アヤ ~5人目~ 水たまりと泥団子編

 みんなも小学校の頃によく見たことがある水たまりと泥団子。


 それは何にも変哲もないただの水たまりと泥団子だ。だけど、それは小さい頃とは違って思うことだと私は思うんだ。


 今の私たちはきっと、雨で出来たただの水たまりと触ったら汚れる泥団子だと思うはずだ。


 でも、小さい頃の私はよく、みんなとカッパを着て、水たまりを長靴でびちゃびちゃとそれはもう全身がずぶ濡れになるくらい、やったよ。


 また、公園の砂場でみんなと一緒にどれだけサラサラで綺麗な泥団子を作れるかやったりもした。


 そして、雪合戦の泥団子を投げ合ったりもした。この場合だと泥団子合戦かな?


 何故、そんなことを思ったのかというと、私はスマホを親に取られて腹が立ち、家を出て公園に来たら、スマホを取られたのも相まってか、周りのことに目が行ったのだ。今、思えば相当依存してたと思う。うん、怖い怖い。


 そして、私は目をつぶり、小さい頃を思い出す──


「見て見て、アヤちゃんのより泥団子おっきいよ~」

「いや、私の方がおっきいもん!」

「何言ってるの二人とも、一番デカイのはわたしだよ!」

「ふっふっ、私のが至高っ」

「わたしのこそが一番よ!」

 

「みんな~、水たまりだよ~! えーい!」

「うぁっ! やったなぁ~、ほら!」

「許さ……ない」

「ほら、アヤちゃんもやろ!」

「う、うん!」


 目を開けた私は、雨が降る中、傘を差して公園の砂場に置いてある泥団子とブランコの下にある水たまりを見て微笑んだ。


「また、一緒に遊びたいな」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る