チートスキル『TPSプレイヤー』に目覚め無自覚無双~魔術も使えない最弱無能の貴族三男だけど、TPS武器でヘッドショット無双する~
@smallwolf
第一章『TPSプレイヤーの目覚め クソ兄貴暴走編』
第1話『最弱スタート』
「ビャクヤ。お前にアスカルトを名乗る資格はない。早々に家から出ていけ」
「そんな……父上! どうしてですか!?」
僕の名はビャクヤ。
ビャクヤ・アスカルト。
伯爵家であるアスカルト家の三男としてこの世に生を受けた僕。
そんな僕が、唐突にアスカルト家からの追放命じられていた。
「僕が一体何を――」
「それはお前が無能だからだよ、ビャクヤ」
そんな時、書斎の机に座る父上とは反対側から声が響いてきた。
後ろを振り返るとそこに居たのは――
「
兄上。ルイス・アスカルト。
アスカルト家の長男であり、父上の後を継ぐ人だ。
「魔術もダメ。体術もダメ。座学もダメ。そんなお前が栄えあるアスカルト家の家名を貶めるかもしれない。そう父上はお考えなのだよ。ですよね父上?」
「そ、そうなんですか。父上?」
兄上の言う通り、確かに僕は魔術が使えない。
アスカルト家の人は代々炎の魔術を得意とするが、僕にはその適性がなかったのだ。
加えて、他のどの魔術に対しても適性がない。
そんな魔術も体術も座学も平凡以下である僕が周りから『無能』と呼ばれていた事は知っていた。
けど、貴族学校に通いもしないうちに追放だなんて……そんなのあんまりじゃないかっ!
そんな不満を抱えながら僕は父上に問いかけるが――
「明日の朝までに荷物を
それだけ言って書類仕事に戻ってしまう父上。
僕が何を言っても反応一つしてくれない。
まるで言うべきことは全て言ったとでも言うように。
まるで僕という存在が目に見えていないかのように。父上は僕の事を見てすらくれなかった。
「ハハッ。聞いたかビャクヤ。明日の朝まで待ってくれるなんて父上のなんと寛大な事か。おら、部屋に戻れよビャクヤ。父上の仕事の邪魔になるからなぁ」
僕の処遇を聞いて機嫌を良くするルイス兄さん。
僕は拳を強く握りしめながら。
「はい……」
そう言う事しかできなかった。
★ ★ ★
自室に戻った僕は呆然としていた。
荷物を
よく分からない銀の筒。
よく分からない銀の球体。
よく分からない少し尖がっている小さな鉛の棒。
そんな使用用途不明な物で僕の部屋は溢れかえっていた。
僕のスキル:TPSプレイヤー。
十歳の時に何の前触れもなく手に入れたスキルで、自分自身の姿を第三者視点で見れるスキルだ。
背後からの攻撃にも対処しやすいという点では使えるスキルではある。
でも、逆に言えばそれだけ。
ただ周りが見えやすいという。それだけのスキルだ。
ルイス兄さんの持っているような『
ルイス兄さんの『炎纏い』は自身に炎を纏わりつかせて近寄る敵を燃やし尽くすスキルだ。
どっちの方が有用かと聞かれれば十人中十人が『炎纏い』と答えるだろう。
それに、僕の『TPSプレイヤー』には無駄な能力がある。
それこそが僕の部屋に散らばるガラクタの山の正体だ。
「こんなよく分からないものばっかり抱えさせられて……一体どうしろって言うんだよっ!?」
『TPSプレイヤー』を持つ僕は、そこにあるはずのないガラクタを生み出してしまう。
食器がしまってあるはずの棚を開ければそこにあった食器が消え、代わりに銀の筒が。
参考書をしまっておいたはずの机を開けばそこにあった参考書が消え、代わりに銀の球体が。
父上の手伝いをするときに小さな引き出しを開ければそこにあったはずの書類が姿を消し、代わりに少し尖がっている小さな鉛の棒が。
そんな風に、密閉空間から僕が何かを取り出そうとするたびにそこにあったはずの物は消え、代わりにガラクタが生まれてしまうのだ。
そんな僕は父上やルイス兄さんから嫌われていた。
「こんな……こんなものっ!!」
どうして僕だけがこんな目に遭わなきゃいけないのか。
怒りに任せて僕はよく分からない銀の球体をその場に叩きつけようとする。
しかし――
「ぐっうぅ――」
頭痛。
この意味不明なガラクタを雑に扱おうとすると、僕は耐えがたい頭痛に襲われる。
まるで僕じゃない僕がそれだけは止めろと警告しているかのように。
「はぁ……はぁ……クソ……一体……なんなんだよぉ……」
捨てようにも捨てられないガラクタ達。
こんなお金にもならないガラクタ達なのに、これらを自室に置いたまま家を出る事を僕じゃない僕が拒んでいる。そんな気がする。
「やっぱりこれ、持って行かなきゃダメなのか……」
何の役にも立たないガラクタの山。
そう分かっているのに、僕はそれをここに置いていけないと感じてしまっている。
それはある意味絶望だった。
「うっ――」
なんだか
今日はショッキングな出来事があったせいだろうか?
「ダメだ。明日の朝までに家を出る用意をしないと――」
そう分かっているのに、僕の
やがて。
僕の意識は闇に落ちた。
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