第九十六話 三階を目指して

 ――強力な技を撃ち放ったルインは、ようやく目を覚ました。

 どのくらい意識を失っていたのかわからないが、ドラゴントウマを倒してから

大の字で横たわっていた。

 目を開けると、覗き込む骸骨。もう一度目を閉じて寝る事にした。


「よう、起きたか? 起きたよな? 死んだように寝てたから

死んでるかと思ったぞ。一度死んでみるか? 楽しいぞ?」

「……俺が死んだらレウスさんも浄化するんでしょ?」

「あー、そうだった、そうだった。

だーっはっは! やっぱルイン面白いな! な!」

「えーっと……それでレウスさん。さっきのトウマさんはお友達だったんじゃ」

「なー、あいつ失礼だよな。俺の事忘れて襲ってくるってよ。なぁ? もう友達

やめようと思って殴っといたからな。安心しろ」


 何を安心しろってんだい! とんでもない奴に突っ込んでってくれて。

 頼むからモンスターに絡まれないでくれ! 


 ……と、心の中でツッコミをいれてふぅとため息をつく。

 一度レウスさんを籠手の封印に戻そう。


 そういえばドラゴントウマさん、籠手に封印したんだよな。

 確認してみると……アクリル板になってもトウマさんがでかすぎて

表示できないや。

 尻尾しか見えない。まぁいいか。

 戦力アップした俺は、レウスさんの浮遊で若干浮きながら上の階へ。

 しばらく進むと細い通路に出る。

 さっそく正面に、今度は鉄球をもったデュラハンさんがいらっしゃる。

 できれば広いところで戦いたいんだが。

 やっぱ近接武器だけじゃ全然だめだな。

 遠隔攻撃の大事さがよくわかる。

 狭い所で鉄球とか、リーチも威力も反則だろう。

 そうか! 鉄球相手ならもしかして蛇籠手でいけるんじゃ。

 封印できる場所を指定しておき、蛇籠手をデュラハンに向けて使用してみる。

 しゅるしゅると蛇になり、やつを丸飲みにした。


 ……動かない! しかもちょっとずつ体力も回復できる。

 ただの鉄球使いならこの作戦でいけそうだ。時間はかかるがこのまま

封印値百を待とう。


「君は戦い方も普通じゃないね」ってリルなら言うんだろうな。

 そして……どうやら鉄球デュラハンも封印出来たようだ。いいお土産ができたぞ。  

 中の奴は悔しそうにアクリル板の中で滅茶苦茶鉄球振ってるけど。あとで謝ろう。


 ――しばらく細い道が続き、道なりに歩くと、小部屋が沢山ある場所に出た。

 怖いので当然全部スルー。

 一か所だけ扉が開いていたので、少し中を覗いてみた。

 でかいアイスの棒みたいのものに、目がついてる怖いのがいたので、俺はそのまま

先に向かった。


 避けれる戦闘は、ここからは避けていきたい。

 まずは三階まで行かないと何も始まらない。


 先を急ぐと、少し広い部屋に先ほどのアイスバーみたいなやつがいた。

 結局やるのかよ! 仕方ないのでレウスさんを出す。


「お、イッキョだ。おーいイッキョ。懐かしいな元気だったか」


 そいつさっきもいただろ! 沢山いるやつだそいつ! 

 イッキョと言われたやつはそのまま頭突きというか

アイスバー部分をレウスさんに叩き込んだ。

 骨は打撃に弱い。バラバラになるレウスさん。


「何しやがるイッキョてめーもう怒った!」


 それループ演出です。はい。

 二匹いたイッキョというモンスターは両方共レウスさんが怒りのあまり倒して

くれたので、封印できなかった。

 まぁいいか……ちょっと怖いしな、あれ。


「お……ここが二階から上に行く場所かな?」

「きっとそうだ。怪しいとこだしな。ここ。なぁ?」


 少し雰囲気が変わった場所だ。祭壇みたいなのあるし。怖いよ。

 少し階段を上るともう少し周囲が広くなっている。中央には何かいるな。

 両手をずっと上げているローブを被った……影か? 

 参ったな。どう見ても打撃は効かないし。

 あの両手ずっと挙げてるのって疲れないんですかね。


「よう。ターフスキアーだろ。久しぶりだなター君。よう!」


 しまったー! レウスさんを出したままだったーーー! 

 どうみてもター君て雰囲気じゃないだろ、おい! 

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