第26話 サバゲーに行こうー2

 部屋の中央には護摩壇が据えられており、部屋の4隅には綺麗に盛り塩がしてあった。


 部屋に入るとやっとマコトが口を開いた。


「悪い。ここまでするべきか迷ったんだけど、あの部屋にいる時のアッちゃんの行動は多分向こうの世界の誰かに見られている」


「え?もしかしてエロ関連も?」


 アサヒにだって人に見られたくない姿はある。

 というか元々プライベート空間だ。


「多分ね」


 マコトは苦笑いしながら話し始めた。


 大介とマコトはノートやビデオを通じて異世界の情報をやり取りしていた。

 本物のエルフやドワーフなどにテンションが上がった。

 耳だけ猫や犬の獣人はいなくて、ワーウルフタイプの顔が完全獣だったことに涙を流した。


 ただ、マコトにはビデオの中の大介と異世界の住人の会話の内容はわからなかった。

 音声は再生できるのに、どこの言語とも似ていなかった。

 獣人の唸り声と大介の言葉はどちらも違うのに、お互い意思の疎通が図れているのは恐怖だった。




 大介は、世界を旅しながら転移スキルを与えてくれた神の力を取り戻す手伝いをしている。


 マコトは、大介に『なぜ神がアサヒと大介を繋いだのか』聞いてもらっていた。


 大介から元の世界に帰りたいという願いを受けた神は、近隣の世界で『今、この瞬間に大介のことを考えている縁者』がいないか捜索した。

 その時、偶然ヒットしたのがアサヒだった。


 簡単にいうと、神はアサヒを見て気に入ったのだという。

 珍妙な格好で輪っかを持って腰をふるアサヒを見て、笑い転げた。

 封印されていた神は力がまだ少ししか回復していないため、色々な条件を課した。

 それが各種制限だ。


 大介のエネルギーと条件を合わせることにより、世界を騙して一時的に扉を開けているらしい。


 その神は、お気に入りのアサヒの行動を見て楽しんでいるらしく、部屋での行動を大介にあれやこれやと語るのだという。

 大介は、今の神の力を見て、まだ全力に程遠いことを理解している。

 その状態でなお、自分を介せずアサヒを見ていることも理解した。

 自分が日本に帰れるかはわからないが、繋がった通路を閉じる準備だけはするべきと考えていた。


 そのため、マコトに頼み日本にいる本物の能力者を探してもらっていた。


「で、紹介を受けたのが私というわけです」


 いつの間にかアサヒの後ろに白装束を纏った男性が立っていた。


 ******


「西野アサヒさんですね。

 初めまして。

 色々やってる人です」


 驚くアサヒにウィルキンソンのジンジャーエールを差し出した。


「名前を申し上げられないので・・・。

 そうですね。

 ジンジャーのジンさんとでも呼んでください」


 アサヒとあまり変わらない、180センチ近い長身の若い男性がにっこりと笑った。

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