第52話 友人と彼女とアサヒとー1
時を遡ること、年の瀬迫った12月末、サンタクロースが正月飾りに押し出され、もみの木が門松に追いやられるそんな中、彼女は現れた。
「初めまして。いつもマコトさんからお話は伺っております。
雪村ハルカと申します」
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仕事納めを終えた金曜日、スーツの上にユニクロのハイブリッドダウンパーカーを羽織ったアサヒは、改札を出てロータリー前でマコトを探していた。
「アッちゃーん!ごめーん!反対口と間違えた!」
グレーのビーニーをかぶり、ノースフェイスの黒・紫ヌプシ、黒パンツにパープルポンプフューリーのマコトが走ってきた。
「ごめん。ちょっと勘違いした」
マコトのあとをネイビーのパンツスーツにモードエジャコモのVカットパンプスを履き、インディヴィのブラックチェスターコートを身に纏った美人が歩いてくる。
誰だろう、と思ったアサヒに、マコトが言った。
「紹介するよ。俺の彼女ッ!可愛いっしょ!」
「お待たせしてしまって、申し訳ありませんでした」
女性が丁寧に頭を下げた。
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全然大丈夫!などと慌てるアサヒの肩をマコトがぐいぐい押して歩く。
ロータリー横の通りを進んで予約していたマコトオススメの博多もつ鍋屋に入った。
アウターを脱いで掘り炬燵に座った3人は、改めて挨拶を交わす。
「初めまして、こんばんは。西野アサヒです」
「初めまして。いつもマコトさんからお話しを伺っております。
雪村ハルカと申します」
「前会わせるって言ってから、タイミング合わなくってさー。年末になっちゃったね。ハルカ、ちょっと飲み物頼んでもらっていい?俺レモンサワーでアッちゃんは梅酒のソーダ割りね。ここスタッフ少なくて。ちょっと声かけてきてくれない?」
「わかりました。私はさつま島美人にしましょう」
ハルカがスッと立ち上がると、カウンターに向かって歩いて行った。
「マコっちゃん、聞いてないんだけど。
1月1日の日曜日はダイちゃんが用事で来れないから、お疲れ様会って言ったのマコっちゃんでしょ。
彼女さんを連れて来るのは良いけど、一言くらい言ってよ」
「悪い。捕まった。ちょっと浮気疑われた。アッちゃんは幼馴染で例の動画の映画の作成関係者ってことにしてあるから」
「えっ見たの?ビデオ!まずくない?」
「映画だよ。フィクション。CGです」
「そりゃあ今のはリアルだけどさ・・・」
「日曜なのに会えないって言ったら怒っちゃってさぁ」
「そりゃあ仕方ないけど、まぁ、そっちも合わせてね?」
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