第20話

ある晴れた日、女海賊達が漁に出掛け俺は子供達とともに砂浜で綺麗な貝殻集めをしていた。これも一応商材になるから子供達が出来る遊びながら出来る労働…お手伝いってことになるのかな?


ちなみに、今日は珍しく服を着ている。色褪せたオレンジっぽいTシャツとトランクスタイプの海パン。何故服を着ているのか?子供達が真似して外でも全裸で居ようとするからだ。だから、俺も外に出る時だけ服を着るようにした。


砂浜ではしゃぐ子供達の声、静かに寄せては引く波の音を聞いて穏やかな気持ちになる。


…時たまにチラつく麻乃と麻陽と過ごした僅かな時間。彼女達とこうやって海水浴に行ってたら良かったのに…


くいくいと服の裾を引っ張る動作に気が付いて視線を下げると子供達が俺の元に集まっていた。1人の子供が話しかけてきた。


「おとーしゃん、どーしてないてるの?」

「え」


どうやら、感傷的になり過ぎて泣いていたらしく子供達に心配をかけてしまった。ははは、情けないな。


「もういない家族のことを思い出しちゃったんだよ。でも、大丈夫だよ。今はお前達とお母さん達が俺の家族だから。寂しくない。ありがとう、俺の家族になってくれて。」

「ふふふ、あたしもかぞく!」

「あたちも!」

「おとーしゃんとかぞく!」


子供達が俺と家族であることを嬉しく思ってなのかぴょんぴょんと跳ねたりしながらはしゃぐ。


すると、後ろから柔らかく暖かなぬくもりに抱き着かれる。


「ダンナ」


どうやら、漁が早く終わったのか帰ってきていた女海賊達に一部始終見られていたらしい。


「ダンナ、もういない家族と会いたいか?」

「…正直、会いたいがそれは無理だ。」

「あたしらが協力して、」

「俺の目の前で拷問され無惨に殺されたから無理なんだよ。俺の愛した者全てを。」

「…!」


女海賊達の言葉を遮るように今まで黙っていたことを話す。


「気づいてるだろうが、俺は老いることも死ぬことも出来ない。だけど、生きていれば自然と愛する者が出来る。やっと手に入れた幸せだったがそれも他人に奪われた。俺には死ぬことが出来ないから一生全てを忘れずに生きていくしか出来ない。」

「…」

「でもさ、愛することはやめられない。お前達と出会い、子供達を授かり俺はまた幸せを得ることが出来た。ありがとう、お前達は俺の宝物だ。」

「ダンナは私達の宝物。」

「あなたは乾いたあたし達の心に恵の雨をもたらしてくれたわ。」

「乾いた大地にあなたは答えてくれた。」

「ありがとうは、あたし達の言葉。」

「ありがとう、ダンナ。」


「あたし達に幸せをありがとう。」


…あはは、涙止まんネー。彼女達も子供達も泣いちまってどうやって収集つけるんだよ。


彼女達に出会えて良かった。

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