【Goodbye my hero ~ second story~】
ジミー
第一章 久々の再開
「どしたん?今日も街は暇やな・・・」
ため息をつく俺・・・
おっと失礼!軽く自己紹介させていただくぜ。
俺は、龍司。
子供の頃からモトクロスをしていて【全日本モトクロス選手権 国際B級クラス】でプロレーサーを夢見て走っていたけれども、高校三年生の夏に資金不足で引退した。
「金さえあれば・・・」
と、俺は一攫千金を夢見て、水商売の道へ入り、ホストクラブ、バー、ラウンジ等、転々と修行をする。
どこのお店もありがたいことに入店後、数ヶ月でお店の事務作業等の、役職の仕事を任せてくれるようになった。
だがある日、店の売上と経費、自分の給料を照らし合わせたとき、
「売上こんなにあるのに、俺の給料これだけならやっとれんな・・・」
と、思っていた矢先にお店でお客様とトラブルになり、店側の対応に不満をもった俺は、独立して飲み放題のカラオケスナックを開業した。
まぁ、これが俺の経歴ですわ・・・
“カラ~ン”
「いらっしゃいませ!おっジミーで、久しぶり」
『久しぶり!ご無沙汰です』
「一人?」
『待ち合わせで、も一人くる』
「そっか、で、なに飲む?」
『お茶で』
「飲み放題店でお茶は、神様や」
俺のモトクロス時代からの後輩であるジミーが店にやってきた。
彼は、モトクロスの天才ライダーと言われてきたが、俺と同じく資金不足でモトクロスを引退し彼もまた、水商売の道へやってきたのだ。
「聞いたよ・・・この間、あの社長の前でフル○ンでネタしたんやって?」
「俺のネタ、パクるなよ!」
笑いながら言うと、
『いや、龍司こそネタの九割が人のネタでしょ!』
「それを言ったらおしまいよ」
久々にあった二人は、近況報告の話で花を咲かせる。
“カラ~ン”
「いらっしゃいませ」
『こっちこっち』
ジミーの隣に、女性が座る。
『龍司、紹介しますわ』
『俺が高校のときから交際してて、今キャバ嬢しているジュリアです』
ジュリアは、席を立ち、
『ジュリアです。ジミーから噂は聞いております。よろしくお願いいたします』
「ご丁寧に、ありがとう!先輩ズラしていますが、龍司です。よろしく」
挨拶を交わし、世間話で盛り上がるなか、数時間経ちジミーが堅苦しくなる。
『今日は、龍司に話があり、寄らせてもらったんです』
「おっ!ついにお店独立するんか?」
『・・・実は、またモトクロスを復帰することになって』
「ほうなん!ええなぁ、スポット参戦してぼちぼち走るんで?」
『この度、スポンサーが見つかり来年から全日本モトクロス選手権、国際A級クラスにフル参戦する事にしました』
「まじか!ほれはごっついな」
「ジミーが復活するなら俺もスポンサーしてあげたいけど、その金あるなら俺が復活したいわ」
笑いながら言うと、
『分かっていますよ!モトクロスの先輩であり、水商売の先輩でもあるのでご挨拶に寄らせていただきました』
「わざわざありがとう」
「俺もジミーに負けんよう商売がんばるわ!」
それからまた、たわいもない話をして、閉店時間になったので、
「ほんま今日は、ありがとう」
「ジュリアさん、ジミーのこと頼みます」
『はい・・・龍司さん、今後ともよろしくお願い致します。』
このとき、俺はジュリアの心の中に、なにか潜めているような気がした・・・
「ジミー、応援は行かんけどな!ま、チャンピオン目指して頑張れよ」
『おまえも頑張れよ』
と、昔からの馴染みなので最後は、ツッコミを入れられて、お見送りをしたのであった。
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