第28話

怒られたら、人の名前を、すべて、変えよう。

最初は余す所なく真実を書いてエッセイ・ノンフィクションを選択すればと考えていた。

だけれど、この世でこの方達が夢に出るように。

こんな幻覚を見たんだと訴えられると気持ちを、

捏ねてかためた。


しかしもし、読者がひとりでも、風評被害を心配されるならこの物語の創作の部分を削ぎ落とすか。

登場人物の名前を変えようと思う。


でも、自由に、ありのままに、彼女たちの狂気とどうしてそうなったのかを、

書きたい。


作家に憧れていた。


絵本作家でも、作詞家でも、人形作家でも。


いま、この瞬間も、不器用ながら物語を紡ぎたい。


読まれないで一生埋もれて、じぶんでもアカウントがわからなくなってもいい。


今、書いておきたい。


わたしことおぼえていてくれる?

わすれないでね。


大人になってから棒読みでいえる。

あの美容院受付嬢の為に。

彼女に出会うのは二〇二二年。六月。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る