空色
大根初華
第一回参加作品
500文字未満の部
黒き天使
人はそれを【黒き悪魔】と呼んだ。
それは可愛いらしい女性。だが、メタリックなボディ、黒い翼、そして、敵を殲滅する圧倒的な攻撃力を保有するためだ。
だけど、僕は彼女に恋をした。いや、どちらかというと憧憬、あこがれに近いものかもしれない。
そんなことを思いながら、彼女も出撃するという戦いに突撃兵として出ることになった。僕はあっという間に返り討ちにあい、そして、あっという間に彼女が敵を殲滅した。
普段の彼女ならばすぐいなくなるのだが、この日に限っては倒れている僕のそばにきてくれていた。
そして、彼女の眼から泪が溢れていた。
ああ、彼女にとっては名も知れぬ僕だけど、僕のために泣いてくれているのか――――。
それだけで僕は幸福感に包まれた。
悪魔だなんて呼ばれているが、僕にとってはやはり天使だった。
言葉も身動きもとれないけれど、せめてこの言葉だけでも伝えたい。
ありがとう、黒き天使――――。
END
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