淡い想い出

勝利だギューちゃん

第1話

「少し休むか」

大きく伸びをする。


アトリエにこもって、一か月になる。


僕は、絵師。

絵を描くのを仕事としている。


もっとも、それだけで食えるほど甘くはないので、副業もしているが、

本業はあくまでも、絵師。


そして、仕事が入ると、一気に仕上げるために、アトリエにこもる。

スタッフを雇える余裕はないので、ひとり。


こんな時には、自分の女子力の高さが誇らしい。

ちなみに、僕は男性。


そして、仕事場には一枚の絵が飾ってある。

僕が、この道を志す事となったきっかけの絵。


なんてことない風景画。

そしてその中に、ひとりの女の子がいる。


「元気かな」


女の子は、僕の初恋の女の子。


「私、君の絵が、好きだよ。応援しているからね。いつまでも・・・」


その女の子とは、もう随分と会っていない。

もう、おばさんになっただろう・・・

それは、お互い様か・・・


本音が漏れる。


今更、どうのこうのとは思わない。

ただ、僕の絵が、彼女に届いていることを祈る。


そして、今でも好きでいてくれたら嬉しい。


フィクションの世界だと、偶然の再会とかもあるのだろうが、そんなはずもない。


そして僕はまた、ペンを握るのだ。

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淡い想い出 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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