死に戻り転生ファンタジーなんて大嫌いなんだが、俺がその主人公かよ⁉︎

ヘタコグサ

第1話 死に戻り転生ファンタジーなんて嫌いだ

死に戻り転生ファンタジーなんて嫌いだ。だって何回も死ぬ苦しみを味わうなんて、リアルだったら精神崩壊ものだろ?主人公があまりにも可哀想じゃん。


だから、まさか自分がその主人公になるなんてマジでありえない。


…。


ありえないんだけど、今、まさにそのありえない状況なんだよね、俺…。


今、4回目。しかも最初に目覚めた場所から数十メートル以内、数分足らずで3回死にました、はい。


えっと、まずは今の状況をご説明しましょう。え?誰に話しかけてるのかって?いやいやいや、分かるでしょう。あなたですよ。あなた。


こういう転生死に戻りを体験してるってことは、きっと俺は異世界転生ものの主人公で、今物語は始まったばかりに違いない。なので、あなたにご説明しましょう。


まず、俺は西島勇気。名前の由来は読んで字の如し、小学生の頃はこの名前を同級生にからかわれてちょっと恥ずかしかった。歳は29。んで普通の会社員。いや、今どき珍しいガチの社蓄で、有給休暇取得が5日間義務化された今も全然関係なく会社にこき使われていたわけよ、で、働き過ぎでふらふらな状態で建設中の建物の足場から落ちました。はい、マジありえない。


あ、ちなみに地面まで落ちたんじゃないよ、墜落防止の安全帯にしっかり固定されて宙吊りになったまま、助けが来る前に死んじゃいました、はい…(我ながらほんと…すげーかっこ悪い死に方だ)


まあなんにせよ、死ぬのはあっけなかった。すげー苦しかったけどさ、はい。でもさ、死ぬ前って本当に走馬灯ってやつ?が見れたんだよ。俺の場合はさ、今の仕事に転職する前にまだ自由な時間があったころ、派遣社員のなけなしの金を注ぎ込んで通ってたあの場所、そしてあの人のこと…。


あの時はさ、最初はあの人目当てで店に入ったんだけど、あっという間に彼らの魅力にもハマってしまったんだよな。


あのモフモフで可愛い猫たちに。


そして、あの人の膝でくつろぐ彼らが心底羨ましくて、思っちゃったんだよな、死ぬ前に。


『ああ、生まれ変わるなら猫になりてぇ』って


◆◇◆◇


で、今猫になってます。


「って、願ったらなれるんかい‼︎」って、すでに自分でツッコミ済みなんだが、なんともまあ…


それにしてもさ…いわゆるあのお約束なファンタジー世界なら、場違いな場所に猫で転生した気がするんだ、はい。


だって転生地点『森』


んで、すぐ近くに『野獣←魔物かな?とにかくヤバいやつ』


つまり俺は、森の中に可愛い(たぶん)猫として転生して、そのすぐ近くに野獣がいて、すぐ野獣に喰われる。を3回くりかえしたわけだ。こんな感じでさ…


1回目・・・いきなり目の前に草、状況が飲み込めずパニくってる間に後ろからガブリ


2回目・・・さっき喰われた感覚から本能的にその場から逃げようと走り出すも、追いつかれてガブリ。


3回目・・・やはりとにかく逃げなきゃと思う。本能的に今度は上へと逃げる。木の上。これで逃げ切れたと思いきや野獣が木に激突し、その振動で落ちてまたガブリ。


そして4回目今現在進行形。


今の状況はというと、取り敢えず木の上、そして今、木の上で餓死しそうな予感、はい‼︎


そう、今回は木から振り落とされることもなく、なんとか木の上で生き残ったものの…


降りれなくなりました、はい。


木の上では、落ち着いて自分の姿形(鏡はないけど大体分かる)や現状について考える時間は取れたけど…


これからどうしよう…


うーん…


あなたならどうします?


って、答えがもらえないことくらいわかっちゃいるけどさ。さて、どうするかな?今時流行りの(いや流行りではないか?)最初からチートな能力がありそうな感じもしないし。連載始まってそうそうに終わっちゃうとかないよな?


とにかく考えをまとめるから『続きは次回‼︎』っつー事で‼︎


*********


名前: 西島勇気(前の名前)

種族: 猫(たぶん)

特殊能力: 死に戻り(たぶん)

その他: 元社畜の転生者

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