第6話 沖縄旅行①

 短所と長所は紙一重である。僕にとって長所だと思う事は、ある人にとっては短所となり得る。例えば、僕は見たものにすぐ影響してしまう癖がある。ある人にとっては流行りに乗る事ができるから長所となるかもしれない。しかし僕は違う。僕は先週フジテレビのバライティー番組アンビリーバボを見た。その内容は飛行機の墜落事故であった。今それを思い出す事が悪いのかもしれないが、沖縄に向かっているこの飛行機が墜落するのではないかと思ってしまう。だから短所なのである。

 不安が高まる中ある一つのことに気づいた。それは、この沖縄旅行の中で飛行機のみが不安であった事だ。

 


 沖縄到着までの時間は2時間である。出発してから30分弱、僕と綾乃はたわいのない話を続けていた。そして弁当を食べ終えた後だろうか、綾乃は寝てしまった。たしかに、飛行機の揺れ具合と来たら気持ちがいいもので、眠くなる。僕は不安が勝ってそんな事はないのだが。

 綾乃の頭は段々と僕の方へ近づいて来る。このまま近づき続ければ、僕の肩に乗るだろう。肩に乗って欲しい、そう思ってしまう僕が変態でどうしようもないと思ったが、少し時間を置いて考えたら、案外当たり前の事だと理解した。

 たった今、僕の肩に綾乃の頭が乗った。乗った途端に優しい甘い香りが感じられた。頭は硬いはずなのに硬く感じない。飛行機が墜落するかもしれない、そんな事は頭に浮かべる事さえ出来なくなった。



 2泊3日の沖縄移動教室は自由行動である。唯一決められた事はホテルである。部屋は1人1部屋。

 当然、僕と綾乃は2人で行動する事を決めていた。僕たちは国際通りなんか高速で通過して海へ向かった。

 海は何時間見ていても飽きないと思わせるほどの絶景。青く透き通った海水、食べることが出来るのではないかと思うほど綺麗な砂浜、そして心地よい波の音。実に最高であった。しかし、その海なんかと比べ物にならないほどの絶景を見つけた。それは綾乃の水着姿である。谷間がとても美しく、例えるなら深田恭子の胸というべきだろうか。くびれは綺麗な曲線を描いていて、今にもその曲線をなぞってみたいほどだった。おまけに尻は水着に食い込んでいた。同級生の水着姿なんて見た事がなかった。



「ねね!一緒に海入っちゃおうよ!」


そう言って綾乃は僕に抱き付くように海へ連れて行った。僕の手は谷間に埋もれていた。その時の手は酷く喜んでいるように見えた。



「うん、入ろー! そういえばさ綾乃って泳げるの?」



「泳げないよ。だから怖くなったら抱き付いちゃうかも?そしたら許して。」



許すも何も僕にとっては嬉しいな、そう思うほどだった。


「全然大丈夫!綾乃に抱きつかれるのいやじゃないし?」



「へーそーなんだー。じゃあ海の中じゃなくても抱き付いていいの?」


 

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