第二十九話 当たり洞窟 二つ目の宝箱の行方

「ルイン。疲れたー、お腹空いたー」

「わしも体力が回復するまで休まないと死にそうじゃ」


 メルザはエネルギー切れ、カカシは自己犠牲の技でへとへとのようだ。

 俺は周囲を警戒し終えて地図上に記されたポイントから宝箱を探すが……

このドーナツ部屋の中央なんだよな。

 でかい柱があるだけだ。


「なぁメルザ。この柱の部分が宝箱になってるんだが」

「えー? ぶっ壊したら中からでてくるんだろ? 壊すか?」

「いや、そんなことしたら天井が崩れるだろ! それにあの火球じゃ柱は壊れないだろうに」

「うーん、それもそうか。俺様はそういうのよくわからねーからよ。

こういう時ファナがいればなー」


 確かにファナがいたらお宝のにおいに敏感だ。

 すぐ見つけてきそうだな。


 俺は思案して柱をぐるっと一通り見てみる。普通の柱だな。

 次に地面をぐるっと触ってみるが、おかしなところはない。

 一か所どこかもろい部分があって、削れるとかか? 


 俺はパタでゴンゴンと柱を叩いてみた。

 するとキンキンと一か所金属音のなる場所があった。


「ここかな?」


 金属音の鳴るところと、通常の音の鳴る境目にレイピアをすこし差し込んでみた。

 そこには空間があったようで、レイピアはすっと通る。 

 カモフラージュされてるだけだ。

 これなら手で取り外せそうだ。

 カモフラージュされていた部分を取り外して中を覗いてみると……。


「これは……かなり当たりのように見えるな。数も多かったし」


 先ほどとは違う大きな宝箱が一つ。

 そしてもう一つ先ほどの宝箱より小ぶりの宝箱がある。


 大きな宝箱は一応、アナライズしておくか。



 紫電の宝箱(大)


 滅多にお目にかかれない伝説級の宝箱


 見つけるのは困難だが必ず一つ伝説級のアイテムや装備が入っている

 この宝箱に罠はない



 おお! これが以前師匠が言っていたレジェンダリー以上が手に入る宝箱か。

 まさかこんなにも早くお目にかかれるとは。

 俺はメルザとカカシを呼ぶ。 

 二人とも無事宝箱を発見できて喜んでいるようだ。


 今度はルインが開けろとメルザに言われたので、宝箱を開けてみる。

 先に紫電の宝箱から開けた。



 神の空間【アーティファクト】

 展開すると五メートル四方の部屋が創設される

 古のアイテム この世に一つしか現存しない

 使用者の術に反映され展開・収納される

 使用者の五メートル以内の者のみ展開されたエリアに入れる

 使用してもなくならず壊れることがない


 夢幻闘舞(幻術軽減IV付与 身体強化全IV 新進気鋭付与 幻影回避付与 絶速付与) 【レジェンダリーアイテム】


 かつて一部の武神が好んで着用していたとされる闘着

 身に着けるものに絶大な身体能力や耐性と目視困難な速度を

 与えるという伝説の品

 製作者は不明

 頑丈だが壊れることがある



 アトゥア・イ・カフィカの矛(幻空術増強V 操空術II付与 瞬間の羽付与 軽量付与 鷹の目)

【レジェンダリーウェポン】


 かつて天空の神の一角が使用したとされる矛

 持つものに空の加護とよく見える視界をあたえる

 製作者は不明

 頑丈だが壊れることはある



 オトの金槌(製作技術向上II 腕力向上II センス付与)

【セミユニークアイテム】

 有名な鍛冶士オトが使用していたとされる金槌

 非業の死を遂げたものの魂が宿っているとされる

 鍛冶屋ならだれもが欲しがる一品

 扱いが悪いと壊れる


 とんでもない物が入っていた。アーティファクトの種類によっては

一つで国同士の戦争が起こるほどだという。


 それにレジェンダリーも初めてだ。

 二人とも俺に着るべきといっているし、せっかくなので使わせてもらおう。


 矛は誰も装備できないし、カカシの背中にとりあえずつけさせてもらおうかな。

 

 金槌はニーメへのよい土産ができた。

 もう一つの箱をあけよう。罠はないはずだし。


 俺は箱をあけてみた。中にはーーー


「ココット」


 ……はっ!? 

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