第三十八話 新しい武器の使い方

 俺たちは数日、メルザの領域で特訓をしていた。

 戻ってきたファナと俺、メルザの三人で連携の練習だ。

 ファナと共闘するのも久しぶりだったので、最初のうちは

なかなか上手くいかなかった。

 メルザに毒があたってしまう事もあったが、装飾品の効果で大丈夫だった。

 買っておいて本当によかった。


 闘技大会は三対三の団体戦と、一対一の個人戦がある。

 俺たちはどちらにも参加するので連携は必須だ。

 しばらく特訓した後、一休みしたメルザとファナは森にスッパムを取りに行く。

 ニーメが少しふらふらしながらやってきた。


「お兄ちゃん、武器出来たよ!」

「ニーメ、ふらついてるじゃないか。大丈夫か?」

「うん、夢中になっちゃって。渡したら少し休むから。見に来て!」


 俺は直ぐにニーメの工房へと赴いた。


「さすがニーメだ、要望通りだな」


 そこには依頼した形状通りのシールドガントレットと、剣、格闘武器が完成していた。

 剣の方は白金合金で打ったと思われる曲刀。しかも短い。

 カットラスという分類にあたるだろうか。

 以前使用していたシミターキャットのシミターより

軽い上、湾曲も少ない分切れ味や振り回しやすさは遥かに上だ。


 シールドガントレットを左手に装着。そしてシールド

とガントレットの間にカットラスを収納する。

 かちりと音がしてカットラスがはまった。左腕の重量は

約二キロってとこか。


 剣を外して一キロちょいってとこだな。


 この装備は全く新しい装備だ。名前をつけるとしたら

 ……ニーメが製作したシールドガントレットのカットラス装備。


 メードレット・カトス、ちょっと長いな。

 メドレスがいいか。 

 俺はこの武器盾をそう呼ぶことにした。


「メドレス……僕が生み出した新しい装備! お兄ちゃん凄い! かっこいいよ!」


 俺たちは向き合ってにっこり。これは男なら憧れるロマンだ。

 左手に持つ格闘武器はパタ……いやサインティ。


 こいつは投擲としても使える格闘武器形状にしてもらったので、名付けるなら

 フライングサインティってところか。暗器も今後は左手で投げるので練習が必要だ。

 その代わり圧倒的に右手の剣での火力はあがる。


 こいつも全く新しい武器だから名前をつけないと。 

 名前はフライングニーメサインティ…フラニティ……。

 いや、フラタニティにしようかな。


 俺は両方の武器を取り、身体を動かしてみる。

 スムーズに動くうえ、非常に扱いやすい。

 少し幅広く展開して動き回る。

 フラタニティを投げてみるが、こちらも実に使いやすかった。


 そのまま剣にフラタニティをひっかけて拾いあげ装備する。

 曲刀の間にはまって拾いやすい。いいぞ! 


「ニーメありがとう、完璧に要望通りだ」

「うん! 喜んでもらえてよかった! 僕は大会には出れないけど、パモを

助けてあげてね! 整備役に僕も一緒に行くから!」

「あぁ、任せておけ」


 俺はニーメの頭を撫でると、拳を突き出してニーメの拳と合わせる。


「けどお兄ちゃん、そこまで接近戦で平気なの? かなり

遠距離攻撃が乏しくなると思うけど……」

「あぁ、それなら問題ない」


 俺はニーメに左耳のイヤリングを見せる。


「それって洞窟で出たお宝だよね?」

「あぁ、麻痺耐性なども上がるが、俺はこいつで幻雷斗ライド

使用できるのが確認出来た。

威力はそれほどでもないけどな」


「へぇー、そうなんだ。僕もいずれはそういった効果のある

アクセサリーを作ってみたいけど、鍛冶で手一杯なんだよね」

「鍛冶と彫金を両立させるのは難しいだろうな。

まずは無理せずじっくりと鍛冶に励むといいさ」

「うん!」


 俺は蒼雷のイヤリングを身に着けることにした。。

 前世の記憶から雷そのものをイメージしたが、上手くいかなかった。

 媒体の付与効果が弱いせいだろう。

 そのためスタンガン程度の雷を飛ばす効果くらいしかない。

 大会用の俺の装備はこんなところだろう。

 ニーメは少し休むと言い、部屋に戻っていった。


 俺が装備の感触を確かめていると、メルザとファナが

戻ってきた……メルザが持っているのは、ガラポン蛇の吐き出した実か!? 


「ルイン! いいもの拾ってきたぞ! 願わなければそのまま

持ち込めるんだな、これ! 喰えるかな?」


 ……おやめなさい! 

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