時が経つに忘るるもの〜青春という名のこども心〜

小鳥遊 マロ

 シノ ~1人目~ ベッド編

 


 ある夏の日──



「はぁ~、眠いねぇ~」

 口元に手を当て欠伸をしながら、

 すぐさま学校のバッグをベッドに放り投げ、私は顔面からダイブしていた。

 私は、シノ。友達からシーちゃんと呼ばれている。


「そう、これこれ、これだよ~、このふっかふかの枕にこの羽毛布団、極め付きはこのぬいぐるみ、へへへっ最っ高~」

 私は、お気に入りのぬいぐるみを抱き締めながらそう言った。


「最近スマホ使ってばっかだな~」

 ベッドに寝転び、白い天井を見ながら私は呟いた。

 田舎から進学と同時に都会に移り、親からスマホを渡されて最近はずっとそればかり使っていた。

「たまには、あの頃みたいにスマホを使わないで周りに耳を傾けて、みよう……かな……」


 私は、ゆっくりと目を閉じて耳で、いや、体全体で音や空気などを感じた。

 鳥のさえずり、風の音、空気の味、時計の秒針の音、セミの鳴き声など数えればキリがないほどの音やものを感じた。


「あぁ、そっかこれが──」


 私は小さく笑い、都会に来る前の田舎に居た時のことを思い出した気がした。

「何で、忘れちゃってたんだろ。」

 田舎に居た頃の夏は、セミやらカブトムシやらを捕ったりして、全てが新鮮で楽しかった。

「また、行こっかな」

 私はそう小さく呟いた。


 スマホの通知が鳴り、何かと思い画面を見た。

「あっ!そうだ、新しく出来たスイーツ店『プカフカ』の『癒しもん』の予約しないと」

 私はスマホで予約を済ませた後、Switterを開きゴロゴロしていると、眠気が襲ってきた。

「ん、急に、ね、眠くなって……」

 私はそのまま意識を手離して眠ってしまった。







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