて自由な通貨だ。貧富の格差を作っておいて貿易は自由だと言っておきながら、都合が悪くなった時だけ取り引きに制限を設けたらどうなる? 彼らの言う自由という大義名分は建前でしかなかったと露呈する事になる」

「その建前を捨てた時にどう対抗するのですか?」

「ヨークスターから購入した食料と独占権をヘル払いで売却する。実質的にヘルを貸し付ける形になるし、通貨発行圏は外貨のほとんどをヘルで保有する事になる訳だから自州で通貨を持つメリットが失われる。そこで僕らは通貨発行圏に対してヘル経済圏への帰属を提案する。蘇利耶ヴァルハラは応じないとしても他の州はそうは行かないんじゃないかな」

 確かにヘルで借金を負った州はヘル経済圏に入って負債を消化したいと考えるだろう。

 市民が飢え通貨の価値が鼻紙になる中で蘇利耶ヴァルハラに従って独自通貨発行にこだわる理由がない。

 リッシモンが言っているのは分断された世界をもう一度一つにしようという壮大な計画だ。

 ――これは私たちの世界のver2.0――

「そんな計画を私たちに話してしまって構わないのですか? ヨークスター太陰の食料を買占められなければ発動不能な計画でしょう?」

 ミニョンが言う。確かに今の話をVWCにすれば全力でヨークスター太陰の食料を防衛しようとするだろう。

「一つ、一企業が情報を漏らした程度でこんな荒唐無稽な話は信用されない。二つ、蘇利耶ヴァルハラが食料を防衛しようとすれば食料価格は高騰してリベルタ産の食料が安くなる。結果としてヨークスター太陰は従来の大量生産低価格戦略は取れなくなる。三つ、蘇利耶ヴァルハラがグルメロワーヌに敵対的買収を仕掛けたとしてもリベルタ大陸の経済同盟が完成すれば無駄な出費で終わる」

 仮に蘇利耶ヴァルハラがリベルタ大陸の企業を買収する為に赤字国債を発行したとしても通貨が溢れてドルの価値が下がるだけだ。

 ドルが下がれば相対的にヘルの価値が上がるのだからいつまで経っても買収できないだろう。 

 ――リッシモンはそこまで考えているのか――

 リベルタ大陸の諸州の知事と顔パスで会えるという理由が良く分かる。

 グロリー騰蛇、アルザス太裳、ヨークスター太陰がヘル経済圏に戻れば生産力を持たない蘇利耶ヴァルハラは存在する事ができなくなるだろう。

「リベルタ大陸の大企業なり州政府が寝返った時の事は?」

 ミニョンが踏み込んだ質問をする。

「もう首長たちとの合意は済んでいるけど、これからヘル通貨圏ではヘルしか使用できなくなる。僕らリベルタとの取り引きではヘルしか使えないから外貨準備があったとしても短期間で財政破綻する事になるよ」

 リッシモンは口調はくだけているが言っている内容はえげつない。

 ――これはリベルタ大陸とVWCとの対決なんだ―― 

「途方もない話なので社に持って帰るべきか悩みますね。グルメロワーヌとウロボロスの提携に話を戻させてもらっても構わないですか?」

「僕らがそれに合意するならホウライやフレートライナーも含まれる事になる。ヒュンソや成龍公司の立場なら個別交渉と大同盟のどっちを選ぶと思う?」

 短期的には個別で交渉した方が利益は上がるだろう。しかし、2.0のチームがVWCを圧倒すれば最終的な売り上げは大同盟の方が大きな事になる。

 マールム社のエンジンを積んでいるVWC機が負け続ければ通貨発行圏の市民もヒュンソや成龍公司の商品を買うようになる。

 更にこの先リッシモンの計画通りにヨークスター太陰をインフレが襲うなら、ヒュンソや成龍公司のシェアは一気に拡大するだろう。

「つまりはそれを納得させる為のお話だったという訳ですね」

 ミニョンが胸に落ちた様子で言う。

「詐欺って言うのは話が大きければ大きいほどいいって言うけどね。僕は有言実行のつもりだよ」

 リッシモンの大構想が失敗に終わったとしても、ヒュンソや成龍公司との交渉は2.0で有利に進められるだろうし、それはそれで企画3課は本来の目的を達成できるのだ。



〈5〉



 オルソンはキャンピングカーのソファーでバスチエと向き合っている。

 立ち上げた端末の向こうにはへウォンの姿もある。

「……あなたたちに聞きたいのはリベルタ大陸のチームが一斉に2.0にバージョンアップしたとしてウロボロスは勝てるのかって話なの」

 アルセーヌ・リッシモンはVWCを駆逐する巨大な策を練っている。

卵が先か鶏が先か分からないが、2.0の考え方はその策の考え方に立脚したものだ。

「僕はハード屋ですから2.0にしてもらった方が助かります」

 オルソンは言う。システムなどソフト周りの事は分からない。

「ライダーが順応できるかですが……お披露目が半年後なら準備期間としては充分でしょうなぁ」

 バスチエが考えが及ばないといった様子で言う。

「私としては2.0を役員会に諮るに当たって専門家の意見が欲しいの」

 へウォンは役員会を納得させる材料としての意見が欲しいようだ。

「龍山グランプリのドラゴン戦での敗北は機体の差が大きく出たと思います。この機体の差はハード面もありますがソフト面での差がより顕著だろうと推察します。何より懸念されるのはウロボロスを抜きに2.0が成立した場合、僕たちには技術的に追いつく術がないという事です。もちろんマールム社のiinpを導入するという方法もありますが、2.0に参加するより割高になるでしょうし、わざわざ2.0の枠組みから外れるメリットがありません」

 オルソンは答えて言う。

「ヒュンソのポラや成龍公司の子龍とiinpの差はどのようなものなの?」

 へウォンが問いかける。

「開示されているデータを見る限りではヒュンソのポラはユーザーを学習し、システムを最適化して行きます。運動選手が特定の筋肉を発達させる事で良い結果を出すものと同じと考えて下さい。最適化されたシステムからフィールドバックしたデータを用いれば機体の改良にも大きく寄与します。それを考慮に入れるなら30%以上のパフォーマンスアップは可能でしょう」

 オルソンは市販のポラ端末を表示させて言う。

「子龍はデバイス側から電波を出して人体の電波を拾いに行くものです。音の共振と同じで人体側からの電流が増幅されてデバイスの側で拾いやすくなる。その分精度と処理速度が上がる。速く正確にデバイスを動かせるというのが子龍のメリットです。ドラゴンの青龍王が発頸を用いましたが、あれはライダーとランナーの体感差が限りなくゼロに近いからできた事です。こちらも従来比15~30%の性能の向上が見られると言っていいでしょう」

 オルソンは子龍端末を立ち上げて言う。ポラと子龍は結果は似ているがシステムとしては考え方からして全く異なる。

 2.0が両者を組み合わせたものになるなら革命とも言って良い程の性能の向上を見込めるだろう。

「iinpはNMで脳の側に補助端末を作るものです。考え方は羅生門で使用したNMのドーピングに近いものですが、iinpは眼鏡や補聴器と同じ人体の機能を補助するものという体裁が取られています。ソフトとして見た時の効率化はポラと子龍を合わせたくらいのものはあるでしょう」

 オルソンはiinpのカタログを表示させる。

 市販のiinpは安価だがサブスクリプションのプレミアムサービスに加入しないと、企業のCMが流れて日常生活で不便な思いをする事になり最終的には最も高くつく。

「インプラントはリベルタでは好かれないわね。そうなると2.0を導入してVWCのチームに勝利する事の方が好感度も高くなる訳ね」

 へウォンが納得した様子で言う。

「個人的にインプラントを体内に入れて24時間端末が起動しているというのはプライバシー的に問題があると思っています。幾らプライバシーポリシーがあると言っても情報は蓄積されるものですし、絶対の情報保護というのはあり得ませんから」

 オルソンが言うとへウォンが溜息をつく。

「あなたが会議に出てくれると助かるんだけど」

「社長とバスチエさんしか出席しないなら出席しても大丈夫ですよ」

「お前……それじゃ今と状況が変わらんだろう」 

 バスチエが嘆かわしいといった様子で言う。

「だからこれが僕の精一杯なんですよ」

 オルソンは言う。身近な人があと一人くらいなら大丈夫だが、それ以上増えたら耐えられない。

 健常者には理解されないが、一度でいいからパニック発作や過呼吸を経験してみろと言いたい。

「それと、これは私の構想段階なんだけどランナー建造部門を子会社にしようと考えているの」

「何で子会社にするんですか?」

 オルソンはへウォンに尋ねる。

「ウロボロスは年中あなたにランナーを発注してる訳じゃないし、そんなに沢山ランナーを作れるほどお金がある訳じゃないわ。あなたが子会社として他のチームのランナーを作れるようになってくれれば稼働率が上がって収入が上がるんじゃないかと思って」

 確かにへウォンの言う通り今のオルソンの稼働率は低い。

 千本桜の時は突貫工事だったが、遮那王に関しては全くの手つかずだし、他に依頼がある訳でもない。

 だが……

「僕に他の人と交渉する能力があると思っているんですか?」

「誰か適任を見つけるわよ」  

 へウォンが笑みを浮かべて見せるが嫌な予感しかしない。

「僕は賑やかで豊かな生活より、静かでつつましい仕事の方が好きなんですよ」

 オルソンは申し出を固辞して言う。確かに今は無駄飯食らいかも知れないが、仕事を持ってきてくれればそれなりにやる自信はあるのだ。

 ――不特定多数から仕事が来るなんて――

 悪夢でしかない。繁盛すればするほど逃げたくなるのだ。

 ――結局マイティロックのお披露目にも出なかったしなぁ――

 誰か有能な交渉人がついてくれれば独立してもいいのかも知れないが、それが一番難しい事なのかも知れなかった。



〈6〉


 

 ヒュンソグループ社長ソン・ジミンは社長室の眼下に広がる街並みを見ながら奇妙な事になったものだと思っていた。

 ギャラクシーの華々しい優勝。

 大御所のウロボロスも敗退し、多くのチームがポラの導入を希望するだろうとは考えていたし、多くの人々がポラブランドを選ぶようになると思っていた。

 ――やってくれたなアルセーヌ・リッシモン――

 ジミンは端末に表示された気の抜けそうな笑顔の男の顔を睨む。

 大韓六合州のシン・チェヨン知事から対VWC戦略の話も来ている。

 包囲網に加わらなければリベルタ大陸で商売はできないし、包囲網から離脱するメリットは存在しない。

 選択肢はあるが一択というやつだ。

 ジミンは額に手を当てて軽い笑い声を立てる。

 ギャラクシーが優勝した時には、大御所のチームが一つ一つ頭を下げて来る事を想像していたがそうはならないらしい。

 ――それならそれで条件くらい出してもいいだろう――

 ヒュンソはソフトを差し出すのだからハードは用意してもらってもいい。

 最終的に大きな利益を見込めるのだとしても、高性能のランナーを要求でもしなければ投資家に一方的に引き下がったように見られかねない。

「ポラ、各チームと個別に交渉した場合と、2.0に参加した場合の最終損益差は?」

「2.0のチームの活躍次第です。ウロボロスやホウライといった強豪が2.0で活躍すれば高い宣伝効果が見込めるでしょう」

 確かにセラフィムやキャノンボールにPOLAのロゴが入ればインパクトは絶大だろう。

 VWC以外のチームに全てロゴが入る事を考えれば宣伝効果は絶大だ。

 ――iinpに負けさえしなければな――

 龍山グランプリではウロボロスがiinp搭載のキングダムとジュラシックスを撃破した。

 ハードとソフトをライダーというソフトパワーでごり押ししたようなものだろう。

 だがウロボロスは腐っても優勝候補だ。Aクラスに上がったばかりのそこいらのチームとは違う。

 ポラを導入すればウロボロスやホウライは見違えたように強くなるだろう。

 しかしシステムを導入する以上、中堅どころのチームにPOLAのロゴで負けまくってもらっては困る。

 ――それなりの価格設定にしておかないとな――

 幾ら新しいスタンダードにするのだと言っても商売は商売だ。

 仮に中堅どころに卸すとしても「POLAlight」のような機能を限定した形にすべきだろう。

 ――負けるチームなら負けた時のいい訳というものも必要だ――

 と、社長室のドアがノックされ秘書のキム・ギジュンが入ってくる。

「社長、常務が役員会を開くよう言っていますがどうなさいますか?」

「どうせ2.0の件だろう。開発部にはポラのハイグレード版と廉価版の開発を命じる。強豪チームにはポラだけでなくエンジニアスタッフもつける方向で調整を進めろ」

「ギャラクシーで勝てという役員も少なくありませんよ」

 言ってキムが役員名簿を見せる。

2.0に及び腰な者、あくまでギャラクシーで戦おうと考える者、様々だ。

 確かにPOLAの開発には多額の費用と時間がかけられている。

 しかしヒュンソはハードウェアのメーカーではない。必ずしもランナー性能で勝利する必要はないのだ。

 大局的に見ればPOLAを積んだ機体が活躍してくれさえすればそれでいい。

「優勝したばかりだからな。だがギャラクシーがiinpを積んだVWCの機体に負ければ潮目も変わる。それにVWC包囲網の件もあるしな」

「VWC包囲網は本当にあるのでしょうか?」

 キムの言葉にジミンは頷く。

「あるだろう。無かったのだとしてもそれに備えなくても良い理由にはならない」

 2.0は踏み絵になるし、仮になかったとしてもグルメロワーヌがリベルタ大陸の胃袋である事に違いはない。

 グルメロワーヌを怒らせればヨークスター太陰から輸入するしかなくなるし、それは独自通貨発行圏で生きていく事を意味する。

 仮にヒュンソが独自通貨発行圏でやっていく事を受け入れたとしても、市民が納得しなければ愛想を尽かされ、長期的に見ればヒュンソは滅亡の道を歩むだろう。

「そう仰られると思っていました。役員会には少なからず懐疑的な方もおられると思いますが」

 企業は本来どこででも商売ができる状態が望ましい。

 ヨークスター太陰州とも断交している訳ではないのだし、そこで商売を成立させている者も少なからず存在する。

 ――しかしVWCが一線を踏み越えているのも事実だ――

 中央銀行制度がリベルタに波及して、州ごとに異なる通貨を使うようになれば貧富の差が生じるだけでなく、社会保障制度にも差が生まれる事になるだろう。

 そうなれば富める者はより強く、貧しい者はより弱く、現在のVWCのようになるだろう。

 ヒュンソグループが巨体を保っていられるのはリベルタ大陸の社会保障に支えられた高いスキルを持った人材に支えられているからだ。

 企業は社会の恩恵を得ているからこそ存在できる。

 ――だからこそ企業には社会に対する責任というものがある――

 2.0やVWC包囲網への参加はその責任を果たす一つの方法であるのかも知れなかった。 

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