第十三・五話 いずれ最恐のヤンデレメイド?

 廊下を静かに歩く一人のメイドがいた。次の瞬間、彼女は歩みを止め、後ろから正に切りかからんとしていた人物に対して静かに呟く。


「なるほど、やり方が汚いですね……」

「アハハハハ……!」


 その人物は勝利を確信し、奇怪な笑い声をあげながら剣を突き刺そうとする。

 しかし、気がついた時には目の前いたはずのメイドは消えていた。彼女は困惑の色を隠せない。視線の先に彼女を捉えていたはずだ。

 それなのに、煙のように忽然と彼女は姿を消した。理解できずに留まっどっていた彼女は、今度は腹部に激しい痛みを感じ、床に倒れ込む。


「ゴミ虫が……。の愛する主人の祝いを汚すな……」


 無表情のまま、そのメイドは声を発する。だが、その声色は怒りに満ちた低い声だった。彼女……王女の世話係の女は体が痺れ意識が無くなっていく感覚とメイドの持っているナイフでようやく自分が刺されたことに気がついたようだ。


「なんで……分かった?」


 女は声を振り絞りながらメイドに問いかける。


「気づかないと思った?いくら隠してても分かるんだよ、殺気は」

「なるほど……同業者……」

「君と一緒にされたく無いな、ボクは少なくとも自分の主人を傷つけるような事はしないからね」


 そう言うとそのメイドはしゃがみ込み、女の顔を覗き込む。


「じゃあ、話してよ。襲撃の目的は何?君たちは誰?」


「い、言うわけないじゃない!残念だったわね、私を脅しても……」

「そっか、残念だなぁ……じゃあ……」


 メイドの笑みに彼女の血の気がさっと引いていく。



———



「早く戻らないと……あの方の全てを受け止められるのはボクだけなんだから……」


 自分の手に飛び散った血液を丹念に拭き取りながらそう呟くメイドの表情は相変わらず無表情だ。だが、その口元は少し緩んでいた。


「愛してます、レイジ様……いえ、ユウスケ君」




***

第一のヤンデレはポンコツ系駄女神のヤンデレ。


第二のヤンデレは尽くす系幼馴染のヤンデレ。


そして、第三のヤンデレはクール系メイドのヤンデレでしたね。

果たしてそのうち第四のヤンデレは現れるのでしょうか……?

はたまたもう現れないのか……お楽しみに。

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